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(4)昼、睡眠圧力を高める3つの習慣

昼 : 睡眠圧力を高める3つの習慣
(0)イントロ:睡眠圧力を高める


健康マネジメントスクール水野雅浩です。

前の章では、ONからOFFに切り替える、別の言い方をすれば、自律神経を興奮する交感神経から、リラックスの副交感神経への切り替え習慣についてお話をしてきました。一つ一つ実行して、OnとOFFの切り替えサイクルを回していきましょう。


今回は、夜ではなく、日中の過ごし方について3つの習慣をお伝えします。
皆さんは、Sleep Pressureという言葉を聞いたことがあるでしょうか。日本語では睡眠圧力と訳されます。夜に気持ちよく眠れている人は、日中にこのSleep pressureを上手にコントロールしています。ダムで言うならば、日中にSleep Pressureを小出しせずに、上手にかさ増しをしておいて、夜に最も睡眠への圧力がかかるようにし、睡眠とともに一気に開放するようなイメージです。


逆に、夜なかなか寝付けない人は、このSleep Pressureをマネジメントできておらず、眠るタイミングが乱れてしまっている方です。


今回は、夜に気持ちよく睡眠をとるための日中の過ごし方を学んでいきましょう。


(1)カフェインは15時まで


カフェインと聞いてすぐに思い浮かぶ飲み物はコーヒーでしょう。コーヒーは、カラダの細胞のサビを防いでくれるポリフェノールをリッチに含む健康ドリンクです。

しかもカフェインは、血管の拡張作用などもあり、健康に寄与する栄養成分が含まれる飲み物です。国立がん研究センターでは、コーヒーを摂取する群において、心疾患、脳血管疾患及び呼吸器疾患による死亡リスクが減少するという研究結果が報告されています。


ただし、良質な睡眠をとるという視点においては飲むタイミングを考える必要があります。カフェインは覚醒作用があります。朝、昼などは良いですが、夕方にカフェインが入ったコーヒーを飲むと、Sleep Pressureが後ろ倒しになり、眠気が訪れるタイミングが遅れてしまいます。


カラダからカフェインを完全に抜いて、夜スム-ズに眠るためにも15時までにしておいたほうがよいでしょう。


時々、夜、コーヒーを飲んでも普通に眠れる、という方がいますが、それでもやめておいたほうがよさそうです。

なぜならば、カフェインには覚醒作用の他に、利尿作用があるため、途中でトイレに起きて、結果として、睡眠の質を下げて、疲労回復効果を妨げてしまいます。

世界最大のコーヒーチェーンのスタバックスコーヒーの役員も仕事のパフォーマンスを落とさないためにも、コーヒーは15時までときめているとおっしゃっていました。


カフェインという視点においては、実は、コーヒー以外にも、紅茶や緑茶、栄養ドリンク、エナジドリンクにもカフェインは含まれているので、夜になってもなかなか眠れない人、また一度、寝ても途中トイレなどで起きてしまう人は、15時以降の飲み物にカフェインがはいっていないか確認してみましょう。


補足すると体質でカフェインがカラダに合わない方も中にはいらっしゃいます。私もコーヒーは大好きなのですが、カフェインに敏感な体質なので15時ではなくコーヒーは14時までと決めています。ぜひご自身の体調に合わせて、睡眠の質を下げない最適な時間を模索してみてください。


出典
多目的コホート研究「JPHC Study」(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究グループ)


(2)ウォーキング習慣が睡眠を改善


前回は、Sleep Pressureを高めるために、コーヒーの時間コントロールについて学びました。今回は、Sleep Pressureを高めるため2つ目の習慣についてご紹介します。実は、Sleep Pressureを高めるためにはある程度、心地よく疲れていることが大切な要素となります。


皆さんも、休日、だらだらと家の中でテレビを見て過ごし一日終わってしまった日の夜は、何故か眠れないという経験をしたことはないでしょうか。また、在宅ワークでずっと家の中でパソコンと向かい合っていた日などもなかなか上手く寝付けなかった経験があるかもしれません。


今回は、心地よい運動で、Sleep Pressureを高める習慣をご紹介します。
それが1日20分のウォーキングです。


ウォーキングの時間帯としては、朝、少し早起きをして20分間ウォーキングでも良いでしょうし、仕事の後、一つ前の駅で降りて20分間歩いて帰る、でも良いでしょう。


カリフォルニア大学精神神経免疫学センターでは43万人のアメリカ人を対象とした研究で、ウォーキングなどの軽い運動習慣がある人は、良質な睡眠が取れる傾向にあることを報告しています。


ウォーキングの優れている点は、睡眠面だけではなく、アメリカ国立がん研究所の研究では週のウォーキング時間が、合計150分、つまり1日20分のウォーキングによって4年半も寿命が長くなることを報告しています。


