恩

【大】は【囗】へ、そして【心】をそえる。

さくじつはね、このごろ毎月13日にしるしております、
いろいろな漢字のことを見てみる
「リッシンベン調査団」をブログで申しましたが。
そのね、この1か月のあいだで新たに発見しました
「りっしんべん」&「彡(さん)」&「くにがまえ」
の漢字のなかでもね、ぼくがとくに
しらべてみたいなあと思った漢字は、
【恩】です。

これはたとえば、ボンボンさんのnoteで
「恩送り」ということばのことを見ていた、
というのもございますし。

ぼく自身のnoteでも、おととい
「恩師」という語句が出てきたし。

なんだか、気になったのー。

ですので、
この【恩】という漢字を、いつものごとく、
白川静先生の『常用字解(第二版)』で引いてみました。
すると、、

【恩】 オン/めぐみ・いつくしむ
因は茵席(いんせき:むしろ・敷物)の上に人が寝ている形で、むしろ・敷物をいう。その敷物は常に使用し親しむものであるから、因に心をそえた恩は、「いつくしむ(大切にする、かわいがる)」という意味となり、愛情を受けることをいう。

‥‥とのことでして。
この説明を読むと、さらに、
「くにがまえ」の【因】という漢字も気になって。
そちらも『常用字解』で引いてみれば、、、

【因】 イン/よる・むしろ・もと
囗(い)と大とを組み合わせた形。大は手足を広げて立つ人を正面から見た形。囗はむしろの形であるから、因は人がむしろの上に大の字になって寝ている形であり、「むしろ、寝ござ」をいう。因は常に寝ござとして使い続けるものであるから、「よる、たよる」の意味となり、常に用いることから「もと」の意味となる。茵(いん:しとね)は草を編んで作ったむしろ。

‥‥とのことですので、つまりはさ、
【恩】という漢字は、「ござ」を示す【囗(い)】

(←この【囗(い)】は、
【口(くち)】とはちがう、と申しますか。
漢字を変換して比べてみれば、
【囗・口】では大きさがちがうねえ。)

の中に、「手足を広げて寝ている人」という意味の
【大】を組み合わせて、さらに、その下に、
【心】をそえた形だったのねー。

【因】にはさ、たとえば、
「原因」や「因果」や「因縁」という熟語もあるし。
また、「ちなみに」とも読むし。これらは、
白川静先生おっしゃる「もと」という意味によりそうだなあ。
また、【因】に別の部首を組み合わせた漢字の、
前回noteでも挙げました【咽】や、そしてそのほかにも、
「婚姻」の【姻】という字もさ、
そういう【因】に関係していそう。

なんだか、こう考えてみるとねぇ、
【恩】という漢字が、どこか、いとおしく想えてくるし。
そして、白川静先生が【恩】の項目で書いておられる
「いつくしむ」というのも、
すてきだなあ、って想うです。

令和元年12月14日