日本より実は活発!?小国ベルギーの卓球事情
今回は、ベルギー(主にブリュッセル)での卓球事情についてご紹介します。
ベルギーで有名なスポーツといえば、「サッカー」と「自転車」です。
なので、ヨーロッパでも盛んなドイツやフランスと比べるとベルギーはそこまで卓球人口は多くありません。
しかし、かつては世界ランク一位に輝いたジャン=ミシェル・セイブ選手もベルギー出身であり、男子の世界ランキングは25位と、強豪国にはかなわなくてもそこそこの中堅国といった感じでしょう。
そんなベルギーで僕が所属しているのは、「Logis Auderghem」という国内では最大規模のクラブです。昨年まで、セイブ選手も所属していた有名クラブだそうです。
(クラブにはセイブの写真が掲げられてました)
クラブHP:http://www.logis-auderghem.be/
クラブ専用の練習施設があり、クラブに正社員として働くコーチやマネージメントの人も揃っており、れっきとした法人クラブです。
クラブでは、初心者から代表レベルまで選手が所属しており、それぞれの「ランク」に応じて曜日ごとのトレーニングがあります。そして、卓球連盟に登録して正式な選手として活動する場合は、毎週末、団体戦として他のクラブとホーム&アウェイ形式で試合を行なっていき、シーズンごとに順位を競います。
ここでベルギーのランキングシステムについてご紹介します。
A〜NC(初心者)まで数字と組み合わせた細かいランキングが存在します。各選手はそれぞれランクが与えられ、同レベルの選手とチームを組んで、団体戦を行なっていきます。そして試合を行なっていく中で、自分よりも上位の選手に勝利してポイントを稼いでいけば、ランクアップしていきます。
ちなみに僕のランクは「D2」で、中の下だそうです笑
ただ、ランクは細かく設定されているので、当然、すぐ上の選手に勝ったり、すぐ下の選手に負けることもあり、最終的な勝ち星が自分のランクアップにかかってきます。
そんなこんなでベルギーの卓球事情をご紹介してきましたが、感じることは日本との大きな違いです。
日本は世界でも屈指の卓球強豪国であり、卓球人口もベルギーをはるかに凌ぎます。
アマチュアも含めて潜在的なレベルは相当高いと思います。
しかし、一般の愛好家から社会人選手まで、練習や試合に参加できる機会はそれほど整備されているとは言えません。
僕が所属していた都内の区卓球連盟の例で言えば、連盟に加盟する地域クラブはあるものの、クラブ対抗の団体戦は、わずか年2回だけ。連盟が主催するシングルスも年数回程度で、あとは個人で地域のオープン戦にちらほらチャレンジするしかありません。
もちろん、日本には実業団リーグもあるし、最近になってようやくプロリーグである「Tリーグ」も始まりました(これまでなかったのがビックリですが)。どちらかといえば、一部のプロ選手の人々の間にしか卓球のリーグが無いわけです。
もちろん、日本国内をちゃんと調べれば、そういったリーグがちゃんと設立されている地域もあるのかもしれません。しかし、全体として、「一般の」愛好家がそれぞれのレベルに応じて地域で卓球に励み、定期的に試合ができる環境が充実しているかといえば、小国ベルギーと比べても、少ないのではないでしょうか。
そしてこちらの卓球をめぐるIT整備環境も極めて優れています。
クラブ会員専用のページが存在し、ログインすれば、全チームメイトの連絡先、年間の試合スケジュールがカレンダーに組み込まれ、その週の試合への参加可否もオンライン上ですべてやりとりします。そして卓球連盟のオープン大会への参加登録も全てネット完結。
僕の日本の地元オープン大会への参加方法は、「手紙で郵送」でした。
決して日本をディスるつもりは無いのですが、こちらの運営は極めて合理的だということです。
Tリーグを創立させた松下浩二前チェアマンは、まずプロ選手の間でリーグを定着させて、それを地域の愛好家レベルまで根付かせたいと語っていました。
ベルギーと日本の差はどうして生まれたのか、複合的な要因(運営側の高齢化・余暇の軽視など)よくよく調べる必要があると思います。
しかし、これだけ卓球人口を抱える日本ですから、一般愛好家の潜在的なニーズは相当高いと思います。もちろんそうした愛好家達も「仕事の合間でどこまで参加できるか・・」という背景もあるでしょう。
ベルギーを見習えとはいいません。ただ、こちらの人は趣味もガチで取り組んでいるよ、ということです。
どんなスポーツでも一般の人々が気軽に、そして真剣に取り組める環境を整備すれば、地域振興にもつながるし、ワークライフバランスにもなるでしょう。こういった観点から日本が見習えるところは色々あると思います。
しかし、もろもろの根源は、人生のほとんどを仕事に費やす日本人(すなわち、「趣味やってる時間なんて!」みたいな社会的風潮)と、ワークライフバランスを第一に優先するヨーロッパ人との考え方の違いなのかもしれません。
来週から僕も試合です。
今後さらに取材して、卓球を通して地域とスポーツのあり方を考えていきたいと思います。
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