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#5 マインドフルネスとは、そもそもどんなもの?

stand.fm『瞑想Cafe』の5回目の放送です。
今回は、「マインドフルネス」という言葉はよく聞くと思いますが、このマインドフルネスとは、そもそもどんなものでしょうか。
マインドフルネスは幅広く使われていますので、今回マインドフルネスの本質とは何かをお話ししていきたいと思います。

『瞑想Cafe』では、瞑想に関すること、マインドフルネスやヴィパッサナー瞑想、「ブッダの教え」など、瞑想に関連するさまざまなことを、その日の気分で、気軽に、誰でも分かるようにお話していきます。

この記事では第5回の放送内容を要約して、お伝えしたいと思います。

1.瞑想=マインドフルネス瞑想の風潮

これから瞑想を習おうかな、習いたいなと考えている人の8割程度は、「マインドフルネス瞑想」を習おうかなとイメージしているのではないでしょうか。

一般的には、瞑想=マインドフルネスのような風潮ができつつあるように感じています。

数年前からマインドフルネスが盛り上がってきているように感じています
特に、最近はマインドフルネス瞑想のスマホアプリなどの影響も大きいように感じますね。

逆に、マインドフルネスという言葉が、今は幅広く使われすぎて、本来の意味が薄れ、少しあいまいな言葉にもなってきているようにも感じています。

先日、Twitterを見ていて、笑ってしまったツイートありました。
あるトレーナーが集客するためにどうしたらいいか、他のトレーナーに相談したところ、

“マインドフルネスという言葉を付ければいいのよ。そしたら、皆に興味を持ってもらえるから“

とのアドバイスをもらったそうです。

なんでもかんでもマインドフルネス。
そんな風潮が少しあるのではないかと感じています。

2.マインドフルネスとは

マインドフルネス(mindfulness)の語源は、パーリ語のsati(サティ)の英語訳で、「気づき」という意味です。

「マインドフルネス瞑想」は「気づきの瞑想」ともいいます。

パーリ語は、お釈迦さまが2,500年前に実際に話されていた言葉で、南伝上座部仏教の経典(『パーリ語経典』)で主に使用される言語になります。

そのパーリ語経典が、ミャンマーやスリランカ、タイなど東南アジアで伝えられて、現在まで守り残されてきたものです。

お釈迦様が悟りを開いたときに行っていた瞑想が「ヴィパッサナー瞑想」です。

ヴィパッサナーとは、「物事をあるがままに見る」という意味です。
ヴィパッサナー瞑想とは、心とからだを観察・洞察する瞑想のことです。

この「ヴィパッサナー瞑想」の目的の一つがサティ(気づき)になります。

マインドフルネスを理解するためには、「ヴィパッサナー瞑想」のサティ(気づき)を理解しないと、マインドフルネスを本当に理解したことにはならないと思っています。

一般的に言われているマインドフルネスは、仏教色を排除して、誰でも実践できるように、おいしいところ取りして、ノウハウの一部をまとめたのがマインドフルネス瞑想なんですね。

第3回でお伝えしましたように、マインドフルネス瞑想は、サマタ瞑想とヴィパッサナー瞑想の中間のような位置付けで、中間よりもヴィパッサナー瞑想寄りになります。
マインドフルネス瞑想は、ヴィパッサナー瞑想のジュニア版とも言えます。

3.マインドフルネスの広がりと時代背景

マインドフルネスの始まりは、1970年代のアメリカになります。

1970年代に東南アジアから多くの人が、アメリカに移民したそうです。
それとともに、南伝上座部仏教の僧侶もアメリカに入ってきて、上座部仏教やヴィパッサナー瞑想などを指導したり、英語での書籍を多く出版したそうです。

