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クセ強め。ドストエフスキー。
【その2】
「俺がそういう人間のことを考えるのは、つまり自分自身がそういう人間だからさ」
ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟(上)』
訳者 原卓也
新潮社 昭和53年 260頁
この一文は登場人物の台詞ですが、ドストエフスキー自身の主張でもあると思っています。
ドストエフスキーの好き嫌いが分かれるのは…
つまり面白いと思う人と、面白くないと思う人に分かれるのは、「彼の精神性に共感できるかどうか」
が大きいように思いますが、どうでしょうか。
常に内へ内へと向かうあの感じ。 クセ強め。
ドストエフスキーの作品は、金太郎飴のように、どこを切ってもドストエフスキーですよね。
言ってしまえば、古典的こじらせ系です。
こじらせと言えば…
『地下室の手記』に大好きなシーンがあります。
細部は忘れましたが
主人公が向こうから歩いてくる人に対して
「いつも自分がよけてしまう!」
と気がついて、必要以上に思い悩んだ挙句、
「今度は絶対によけないぞ!」
と気合を入れるも、前から人が来ると体が勝手によけてしまう。
そしてメラメラと闘志に火がついた主人公は、ついに一張羅に身を包み(ビーバーの襟かなんかでめかし込むんだっけ)戦いに挑むという、ギャグ漫画のような展開です。
結果、「ついに俺はやったのだ!」みたいになるんだけど、すれ違った時に相手の肩に触れただけ、みたいな。
おそらく(いや、間違いなく)、ドストエフスキー自身がその主人公みたいなタイプの人間なのでしょう。
私はそんなドストエフスキーが大好きなんです。
ではまた。
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