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#8 マインドフルネス ストレス低減法(MBSR)とは?

stand.fm『瞑想Cafe』の8回目の放送です。
今回は、「マインドフルネス」のブームの火付け役である「マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)」について話をしていきたいと思います。

『瞑想Cafe』では、瞑想に関すること、マインドフルネスやヴィパッサナー瞑想、「ブッダの教え」など、瞑想に関連するさまざまなことを、その日の気分で、気軽に、誰でも分かるようにお話していきます。

この記事では第8回の放送内容を要約して、お伝えしたいと思います。

1.「マインドフルネス」という用語の活用

マインドフルネス(mindfulness)の語源は、パーリ語のsati(サティ)の英語訳で、「気づき」という意味です。

「マインドフルネス瞑想」は「気づきの瞑想」ともいいます。

マインドフルネス(mindfulness)の語源は、パーリ語のsati(サティ)の英語訳で、「気づき」という意味です。

1970年代にジョン・カバットジン博士が「マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)」開発した時代は、どういう時代だったのか。

この時代は、東南アジアから移民が増え、それとともに上座部仏教の僧侶が来日し、それとともにマインドフルネスが広がっていきます。

この時代、マインドフルネスを広げるために活躍した方で有名なのは、

スリランカ上座部仏教僧ニャナポニカ・テラ師
ベトナム人の禅僧ティク・ナット・ハン師

などが有名で、いろいろな上座部系長老の方々が、英語でマインドフルネスの書籍を多く出版され、多くのアメリカ人に広がっていきます。

この時代から、書籍のタイトルなどで、「マインドフルネス」という用語を積極的に使用しています。

なぜかな?と当初は思っていたのですが、その当時のアメリカには宗教の問題もあり、マインドフルネスとして仏教とは切り離して指導したとしても、ルーツが仏教にあると、なかなか受け入れられる土俵はなかったのではないかと思います。

本来、ブッダの教えは宗教ではないのですが。
しかし、仏教という宗教の教えになってしまいます。

アメリカには、キリスト教含めて、さまざまな宗教があります。
その方々に受け入れられるには、ある程度宗教色が薄い、新しい概念である用語が必要だったのでないかなと推測しています。

アメリカで受け入れられるための工夫として「マインドフルネス」という用語を積極的に用いたのではないかと考えています。

私のキリスト教の友人の事例として、

一緒に歩いていて、神社に寄る用事があったので、付き合っていただいのですが、絶対に神社の境内には入らない、外で待っていると頑として断られます。

また、ある別のキリスト教の友人に、話題としてヴィパッサナー瞑想やブッダの話をすると、完全拒否の姿勢でした。

最近読んだ本の中で、あるアメリカの精神科医の話があり、患者に「マインドフルネス・ストレス低減法」を勧める際に、ベースが仏教であることを説明すると、現代においても3割以上の方に拒否されるそうです。

ジョン・カバット・ジン博士も、セミナー等の公の場では、上座部仏教、ヴィパッサナー瞑想、仏教、禅などの話は一切しなかったそうです。

日本人が思っている以上に、宗教という扱いは難しいようですね。

2.3つのマインドフルネス

(1)上座部仏教、ヴィパッサナー瞑想がベースとなっている、ティク・ナット・ハン師などが広げたマインドフルネス。
その目的は、サマーディ(精神集中の訓練)の「サティ・気づき」と「精神集中」の育むための教えであり、ヴィパッサナー瞑想であるものです。

(2)ジョン・カバット・ジン博士が開発した「マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR )」のマインドフルネス。
その目的は、現代生活におけるストレスの低減です。

(3)Googleの「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」というGoogle独自の研修プログラムのマインドフルネス。
その目的は、マネジャーやエンジニアのパフォーマンスを向上であり、感情コントロールと心の知能指数(EQ)の開発を目的にしたものです。

同じマインドフルネスという用語ですが、その目的や使われ方は違ってきます。
どのマインドフルネスを習ってきた人なのか、どれを基に派生したものなのかで違ってくるのということを、今回改めて実感しました。

3.「マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR )」とは

ジョン・カバット・ジン博士は、大学在学中からマインドフルネスに興味を持ち、禅の手ほどきを受けるとともに、マインドフルヨガのインストラクターもしていたそうです。
その後、上座部仏教のヴィパッサナー瞑想も学び、実践しています。

(1)ジョン・カバット・ジン博士の経歴

1970年代 「マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR )」を開発
1979年 マサチューセッツ大学にストレス低減センター(マインドフルネスセンター)を起ち上げ、同大医学部教授となる
1990年代 うつ病の治療のためにマインドフルネス認知療法(MBCT)へと展開

「マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)」は、慢性的な痛みやストレスをもった患者を対象にした、8週間のマインドフルネスの集中プログラム
です。

参加者は、医療従事者及び一般の参加も可です。

今までに、MBSR修了者は世界中で2万人を超えています。

プログラムは、MBSR認定講師により、世界中で開催されています。

目的は、現代生活におけるストレスを低減することです。

(2)マインドフルネスの定義

マインドフルネスとは
瞬間瞬間の体験に対して、今この瞬間に、意識的に、価値判断せずに、注意を払うことで生まれる気づき

(3)コース内容

8週間の間に、計10回コースに参加
・週に1回、2~3時間のクラスに参加
・第6週と第7週の間に、朝から夕方までの全日クラスに参加

8週間のカリキュラムが定められており、その中で様々なマインドフルネス瞑想をグループで学習することによって、ストレスへの対処法を学ぶようにできています。

上座部仏教の伝統的な瞑想法、ヴィパッサナー瞑想が基本的に取り入れられていますが、その他の仏教(禅)やヨガの実践方法も取り入れられています。
どのような宗教を持つ人、あるいは宗教を持たない人でも、気兼ねなく参加できるように、宗教性は注意深く排除し、治療を補完する療法として開発されたものです。

また、効果は科学的な方法で検証されて、新たな知見があれば、カリキュラムの変更が随時行われていくそうです。

8週間のプログラムの中で行う訓練項目は、

・マインドフルネス瞑想
 静坐した状態で呼吸や音など、特定の対象に意識を集中させる
・サマタ瞑想
・アーナパーナサティ
・ボディスキャン
 仰向けに寝た状態で、体の各部に意識を向け、観察するヴィパッサナー瞑想の体験
・マインドフルウォーキング
 歩行に伴う体の感覚に意識を向け、観察する歩行瞑想
・マインドフルヨガ
 ヨガのポーズをとりながら、体の感覚を観察
・慈悲の瞑想
・食べる瞑想
 マインドフルネス瞑想とはどんな感じかを理解できるように、食べることに全神経を集中する
・マインドフル・リスニング/スピーキング等


(4)効果

・身体感覚、集中力の向上
・現実の困難や身体的苦痛、精神的苦痛に対して効果的に対処できるようになる
・自分自身をいたわることができるようになる


(5)マインドフルネス瞑想

呼吸の瞑想を行います。
そのポイントは、次のとおりです。

呼吸に意識を集中する。
鼻の穴、胸、お腹のどれか一か所に意識を集中して呼吸する。
体の一部が呼吸と一体化になる感覚を意識する。
一体感を味わう。
呼吸を意識すれば、「今ここ」に意識を集中できる。
ただ気づくことが重要。
心が呼吸から離れたとこに気づいたら、呼吸に意識を戻す。
瞬間瞬間に沸いてくる「思い」や「感覚」に気づく。
それらの思いに対して、“評価しない”、“ただ観察する”ことが重要。
「今ここ」に意識を集中すること。
心とからだ、呼吸に意識を集中するだけ。
「今ここ」に集中し、自分自身に気づいていること。

(6)7つの心得

1. 決めつけない(Non-judging)
意識下・無意識下の好き・嫌いを価値判断に変換しない、こうあるべき、できる・できないなどの決めつけ・思い込みにとらわれず、いま体験していることを観察する

2. 忍耐・辛抱強さ(Patience)
事が成るには時間が必要なこと、様々な心のありよう(決めつけ・動揺・さまよい:wandering など)を忍耐強く受け入れる

3. 初心(Beginner’s mind)
今していることを、初めてのことのように体験する・試みる
世界は常に変わっている。いつも新鮮な気持ちで、ことに当たる

4. 信頼(Trust)
自分自身の持つ智慧・善良さを「無条件に」信頼する

5.(結果を求めての)努力をしない・頑張らない(Non-striving)
マインドフルネスはすること(doing)から、あること(being)への転換を図るものであり、結果は後からついてくる、またはついてこない
結果を求めて doing しない

6. 受容(Acceptance)
今あるものを受け入れることが、自己へのねぎらい:思いやり(self-compassion)・癒しと洞察に繋がり、確信をもって物事を進めるための基盤となる
あるもの・与えられたものを使って生きていく

7. 手放す・囚われない(Letting go/be)
快への執着、不快を厭う心、自己批判、過去・未来についての思い・考えなどを意識のもとに明らかにし、それはそれとしておく・去るに任せる

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