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思い出の1月2日

家族でやってきた海外旅行も
あっという間に過ぎるもので
本日のナイトフライトで帰路につく。

とはいえ、最終日もフルで一日を使うことができるので
今日も余力を残すことなく
タイを味わうことになるのだろう。

何度も書くが、この記事は昨年の12月12日に
私が書き溜めたものを放出しているので、
実際に1月2日に私がどのような状態なのかは
想像でしかないのだが、
恐らくクタクタに疲れているであろう。

帰りの飛行機で泥の様に眠る自分が今から想像できる。

さて、今日は1月2日であるが、
私にとってこの日は忘れられない思い出の日でもある。

何の日かというと、私が大学生だった頃
1年で最もアルバイトが忙しくなった日である。

せっかく思い出したので今日はその話を書こうと思う。

私は京都駅前のとあるビルにテナントで入っていた焼き鳥屋で
学生時代アルバイトをしていた。

なぜアルバイト先にそんな場所を選んだのかというと、
立地的にちょうどよかったのと、
ビルの閉館時間の関係で夜22時までには帰宅できたからである。

学生時代とはいえ、昼夜逆転の生活になると
学業に影響が出てしまう。

それを避けながら程よくいい時給が得られるアルバイトを
考えた時に、京都駅前のこの店がちょうどアルバイトを
募集していることを知り、私は応募した。

働き始めた当初は包丁すらまともに持てなかったので
先輩たちが恐ろしいものを見るような目で
私に教えてくれたものであるが、
1か月もすると包丁の扱いにも慣れてきて、
店でも戦力として認められるようになってきた。

その店は決して大人気というわけではなかったが
平日の夜はそこそこ顧客が入っており、
金曜日の夜などは結構忙しかった記憶がある。

だが、年に何度か驚くほど人が来ない日がある。

台風などの災害が迫っている時には当然ながら
お客さんは全然来ないのだが、
毎年元日は驚くほど暇なのだ。

元日の京都と言えば初詣客がごった返してそうに
思われるかもしれないが、
元日から外で焼き鳥を食べようとする人は
案外少ないらしく、
元日の営業は驚くほど暇なのだ。

アルバイト2年目だった年、
私は1月1日、2日と連続でアルバイトに
入ることになった。

以前から元日はとにかく暇だと先輩に
聞かされてきたので
どれほど暇なのか楽しみにしながら
店に立ったのだが、
私が想像していたよりも倍以上、人が来ず
閉店時間までまさに閑古鳥が鳴いていた。

お客さんが来ないというのは傍から見れば
楽そうに見えるが、
実はとても辛いことである。
明日はそこそこ忙しくなればいいなと
思いながら、私は元日の業務を終えて
翌日を迎えた。

ところがである。

1月2日は前日とは天と地がひっくり返ったのかと思うほど
様相が異なっていた。

開店時間から閉店時間までひっきりなしに
顧客が押し寄せてきたのである。

通常ランチの営業から夜の営業までの間は
アイドルタイムと呼んでおり、
この時間に夜の串の仕込みをしたりするのだが
1月2日はその暇すらないほどずっと顧客が押し寄せてきて、
私達は仕込みをその場でして料理を提供するという
とんでもない状態になってしまった。

しかもその日は午前10時から閉店まで12時間勤務。

これまで40年の人生で忙しいという思いは
何度もしてきたが、
恐らく私の人生で最も忙しい一日だっただろう。

冗談ではなく気が付くと私はレジ閉めをしており、
キッチンは酷い有様であった。

いつもはリラックスしながら少し店長との
雑談を楽しむこの時間であるが、
この日ばかりは店長がグラスに入れたビールを差し出してきて
「兄ちゃん、今日はご苦労さんやったな」と
黙って二人でビールを飲み干した。

あれから20年ほどの時間が経って
今となってはあの店長が何をしているのかはわからないが、
この記事を書いている年末のあわただしさが
私に人生で最も忙しかった一日を思い出させてくれた。

1月2日に見る夢を初夢というらしいが、
2024年は何だか忙しい一年になる前触れなのかもしれない。

せっかちな私にとっては忙しいことは
最高のごちそうである。

今年も思い切り忙しさを味わっていきたいと思う。


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