アメリカで受け入れられるための工夫の一つとして、マインドフルネスという用語を積極的に使用したのだと思います。

マインドフルネスの普及の貢献者であり、第一人者は

ベトナム人の禅僧ティク・ナット・ハン師

マインドフルネスは、ティック・ナット・ハン師の代名詞的な言葉ともいえます。
ティク・ナット・ハン師が、マインドフルネスを広めたと言っても過言ではありません。

そして、アメリカでマインドフルネスが普及する土台ができてきました。

その後、「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」をジョン・カバットジン博士が開発して、ブームに火を付けました。

マインドフルネスストレス低減法(MBSR)は、慢性的な痛みやストレスをもった患者の治療を目的とした、8週間のマインドフルネスの集中プログラムになります。

その後、2005年ごろから、Googleの社内でワークショップ開始し、2007年にSIY (サーチ・インサイド・ユアセルフ)というGoogleの独自のマインドフルネスプログラムが立ち上がりました。

Google導入を機に、IT先端大手企業が導入し始めて、マインドフルネスのブームが起こり、今に至っています。

今、皆さんがやっているヨガも同じような流れですね。

伝統的なハタ・ヨーガの流れとは別に、1990年代に宗教色を排した身体的なエクササイズとして、現代風にアレンジされ、身体的ポーズ(アーサナ)を中心にしたフィットネスとして始まった経緯があります。

4.南伝上座部仏教でいうサティ(気づき)とは何か

マインドフルネスは、サティ・気づきです。

気づきとは、今この瞬間に、心の内側で働いている微細な心の働きを識ること、認識することです。

気づきの状態とは、「あっ!そうか!」という感覚に近いと思います。

物事を細かく観察すると、何かしらの「変化」を見つけることができて、
「ハッとする」、「あっ!と思う」のように、突然起こるような感覚です。

自分の内面から生じる感覚的な「発見」や「ひらめき」、「解釈や理解の変化」のことだとも言えます。

5.マインドフルネスの定義

一般的には

今この瞬間に注意集中して、評価・判断しないで、ありのままを気づくこと

今の瞬間に注意集中して判断や解釈をせずに、「あるがままに気づく」、「今を生きる」こと

判断・ジャッジしないでそのままを見る・聞く・感じること

今この瞬間に起こっている感情に感じればいいんですよね。
そう答える方が多いかもしれません。

日本マインドフルネス学会定義は

今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること
” “観る” 見る、聴く、嗅ぐ、味わう、触れる、心の動きをも観るという意味

今この瞬間に起こっている、からだの感覚、心の働きを観ること、観察することです。

瑛人(えいと)さんの「香水」という曲が大ヒットしていますね。
そのサビの歌詞に

別に君を求めてないけど 横にいられると思い出す
君のドルチェ&ガッバーナの その香水のせいだよ

香水の匂いにより、臭覚が刺激されて、心が働き、思い出とともに、その時の感情を思い出し、感情が膨れ上がってくる。

別に君をまた好きになるくらい君は素敵な人だよ
でもまた同じことの繰り返しって
僕がフラれるんだ

感情が膨れ上がり、グルグル頭の中で想いが巡り出します。
最終的には、フラれた嫌な感情が吹き出して、僕がフラれるというネガティブな感情になっていくわけです。

香水の香り一つから、過去のいろいろな記憶を思い出し、その時の感情が広がり、フラれた感情が吹き出すたんですね。

このときは、その瞬間瞬間の心の内側で、無意識に心の内側が動き出しています。

私たちは、思考や感覚器官との接触によって、心が無意識に反応し、働いています。

 “観る” とは、見る、聴く、嗅ぐ、味わう、触れる、心(雑念)の6つの感覚器官の働きによって、無意識に心の内側が動き出しています。
その心の働きをも観る、気づく
ということです。

心は、意識しないで反応して、動き出しています。
この無意識に働いている「心の働き」とからだに生じる「感覚」に気づくが重要になります。
この無意識の反応している心の癖、この反応を止めることが、ヴィパッサナー瞑想の大きな目的になります。

※ 無意識の心の働きに関して詳しく説明をしている記事もありますので、よろしければ参考にしてください


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