果物に翻弄される、なんて豊かな暮らし


 最近冷蔵庫に、トマトとか納豆とかもずくめかぶとか、バナナとかヨーグルトとか、手軽に食べられて血糖値の急上昇を抑えてくれそうなもの(通称:至り防止セット)を揃えるようになった。それで冷蔵庫の容量が逼迫してるんです。

 にも関わらず桃を買った。8つ1,000円。
 期間限定の屋台のようなものに偶然出くわして、今買っておかないと後悔する気がして。


 置く場所もないのにどうすんだと買いながら思ったし、実際冷蔵庫の中に収めるのにはそれなりに工夫が必要だった。

 3年ほど前に千疋屋のHPで学んだ方法で剥こうにも上手く皮が剥けない。やはりわたしに桃は無謀だったかとやさぐれかける。
 しかし翌日気づく。熟した方が剥きやすいことに。
 そして同時に気づく。桃は皮をむくより種を取る方が難易度が高いことに。
 しかしここでも思い至る。包丁で切れ目をいれたところから皮だけ剥いて、まるごとの形をまるかじりしてもいいのだと。

 今年で1人暮らし10年目になるんですが、やはり長く続けると自分の肌に馴染む生活の仕方というものがわかってくるものですね。


 そろそろ熟してくるころなので、朝晩食べつつ近いうちに全部皮をむいて冷凍してしまおうと思います。


 たかが桃にこんなに気を遣って一体何をしてるんだと思わなくもないのですが、この季節にしか食べられなくて、落としたら色が変わってしまうくらいデリケートな桃に翻弄されながら過ごすのは、今のこの季節を楽しむだけの生活の余白を感じられてとてもいいなと思うのです。


 前までこんな感じの生活の余白というものを持てていなかったから。
 余白まで成果と進歩を詰め込まなければいけないと思っていたけれど、そういう生き方をしたいならすればいいし、したくないならしなければいいし、こうしないといけないという正解はないんじゃないかと考えるようになってから、自分が本当に楽しくて大切にしたいと思うことを中心に生活をつくることができるようになってきた。

 生活の余白のおかげで気分的なゆとりもできて、今日は久しぶりに明日のお弁当のおかずも作れた。

ここまで読んでくれたあなたがだいすき!