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泣き弔うことと、太古からの記憶。

昨年11月に父が亡くなり、
現在、喪中の期間ではあるのですが。

「喪中」という語句の
【喪】の漢字って、なんだか、
不思議な形をしていると申しあげますか。
たとえば、字の中で
「口」という形がふたつ入っていたりとか。
そして、ぼくはけっこう、
この漢字を書くことがむつかしくって。たとえば、
喪中のお知らせを筆ペンで記すときには、
スマホで漢字変換したのを見ながらじゃあないと、
さいしょは、きちんと書けなかった。

あとは、やはり、
意味を知っているからかもしれないけど、
この【喪】の漢字を見るだけで
「人が亡くなる」的な気持ちを感じる。。。

そう思いましたので、
ブログで漢字のことを調べてみる
「リッシンベン調査団」シリーズでは、
こんかいは【喪】を見てみようと思いまして。

ならば、さっそく、いつものごとし、
白川静先生の『常用字解(第二版)』を
引いてみますと、、

【喪】 ソウ(サウ)/も・しぬ・うしなう・ほろぼす
哭(こく)と亡とを組み合わせた形。哭は吅(けん)(註・「吅」の字は機種依存かもしれません。)と犬を組み合わせた形で、吅は「さい(神への祈りの文である祝詞(のりと)を入れる器)を二つ並べた形、犬は犠牲(いけにえ)として供えられる犬。亡は手足を曲げている死者の形。葬儀に臨んで、「さい」を並べ犠牲の犬を供えて泣き弔うことを喪といい、「しぬ、も、もにつく」の意味となる。(後略)

【喪】とは、
「口」の形である「さい」
ふたつ並んだ「吅(けん)」と
「犬」が組み合わさった【哭】という字、および、
死者が手足を曲げている形が表されている
【亡】の字が組み合わされている。とのことでして。

葬儀の際に、
祝詞を入れる器をふたつ並べて、
いけにえをお供えして、
泣き弔うことを【喪】という。。。

つまりはさ、
【喪】という漢字のふたつの「口」は、
【哭】だったのね。。。

【哭】という字を見ると、なんだか、
工藤静香さんの『慟哭』しか、
思い出さないわ。

ひと晩じゅう 泣いて 泣いて 泣いて
気がついたの

この【哭】の下に記されている「犬」は、
「いけにえ」として供えられる
「犬」の意味だったのか。
そういえば以前、
【家】という漢字を見たときにも
「いけにえの犬」は登場していたなあ。

その【哭】と、
「手足を曲げた死者」を示す
【亡】が組み合わさり、
【喪】という漢字になった。。。

そういうような、つまり、
「いけにえ」と「犬」と「死者」という
古代の葬儀の光景が、どことなく、
頭に思い浮かぶようでもあるし。
また、その光景のイメージがさ、
【喪】の字を見ると思うみたいな気持ちになる、
ということは、この現代にでも、
太古からの記憶として、
人間の心の内部にて、
代々、受け継がれているとも感じる。

そういう、太古からの記憶が、
【喪】という漢字の中に
凝縮されているやもしれないなあ。。。

令和3年1月13日

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