誰とも結婚なんてしないで

タイトルからして、率直に言って最悪である。これを書いているのは推しの19歳の誕生日だが、間違ってもそんなめでたい日にあげるような記事ではないので、日付が変わってから更新することにする。

そもそも何故こんなタイトルの文章を書き始めてしまったのか。大きな要因になったのは、タイミング的に言うまでもないかもしれないが、新垣結衣さんと星野源さんの結婚である。私はあのドラマを見ていたし、2人とも好きな役者、ミュージシャンであった為、この結婚については心から祝福することができたし、ニュースを聞いた時はものっっっすごく驚いたがそれと同じくらい嬉しい気持ちもあった。
だけど、これが自分の推しの結婚だったらどうだろう、とふと考えてしまった。ここでの推しとは、私が今推している2人の推しと1人の自担の計3人の内、リアコに近い感情を抱いている1人のことを指す。2人が結婚した翌日である今日(ブログの更新日から見ると昨日)誕生日を迎えた彼の話だ。推しが共演者、それも夫婦役を務めた相手と結婚する。多分、具体的に想像するまでもなく凄くキツい。あれは演技だったはずではないのか?ドラマだから、フィクションだから、その一点に縋って苦しい気持ちを抑えながらあのドラマを見ていたオタクだってきっといるはずだ。その人たちからしてみれば、演技だと思っていたものが現実とグラデーションで繋がっていたなんて、とんでもない絶望だろう。
周りの人はみんな祝福しているし、客観的に見たらこれ以上なく理想的な結婚であることは自分でもわかっているのである。それでも、キツいもんはキツいし受け入れられないもんは受け入れられないのだ。

彼らの結婚が報道された時に、トレンドにaikoの名前が入った。その事について深く言及するのは避けるが、そのトレンドのツイートをいくつか追っていると、とあるバンドの曲が歌詞と共にツイートされていた。私が大好きなアカシックというバンドの代表曲『8ミリフィルム』だった。aikoが過去にその曲を様々なメディアで紹介していた話は勿論私も知っている。2019年10月に解散してしまってからも彼らの曲は度々聴いていたが、この曲の歌詞をちゃんと読むのは久しぶりだった。

寝る前にちょっと考えた 超好きだったんだな
誰かと結婚なんてしないで忘れないで
正直言うけど ステレオタイプな未来は全然似合ってない
君の才能が欲しかった 超好きだったのにな

これじゃん、と思ってしまった。
リアコという人種に対して、本当に付き合いたいの?とか本気で付き合えると思ってるの?とかって感想を抱く人は多いと思う。かくいう私も彼に出会う前はそう思っていた。この問いに対する答えは同じリアコオタクであっても人によって千差万別だと思うが、私はこう答える。「アイドルをしている推しに恋をしているから、1対1のただの人間同士として付き合いたいとも付き合えるとも思っていない。」と。
私はアイドルを貫く推しに恋をしている。
1500年に1度のスーパーアイドルを自称する推しが好きだ。
自分は恋愛できないから恋愛リアリティショーを見るのが好きだと語る推しが好きだ。
質問コーナーでファンに「結婚してください」と言われて「いいよ、来世でね」と返す推しが好きだ。
いつもふざけているのに、ステージ上ではありえないくらい真剣な目をして踊る推しが好きだ。
こういう推しが好きで、こういう推しに恋をしているから、私は推しには誰のものにもならないでほしいと思っている。この、「誰のものにも」にはもちろん、「私のものにも」も含まれている。仮に何かの間違いで推しと私がただの人間同士として出会い、更に何かの間違いが発生して推しが私の恋人になったとしよう。私のものになってしまった時点で、私のことを愛してしまった時点で、「誰のものにもならない絶対的なアイドルとしての推し」……すなわち、私が恋した推しは消えてしまう。だから、私は彼を私のものにしたいとは考えることができない。
私のものにすらならないでほしい、推しにはずっと誰のものでもない"みんなのアイドル"でいてほしいし、私はずっとそんな彼に恋を、叶わない片想いをしていたい。残酷な願いであることは重々承知しているが、それでもそう願わずにはいられない。つくづく、オタクというのは身勝手な生き物だと思う。

ねぇ、君には結婚して子供を産んで……なんていうステレオタイプな未来なんて似合わないよ。だって君は生粋のエンターテイナーだから。君はきっと、エンタメの神様に選ばれた人間だから。

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