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コンコルド効果と回転寿司

コンコルド効果をご存じだろうか。

かつて運航していた超音速で飛ぶ
旅客機コンコルド。
この飛行機からつけられた言葉であるが、
それは決していい意味ではない。

コンコルドは1960年代後半に
イギリスとフランスの共同開発が行われ、
1975年に就航した旅客機である。

コンコルドは通常の飛行機と異なり
超音速を出すために翼や本体の形状が独特で、
私も子供のころに憧れた記憶がある。

そんなコンコルドであるが、
実はビジネスとして儲かる代物ではなかったのだ。

長年にわたる研究開発費用、
超音速を実現するための超低燃費
客席の少なさと、飛行時の客室内の騒音。

様々な問題が出る中、通常の旅客機は
年々低燃費で低価格、かつ客室の快適性を
増していったのである。

そうなれば必然的に顧客はコンコルドから
離れてしまう。
通常このような状況ならば、
コンコルドはすぐに市場から姿を消すはずである。

しかし、実際にコンコルドがすべての運航を
停止したのは2003年11月であった。

実に就航開始から28年もの歳月が経っていたのだ。

なぜすぐにやめられなかったかと言うと
コンコルドの開発に尋常ではないコストを
すでに投入していたからである。

これだけの費用を投入したにも関わらず
数年で終わってしまっては
開発した国の威信にかかわると感じた結果
長年にわたって赤字のまま運航することと
なってしまったのだ。

このエピソードから、何かを続けるか止めるかを
検討する際にすでに投入したものを惜しんで
止められないことをコンコルド効果と
呼ぶようになったのである。

前置きが非常に長くなったが、
昨日我が家でまさにコンコルド効果を
実感するエピソードがあった。

昨日は日曜だったので久々に
お昼ご飯を外で食べようということになった。

私は近くの洋食屋で食べたかったのだが
妻と子供たちは回転寿司屋に行きたいという。

多数決に負け、回転寿司屋の予約をしようと
携帯を取ったところ、
私の携帯が通信障害の影響でうまく
使えずアプリが起動できなかったのだ。

そこで妻の携帯にアプリが入っていた
くら寿司に行くことにした。

実に数年ぶりのくら寿司である。

ご存じの方も多いと思うが
くら寿司は食べ終わったお皿を
入れる穴が各席に付けられている。

そこにお皿を入れると枚数が
カウントされて、5枚入れると
画面上でゲームが始まって
当たればガシャガシャのような
ボールが上から出てくる仕組みに
なっている。

私自身このゲームには全然興味がなく
純粋に食べたい寿司を食べていたのだが、
このゲームが回る度に妻と子供たちが
少しずつヒートアップしているのを
感じ始めていた。

子供たちは私が食べている皿を
早く入れたいと言い出すし、
妻は子供たちに「あと〇枚でもう一回やで」
と促し始めていた。

そんな中、そろそろおなか一杯になったなと
思ったタイミングで、
皿の数を見るとちょうど31枚であった。
5回に一回ゲームが起動するので
確かに31枚で終わるのがもったいない
気持ちはわからないではない。

しかし、仮に当たったとしても
出てくるのは大したことのない
キーホルダーのようなものである。

しかも、30枚まで食べてあたった数は
1個のみなのだ。

どう考えてもガシャガシャのために
さらに4枚の皿を食べるのは
オカシイと誰もが気づくはずであるが
子供たちと妻は「あと4枚何とか食べよう」
と言い出し、結局私もそこに協力する形で
もう一皿を食べたのであった。

なぜ私が指摘をしなかったかと言うと
これも子供たちにとって一つの
学びになると考えたからである。

そして35枚まで入れてゲームをした結果は
残念ながらハズレ。

当然ながら会計は当初の想定よりも
高くなっていた。

妻や子供たちが少しもやもやしながら
店を出ようとしたときに、
お店の入り口に置かれたガシャガシャを
ふと目にしたのだ。

なんと、私たちが一生懸命取ろうと
していた中身が入ったガシャガシャが
そこに置かれていた。
しかも1回100円である。

それを見つけて家族で笑いながら
帰路についたのであった。

車内の話題は
”次は冷静に判断しよう”と言うことで
あったことは言うまでもない。

今回経験したエピソードも一種の
コンコルド効果である。

実は私たちはこのような影響を
日々受け続けているのでは
ないだろうか。

スーパーのタイムセールや
割引品を見つけたときに
「せっかくここまで来たから」と
それほど欲しいと思っていなかった
ものを買ってしまうことも
これに似ている。

私たち人間は基本的に損をすることを
嫌うように設計されている。
それゆえに、無意識のうちに
コンコルド効果にハマってしまうのだ。

昨日の我が家のように
故意にハマったのであればいいが、
(妻や子供たちは故意ではなかったが)
企業側も売り上げを上げるために
このような心理効果を巧みに使って
仕掛けてくるものである。

これらの効果にやられることなく
冷静に判断するためには、
私たち自身がこのような効果があることを
理解しておく必要がある。

この記事を最後まで読んでくれたあなたが
このような心理効果にやられることなく
買い物ができれば嬉しい。


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