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ミックスナッツのナゾ

先日こんな記事を書いた。

この記事の中でカシューナッツの殻から
取れるエキスが豚などの家畜のゲップ(メタンガス)の
発生量を抑える効果があるという
話題をきっかけにモノゴトの組み合わせの
可能性について書いた。

この記事を書くにあたり
これまで当たり前に食べてきたカシューナッツが
どのような植物でどのように
なっているのかを知るとてもいい機会になった。

カシューナッツはウルシ科の木にでき、
カシューアップルという果実が
一緒になるそうである。

よくミックスナッツを食べると
ピーナッツとよく似た見た目なので
私はずっとカシューナッツはピーナッツと同じような
植物かと思っていた。

だが、ピーナッツはマメ科の一年草で
カシューナッツはウルシ科の多年草。
似ても似つかない植物の種子同士だったのだ。

きっとミックスナッツの製造工程で
初めて出会ったときには
「世の中には生まれも育ちも違うのに
似たヤツがいるものなんや」と
お互いが思っているに違いない。

そう考えた時、ふと一つの疑問が浮かんできた。

”もしかしたら他にも意外な経歴を持つヤツが
ミックスナッツの中にはいるのではないか”

生まれて今までカシューナッツを食べたことがない人など
恐らくほとんどいないはずなのに、
誰もカシューナッツがどのようになっているのかを
知らなかったように、
ミックスナッツに当たり前の様に入っているナッツが
一体何者なのか考えて食べる人はほぼいないだろう。

これは是非noteで書いてみなくては。

ということで、今日の記事はミックスナッツを食べながら
読んでみて欲しい。

①ピーナッツ

言うまでもなくナッツの王様はピーナッツであろう。
こいつがどのような植物で、どのように実ができるかは
一度は習ったことがある人も多いと思うが
おさらいしておこう。

ピーナッツの日本名はラッカセイ。
マメ科の植物で、なんといっても特徴は
花が終わった後、種子を地下で作るという点である。

日本で栽培され始めたのは意外と歴史が浅く、
1870年代ということなので、今から150年ほど前。

ピーナッツの特徴は他の豆類と比べても
圧倒的に高い栄養価であろう。

可食部100g当たりの脂質は50g近くで
約半分の重量を占めるほど。

それに次いでたんぱく質が25gほどで
残りが炭水化物とその他(水分等)になる。

水分が少なく比較的保存に適していながらも
これだけの高栄養な自然食品は世界中を見ても
なかなか珍しいであろう。

②カシューナッツ

こいつに関しては前半部分に
一部を紹介してしまったが一応おさらいしておく。

カシューナッツはウルシ科の多年草で、
カシューアップルという果実と共に
勾玉状の種子(これがカシューナッツ)をつける植物である。
(下記参照)

ウルシ科の果実としてはマンゴーが
有名であるが、
この果実はマンゴーというよりリンゴに
香りが似ているらしい。

カシューナッツは形状こそ勾玉状で
特徴的ではあるが、
加工してしまうとピーナッツに色も似ていて
割れているものだと間違えて食べてしまうほどである。

実はカシューナッツの栄養価もピーナッツに
とても類似しており、
ピーナッツよりも若干脂質は多く
たんぱく質は少なめであるものの
その栄養構成はほぼ同じである。

寒さに弱い植物なので日本では商用栽培はされず
世界の生産量の4割近くをベトナムで生産している。

カシューナッツと聞くと、ベトナムにいた頃に
よく部屋でビールを飲みながら食べた記憶があるが、
言われてみればスーパーでも沢山商品が並んでいたし、
何より他のナッツよりも安かったからこそ
私は選んで食べていたのであろう。

ちなみに、カシューナッツといえば
一時この商品にドハマリして
いつも食べていた時期がある。

食べ始めたら止められないほど美味しいので
ぜひ一度試してみて欲しい。

③アーモンド

アーモンドはある意味ピーナッツに次いで
ポピュラーなナッツであるが、
1位のピーナッツについては多くの人が知っているのに
2位のコイツのことは知らないものである。

