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新型コロナ対策と新型インフルエンザ等対策特別措置法

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新型インフルエンザ等対策特別措置法が改正され、新型コロナウイルス感染症もこの法律の対象疾患に位置づけられました。また、本日政府対策本部が設置されたことで、この法律に基づく対策が実…
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2020年4月の記事一覧

緊急事態宣言を継続すべきか

緊急事態宣言が発令され、3週間が経とうとしている。外出自粛や施設の使用制限、催し物の制限が要請されているところである。みんなが多大な我慢を強いられている状況であるが、感染者の急増や地方都市への拡大を抑制していくためには現段階ではこの方法しかない。感染者を減らすことに成功しても、この新型コロナウイルス感染症はなかなかの強敵であり、効果的なワクチンや治療法が開発されない限り、そして世界のどこかで流行している限り、再流行のリスクからそう簡単に免れられそうもない。残念ながら「新型コ

全都道府県が緊急事態宣言の対象地域に

本日「基本的対処方針」が変更され、全都道府県が緊急事態措置の対象地域に指定されました。特に、東京都及び大阪府、北海道、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、兵庫県、福岡県は、特に重点的に感染拡大の防止に向けた取組を進めていく必要がある「特定警戒都道府県」と呼ばれることになりました。以下、主な変更点をまとめます。 特定警戒都道府県の設定これまでの7都府県に加えて、北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府の6道府県が追加された13都道府県を特定

緊急事態宣言におけるまん延防止対策のステップ

法的なステップ特措法に基づく新型コロナ感染症対策の「まん延防止」の法的なステップとしては、 1)協力の要請(緊急事態宣言の有無を問わず)(第24条の9) (以後、緊急事態宣言下の地域) 2)外出自粛の要請(第45条第1項) 3)施設の使用制限・停止、または催物の開催の制限・停止、   その他感染対策を講ずるよう要請(第45条第2項) 4)3の指示(第45条第3項) という流れになっています。最低限の私権制限に留める、という観点からこのように慎重なステップが取られることにな

基本的対処方針の変更:夜の繁華街対策を全国に

先日4月7日付けで緊急事態宣言が発令されたことに伴い、基本的対処方針が改定されていますが、本日、さらに基本的対処方針が変更されています。 変更されたのは以下の太字の一行が追加されたことだけです(p.15)。 三 新型コロナウイルス感染症対策の実施に関する重要事項 (3)まん延防止 ㉑ 政府及び特定都道府県以外の都道府県は、職場等における感染の拡大を防止するため、BCPに基づく対応のさらなる強化、労働者を使用する事業者に対し職場内においても「三つの密」を避けることとともに、

新型コロナ対策:施設の使用制限と感染対策の方向性が明らかに

緊急事態宣言に関する公示が昨日4月7日夜に行われ、緊急事態措置を実施すべき期間と区域が設定されました。これに伴い、「基本的対処方針」も4月7日付けで改正されたところです。 さて、緊急事態措置の一つ、「まん延の防止に関する措置」として実施される「施設の使用制限」「催し物の開催制限」ですが、基本的に、施設を以下の3通りに分けて対応することになっています。 施設使用制限の運用 区分1:感染リスクが高い施設 →使用制限も含め最優先で対応が必要 区分2:社会生活を維持する上で必要な

基本的対処方針とは

特措法に基づく新型コロナ対策では、「基本的対処方針」が重要な文書となります。 基本的対処方針の役割以前にもご紹介した「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」ですが、これは様々な病原性や毒性の新型インフルエンザウイルスが現れることを想定して作成された計画でした。そのため、様々な状況を想定した対策オプションが記載された分厚い計画になっています。しかし、これを端から順番に実行していく、という性質のものではありません。この中から、必要な事項を選んで、出現した新しい感染症に必要な対策

あわてない・あつまらない・がんばらない

佐賀県の新型インフルエンザ等対策行動計画は、非常にシンプルにまとめられています。その中で出てくる「対策のキーワード」をご紹介します。 あわてない発生前の段階から、新型インフルエンザ等の正しい知識の啓発や、感染予防策の習慣づけ、医薬品・食料品等の備蓄など、計画性をもって準備することで、発生した時に『あわてない』ようにする。 「緊急事態宣言」にも慌てず、落ち着いて、準備し、対処することが必要です。 あつまらない感染経路として、空気感染、飛沫感染及び接触感染などが考えられるこ

新型コロナ専門家有志の会がnoteを拠点に情報発信をはじめます

「新型コロナウイルス感染症に関する専門家有志の会(以下、有志の会)」が4月5日からnoteを活用して、コロナと戦うための知恵をひろく発信することになりました。有志の会は政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の専門家会議で副座長を務める尾身先生を中心に最前線で対策にあたっている専門家21名で構成されています。 有志の会のnoteを通じて、最新の信頼性ある情報に触れて、コロナに打ち克つ行動変容を起こしていきましょう。noteはメディアのプラットフォームとして、コロナとの戦いに協

緊急事態宣言で何が変わるのか

新型コロナウイルス感染症患者が増加しています。これまで新型インフルエンザ等対策特別措置法について色々書いてきましたが、改めて「緊急事態宣言」後に何が変わるか、を改めて整理したいと思います。 緊急事態宣言が行われる状況政府の行動計画には、緊急事態宣言が行われる状況として「緊急事態措置を講じなければ医療提供の限界を超えてしまい、国民の生命・健康を保護できず、社会混乱を招くおそれが生じる事態であることを示すものである」と記しています。感染拡大を少しでも防ぎ、あるいは遅らせて、適切

新型コロナ対策とクラスター対策

新型コロナウイルス感染症の患者数は全国的に増加傾向にあります。専門家会議からも、「今のところ諸外国のような、オーバーシュート(爆発的患者急増)は見られていない」という状況分析がありましたが、今後も予断を許さない状況が続いています。近況について詳しくは、専門家会議による「状況分析・提言」をご覧ください。 現在の新型コロナウイルスのまん延防止対策として行われているのは「クラスター対策」です。このクラスター対策の考え方を簡単に解説したいと思います。 1. クラスター(集団感染)