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想像と想像と想像 #35

「花粉」

⚠️今回のnoteには少々暴力的な表現が含まれます。ご了承の上、読み進めてください。

一昨日、僕の大学で卒業式があった。
それはたいそう感動的なものであった。
そしてこれから、大学生活最後の後輩ちゃんたちの入学の時期である。
これもたいそうおめでたい出来事である。

こんな遅くに何を書き出すのかと思ってくれた熱心な読者諸君。
僕には、この人間が最も寛容になるであろう時期に許せないものがたった1つだけあるのである。
それをみなさんに共有したい一心で、眠い目を擦りながらフリック入力しているのだ。
ちなみに、「お前フリック入力できないからローマ字打ちだろ」というツッコミは恥ずかしいのでお断りしておく。

題名にもあるように、この時期に僕が許せない唯一のものとはそう、花粉である。

よくこの時期に外出すると、ティッシュが手放せない、マスクなしじゃ無理、という人を街中で見かけることが多いのではないだろうか。
しかし、僕の花粉症は一味違う。
鼻へのダメージはさることながら、目へのダメージが大きすぎるのである。

起床し、すっきり目を覚ますためにベランダへと出てルーティーンをこなす。
その時点で、僕の体内へ奴らは侵入を果たす。
くしゃみが出る。
朝一番のくしゃみは尋常じゃないくらい体力を使う。
そうして部屋に戻り、コンタクトをつける。
すると、すでに眼球の表面に違和感がある。
違和感から無意識に目をひと擦りする。
ここから悪夢の再来である。
眼球の内側から痒みが止まらなくなり、涙が出続けてもなお目を擦り続けるのである。
そこで、秘技「花粉症の飲み薬」を服用する。

ただ、ここにも落とし穴がある。
「花粉症の飲み薬」の大半が、くしゃみや鼻水など、鼻に関する症状にしか効果がないのである。
おそらくこれらの薬を作った人々は、本当の花粉症の苦しみを知らない、想像力の足らないおばかさんたちなのであろう。
即刻、彼らの医師免許や薬剤師免許を剥奪して欲しい。
ネットで調べると、目の周りを保冷剤などで冷やすと良いといういかにも脳筋が考えそうな解決策が載っている。
この誰もが一笑に付すであろう解決策を、僕は大真面目に実行する。
しかし、保冷剤など一人暮らしの僕が持っているはずがないため、何日か前の冷凍ご飯を使って目の周りを冷やす。

そうして何とかやり過ごしているのであるが、僕が花粉症に関して許せないことは、「花粉症の症状がない」という人が一定数いることである。
この時期のあるあるトークとして、

「最近花粉ひどいよね」

「花粉症じゃないからわかんない笑」

「えーいいなぁ」

といったものがある。
僕も一応大人の1人ではあるので、花粉症じゃない人たちにも、上記のように愛想良く対応する。
しかし、この花粉よりも軽いトークをしながら僕のはらわたは常に煮え繰り返っている。

花粉症じゃないだけで、人生の難易度は花粉症の人に比べて大分イージーなものである。
そんなイージーゲームでしか人生を送れない彼らと、僕たち花粉症とでは、人生の深みが段違いに異なってくるのである。
そもそも、花粉という物質は空気中をある程度平等に舞っているにも関わらず、それを感じることのできない人は、鈍感以外の何者でもないように思えてきてならない。
この鈍感さが、これまでイージーゲームを送ってきた人間性の浅さから来るのかは分からないが、人間として何か大事なものが欠落していると思わずにはいられない。

ここまで読まれた方は、僕が眠い目を擦りながら書いていると冒頭に言ったことが嘘であると気付いたであろう。
そう、花粉症でぐちゅぐちゅになった目を擦っているのである。

睡魔が勝つか、
花粉によるイライラが勝つか、
長い夜は始まったばかりである。

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