「2位じゃダメなんですか?」という
有名な言葉があるが、
やはり1位と2位の間には大きな開きがあるのだろう。

アーモンドは何とバラ科サクラ族の植物の
果実の種子なのである。

モモもまさに同じ種類の植物であるが、
確かにモモにも平たい形の種がある。

アーモンドの場合はモモのように
果肉が多くないようなので、
この種子だけを収穫するらしい。

しかし、この情報を聞くと
もう一つ気になることが。。。

そう、どんな花が咲くのかということである。

調べてみると、予想通り桜やモモの花に
似た美しい花を一斉に咲かせるとのこと。

ミックスナッツに入っていると
その葉ごたえの堅さとわずかな苦みが
印象的なアーモンドであるが、
こんなに美しい花を咲かせているとは。。。

花見をしながらミックスナッツを食べている人を見て
桜の花たちは「あ、私たちの親戚が食べられてる」などと
思うのかもしれない。

そんなアーモンドは桜のように色んな種類があり、
できる種子も種類によって微妙に異なるそうである。

栄養価はピーナッツ、カシューナッツと同じように
約半分の重量を脂質が占めており、
たんぱく質量もピーナッツたちと似たような量が
含まれている。

マメ科、ウルシ科、バラ科と全く異なる種類の
3者が似たような栄養価を示すのは
実に面白いが、
それもやはり子孫を残すために可能な限り
種子に栄養を詰め込んできた形なのであろう。

ちなみにアーモンドといえば
食パンに塗ってトーストすると美味しい
アーモンドバターがオススメ。
ちょっと高いけど、このトーストとコーヒーがあれば
間違いなく休日の朝がグレードアップ。

④クルミ

クルミもミックスナッツには欠かせないが
何となく形状としては他のナッツとは
異なるような気がしなくもない。

クルミと言えば堅い殻を割って
食べるということは知っているけれど、
どのような植物の種子なのかは案外知らないものである。

クルミはクルミ科の木になる種子で、
クルミ科の中でも色んな種類があり
そのうちごく一部が食用されている。

日本でもオニグルミを主に2~3種ほど
食べることのできるクルミがあるが、
どの種類ももれなく堅い殻を持っている。

実はクルミも果実があり、
果実の中にできた種子があの堅いクルミで、
さらにそれを割って中身を取り出したものが
私達が食用しているモノなのである。

クルミの実の特徴は何といっても
その脂質の多さである。

これまで紹介したナッツはおおむね重量の半分が
脂質であったが、
クルミは驚いたことに7割ほどが脂質で占められているのだ。

この栄養価の高さは天然の食べ物の中でも
圧倒的ではないだろうか。

油を取る植物の代表であるゴマでも
重量の約半分が脂質なので、
そう考えるとクルミはぶっちぎっている。

そんなクルミは実は意外な顔を持っており、
クルミの木はウォールナットという
世界三大銘木の一つと言われている。

家具屋などに行くとウォールナット材という
ワードをしばしば見ることがあるが、
これはまさにクルミの木なのである。

クルミは実を包む殻も鬼の様に堅いが、
その木自体もなかなかに堅く詰まっており
高級家具などに使われるいい木材なのだ。

ちなみにクルミと言えば
くるみ餅がたまらなく美味しくてオススメ。
柔らかいお持ちの中にカリっと香ばしいクルミが
入ると、こんなにも美味しくなるのかと感動する。

⑤ジャイアントコーン

今回の記事を書くにあたり、
コイツを含めるかどうか悩んだのだが、
厳密にはナッツではないものの
ミックスナッツにほぼ間違いなく入っているので
番外編として紹介しておこうと思う。

ジャイアントコーンは大型のトウモロコシの種子を
油で揚げたものであることは
多くの方がご存知であると思うが、
こんなに大きなトウモロコシをミックスナッツ以外の
形で見たことがある人は少ないだろう。

Wikipediaより抜粋

てっきり巨大なトウモロコシの房が
できるのかと思っていたが、
そうではなく、房の大きさ自体は普通のモノと
それほど変わらないらしい。

軸が細くその分実が大きい種類で、
甘味はあまりないので、
普通のトウモロコシのような食べ方ではなく
油で揚げたりして食べるそう。

ちなみにご存じない方も多いのだが、
トウモロコシはイネ科の植物である。

炊きたてのご飯の香りをかぐと
どことなくトウモロコシの香りに
似た部分があると子供の頃から思っていたが、
それもあながち間違いではなかったようである。

ちなみにジャイアントコーンは
ミックスナッツの中では邪道のように
扱われがちであるが、
時々こればかりを食べたくなる時もある。

そんな時にはコレがオススメ。

定番の塩コショウもいいけど、
絶妙な辛さがついつい手を止めさせてくれなくなる。


今日の記事はミックスナッツについて
少し掘り下げて書いてみたが、
いかがだっただろうか。

これまで当たり前のように食べてきた
ミックスナッツもそれぞれを見る目が
少し変わったのではないだろうか。

明日からゴールデンウィークという方も
多いと思うが、
ミックスナッツをそれぞれ一つずつ味わって、
それぞれの植物に思いをはせてみるのも
悪くないだろう。


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