睡眠の質が高くなるだけでなく、寿命まで伸びるウォーキング習慣は、費用対効果が高い習慣と言えそうです。


私は朝の20分のウォーキングと、週に2回の30分のスイミングをルーティンとしています。改めて実感するのは、適度に体を動かしたほうがその日の夜の睡眠の質は格段に高くなるということ。


まずはハードルが低いウォーキングからスタートして、徐々に、軽いランニング、スイミング、ヨガなど体を動かす習慣をつけていきましょう。自然とSleep Pressureが高まり、良質な睡眠につながっていくはずです。


出典
Partial sleep deprivation linked to biological aging in older adults(米国睡眠医学会2015年6月10日)
Yoga, Running, Weight Lifting, and Gardening: Penn Study Maps the Types of Physical Activity Associated with Better Sleep Habits(ペンシルベニア大学 2015年6月4日)


(3)日中の休憩時間をコントロール


夕方にコーヒーも飲んでいない、仕事の後にジムに行って軽い運動もした。だけど、夜、眠れないという人がいるかも知れません。


そんな方は、帰りの通勤時間、例えば、バスや電車の中で仮眠をとっていないか確認をしてみてください。帰りの通勤時間でなくても、在宅ワークしていて夕方にちょっとソファーで仮眠などをしていないか、チェックしてみると良いでしょう。


実は仕事の合間に仮眠を取る、昼寝習慣は、歴代のアメリカ大統領も、プレッシャーの中で仕事をするNASAの宇宙飛行士も実行しているとても良い習慣です。


しかし、これには条件があり、昼寝は15時まで、しかも20分以内。というもの。

15時以降、例えば、夕方や仕事の終わりに仮眠をとってしまうと、Sleep Pressureが一度開放されてしまい、夜の眠気が弱まってしまうのです。
もし昼寝をするのであれば15時まで、20分以内。


夕方や、仕事終わりに眠気が襲ってきたとしても、その眠気は夜の深い睡眠のために溜めておく。という意識を持つと良いでしょう。


健康マネジメスクール代表 水野雅浩
「健康を企業文化に」
 ≫ 健康経営の導入と定着を総合支援

プロフィール


健康マネジメントスクール代表。予防医学の専門家。健康経営アドバイザ-。著書「グローバルで勝つ!30代の太らない疲れない7つの習慣」はアマゾン総合1位に。介護サービスに10年間携わり、人の「老い」と向き合う。その後の香港勤務時代では香港のエグゼクティブ達が日々コンディションを整え仕事の成果を上げる姿を見て、日本のサラリーマンとの違いを痛感。香港で100人を超える香港のビジネスマン達に健康習慣を取材、また予防医学を体系的に学ぶ。日本のビジネスマンの生活スタイルに最適化した健康習慣を構築。各種ビジネス誌、医療誌で注目される。企業、行政、大学の講演会・講義では分かりやすくすぐに実践できる内容と高い評価を得ている。現在は、「健康を企業文化に」の理念のもと①健康経営の導入支援 ②健康マネジメント(食事・睡眠・運動・ストレスケア)の企業研修を行っている。


著書


「稼げる男」と「稼げない男」の健康マネジメント (明日香出版)「太らない」「疲れない」21の習慣(飛鳥出版)「太らない」「疲れない」7つの習慣(ヘルシーライフマネジメント出版)



研修


① ■ グローバルで勝つ!仕事のパフォーマンスを上げる健康マネジメント
海外での勤務経験を通じて見えてきたのは、健康マネジメントを実践して仕事のパフォーマンスを上げるグローバルで活躍するビジネスパーソン達でした。6,000人のビジネスパーソンの健康マネジメントを支援してきた多忙なビジネスパーソンでも実践できる健康マネジメントの考え方と具体的なノウハウをお伝えします。
② ■ 「健康を企業文化に」 健康経営の導入と定着への7つのステップ
人口減、少子高齢化を迎える日本では、社員が健康で長く働ける職場づくりが成長の鍵を握ります。健康経営はこれからの経営戦略の中心となります。しかし、そもそも健康経営の導入がうまく行っていない会社や、導入したものの定着していない企業が多く存在ます。100社以上の健康経営を支援してきた中で見えてきた、「健康を企業文化に」定着させるための、7つのステップをご紹介します。



研修実績

【企業】富士通株式会社、東レ株式会社、株式会社麻生グループ、株式会社中外製薬、アクサ生命保険株式会社、三菱商事株式会社、JR西日本グループ、株式会社大日本印刷、大塚製薬株式会社、ネスレ日本株式会社、北日本銀行、鳥取銀行、日本海新聞社、岩手日日新聞社、京都ホテルオークラ、税理士法人中央総合会計事務所、など多数
【労働組合】全トヨタ労働組合連合会(119社)、豊田自動織機労働組合
【行政】鳥取県、宮崎県、福岡県、岩手県
【役所】台湾大使館


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