いつか、見た夢。砂浜に白いドレスをきた女性が私に背を向けて、私から遠い所で立っていた。麦わら帽子をかぶっていて風が強いせいで、この帽子を少し手で押さえていた。少しするとこちらを向いて会釈して、近づいてきた。

この場所はもう飽きちゃった。違う所に行こ。

こう言って駅のホームに歩いて行った。電車が駅に着いて、私たちは電車に乗った。少しするとすぐに山々の景色が広がった。季節は秋と冬の間くらいで、紅葉と雪が同時に見られた。電車に乗って着いた場所は山奥で川の近くの無人駅だった。そこで降りて女性はこう言った。

貴方と旅している時間が私にはとても楽しいの。静かな場所をこうやって2人で歩くの。

そうやって彼女が話していていたのを私は黙って聞いていた。また海に戻ったが、そこは砂浜が雪に覆われて人が全くいない場所だった。そこに来て彼女はこう言った。

いつもあなたの事を愛してる。でも私はここで貴方と別れないといけないの。私は貴方に幸せにしてもらうだけの価値がない人間よ。

私はなにも言わず、彼女が海に裸足になって歩いていくのを見た。海に彼女が入っていくのを見て、しばらくすると彼女は見えなくなった。

今はもう冬。ここには誰もいない。夢が終わった。彼女は享年36歳だった。

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