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アメリカで知るバイオスズメ真実

現在アメリカに滞在中である。アメリカの中でも治安のいい都市で、ホテル近辺も治安のよい街区なのだが、裏に駐車場と公園に挟まれ孤立した2軒の建物があり、そこがスラム化している。

2軒だけなので通過する分には問題ないのだが(そこそこ人通りがある)、ただ座ってたむろしている人の挙動は怪しく、何か煙草ではなさそうなものに火をつけて吸っていて、建物前だけは路上がゴミで散らかっている。そこでゴミを漁るスズメがけたたましい声で鳴いているのである。

日本で言えばカラスか、あるいは隙間ではネズミが入り込んでいるようなニッチだが、ここをスズメ類が幅広く抑えているようなのだ。日本のスズメゴミ漁りくらいはするのだろうが、肉食性のカラスや野良猫を恐れてそこまで大きな声で鳴いたりはしないところ、ここアメリカではその両方が少ないためにスズメがとんでもなく増長しており、スズメどうしの縄張り争いでビービーうるさいのである。

スナップショット。ガチでゴミ屋敷化している場所は、目の焦点があってない感じの人がたむろしているので写真を撮影することができなかった。


この光景に思い出すところがあった。その昔遊んでいた、Flashゲームの"The last stand"シリーズである。

このゲームはいわゆるゾンビアポカリプスもので、荒廃した街を舞台に夜間活動するゾンビを倒して生き残るガンアクションなのだが、ステージクリアで朝を迎えるとスズメがうるさいくらいに鳴いている効果音入るのが特徴だった。

当時は単に朝を迎えた表現にしてはうるさいな程度に思っていたのだが、今回の体験で完全に見方が変わった。スズメの鳴き声は荒廃したスラムの表現なのである。我々日本(の大都市に住む)人がカラスに対して抱いているイメージと、アメリカ都市住民はスズメに対して抱いているイメージは、ある程度重複しているのだろう。


こうなると、ニンジャスレイヤーのバイオスズメも理解しやすくなる。アメリカではネズミと同じ場所でゴミ漁りする動物として、荒廃した様子を表現するのに自然な鳥である以上、以下のような表現も肌感覚で納得できるようになった。

明け方のネオサイタマ、ピザタキの窓の外、キタノの薄汚れたストリートでは、よく肥ったバイオドブネズミが投棄ゴミに群がり、それらを狙うバイオスズメが電線に群がって、チュンチュンと鳴き声を発していた。店内においては酒気を帯びた重だるい空気の中、床やテーブルで寝る客の寝息とイビキだ。

マスター・オブ・パペッツ #4

目の前には日の消えたロウソク。破れ窓からはバイオスズメの鳴き声が聞こえてくる。廃テンプルでそのまま夜を明かしてしまったのだ。

ネクロマンティック・フィードバック #2

アニメイシヨンのストレンジャー回でカラスめいてゴミ捨て場を漁っていたもの同じような表現だろう。

ニンジャスレイヤーの作者が誰かというのはしばしばいわれるが、このスズメの表現はある程度北米の都市事情を肌感覚レベルで理解していないとなかなか作れないだろうなあ、とは思ってしまった。


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