2024年6月14日(金) 電車に忘れ物

 始めて電車に忘れ物をした。
 大事な大事な日傘だった。


 最近は仕事終わりとても疲れていて、帰りの電車で座りながら資格勉強のテキストを開くと確実に眠ってしまうくらいで、
電車を降りる時も眠気で注意散漫になっていて、日傘を持っていないことに気づかなかったらしい。

 こんなことなら眠い目をこじ開けてテキストなんて読まなければよかった。そうすれば日傘の方に少しでも注意がいっただろうに。
 資格勉強なんかより日傘の方がずっと大事なのに。
  頑張っていた結果がこれだなんて。

 いやテキストは一般販売されてないやつだからむしろテキストをなくすよりましだっただろうか。日傘はまた買える。出費は痛いけれど。
 いや、なんかその合理的な考え方が嫌だ。もっとこう、ものに宿る愛おしさってあるじゃん。それをお金で解決しようとする自分の合理性がいやだ。いやだいやだ。


 通販でしか買えない特別な傘だった。
 100%遮光でさしてるだけで涼しくて、骨が強くて壊れなくて、強風にも煽られずさしやすい。それでいてシンプルな紺色に白いレースがついていてとてもかわいい。以前化粧品店の店員さんに「お客様のイメージに合っていてとてもかわいいですね」ってほめてもらったのが懐かしい。

 晴雨兼用で、夏も冬もおでかけの時はいつでも一緒だった。

 なのになんで昨日だけは忘れてしまったんだろう。



 初めて改札近くの忘れもの窓口へ行ったところ、「まだ忘れ物の届け出は来ていない」「見つかるとしたら、途中の駅で他の乗客が届け出るか、あるいは車庫に入った時の最終点検で」「別会社の路線に乗り入れている電車の場合はそちらの駅に行ってしまう可能性もあるので、その場合は当社ではどうにもできない」「スマホとかは他の乗客が届け出ることが多いけど、日傘はちょっとね」と言われて、言われたその場でなんともいいようのない悲しいようなムカムカしたような気持ちを感じたんだけど、

 今ならわかる、全体的にいかに忘れ物が見つからないかという話をされたのが大切なものを無くしたばかりのわたしにとっては受け入れ難かったのと、「スマホとかは他の乗客が届け出ることが多いけど、日傘はちょっとね」というのが、わたしにとっては大事な日傘を軽んじられたようでとても嫌だったんだ。




 今日のお昼ごろもう一度駅に照会しに行って、それで見つからなかったら今後のことを考えようと思う。


 ごめんね。

ここまで読んでくれたあなたがだいすき!