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”ぶりっ子”って一体何?

先日息子が話しているのを聞いていると
「ぶりっ子」という単語が何度か出てきた。

やはりいつの時代も”ぶりっ子”といわれる女子は
いるものであろう。

そう思いながらその話を聞いていたのだが、
どうも私が頭に思い描いている”ぶりっこ”とは
少し定義が違うような気がしてきた。

私の中の”ぶりっ子”とは本心とは裏腹に
動きや言動、仕草を周りから可愛くみられるように
する人のことである。

可愛い子ぶる子→可愛い子ぶりっ子→ぶりっ子
という流れでこの呼び名になったのであろう。

私の頭の中で”ぶりっ子”として浮かぶのは
中学時代に同級生だったHさんである。

Hさんは見た目はメガネをかけた普通の女子なのだが、
男子の前では動きや言動が漫画の中から出てきたように
なることで有名であった。

だが、息子の話に出てくる”ぶりっ子”とは
ただ単にオシャレをしていて決して男性ウケを
狙っているようには聞こえないのである。

”ぶりっ子”という呼び方が先ほど書いたような流れで
生まれたのであれば、
息子が言う女の子は可愛い子ぶっていないので
”ぶりっ子”ではないということになる。

だが、ここで一つ疑問が生じる。

そもそも”ぶりっ子”ではない子とは
どんな子なのかということである。

少なくとも私は男性として生きてきて
学生時代に周りを見渡しても
本心とは裏腹にカッコよく見られようと
意識している人しかいなかったように見える。

そういう意味では私も含め周りにいた男子たちは
皆が男性版”ぶりっ子”であった。

だが、中にはごくまれに女性に全く興味がなく
自分の好きな容姿を通している人もいたが、
この定義で言うならその人だけが”ぶりっ子”では
ないということになる。

これは女子でも同じなのではないだろうか。

先日ようこさんが紹介されていた
この本の中にも書かれていたが、
そもそも環境によって人は
仮面をかぶる生き物なので、
対人関係がある限り私達は何かを演じ続けている。

そういう意味では私達はずっと嘘をつき続けているのと
同じことになるわけで、
周りによく見られたい、うまくやりたいと思う皆が
基本的には”ぶりっ子”だとするならば
私達は殆どが該当するだろう。

では、なぜ”ぶりっ子”などという言葉が
使われるのか。

そう考えたときに、一つの可能性が頭に浮かんだ。

それはその人を可愛いと思ったことへの
照れ隠しではないかということである。

何度も言うように”ぶりっ子”とは
可愛い子ぶっている子ということである。

この定義からいうと、”ぶりっ子”の本性は
可愛くないはずである。

息子は特定の女子の行動に対して
実は「可愛い」と感じており
それを言葉に出して言いたいけれど、
素直に話すのは恥ずかしい。

なので、
「俺は可愛いと思ったけれど、
それは彼女の本性ではないに違いない」と
オブラートに包んで言うために
「あいつはぶりっ子だ」などと言っていたのでは
ないだろうか。

私達はその可愛さが作られたものなのか
ナチュラルなものなのかなど
判別できる生き物ではない。

そもそも可愛いという定義自体が
あまりに曖昧であるし、
可愛いと思われたくて意識して作られたものも
ある意味でナチュラルなものである。

そう考えてみると”ぶりっ子”という言葉自体が
異性もしくは同性がある人を「可愛い」と
感じたことに対する照れ隠しであったり
負け惜しみを目的として作られた言葉なのだ。

この曲の歌詞にも”ぶりっ子”という言葉が
登場するが、
文脈として可愛い自分をやっかんでくる相手に対して
「私って”ぶりっ子”しててゴメンね」と
煽るような内容となっている。

まさにこの歌の主人公の周りの人は
主人公の可愛さに対して
「あの娘は”ぶりっ子”だ」などと
陰口をたたいていることに対する当てつけなのだろう。

こうして何気なく聞こえてきた”ぶりっ子”という言葉を
掘り下げてみると
息子が”ぶりっ子”と称する女子のことを
実は可愛いと思っており、好きなのだということが
透けて見えてきた。

小5の息子にこんなことを言うと
口をつぐんでしまいかねない。

あえて息子には指摘せずに”ぶりっ子”という
照れ隠しワードをそのまま使ってもらい、
それを聞くたびに密かにニヤニヤしようと思う。

こうして考えてみたときに
私が”ぶりっ子”として思い出した
同級生のHさんのことを私はどう思っていたのか。

もう25年以上前の話なのでよく分からないが
もしかしたら「可愛い」と思っていたのかもしれない。

当時の自分にこの記事を読ませてみたい。


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