マガジンのカバー画像

香水とそれがもたらす想像

3
要するに香水から勝手にクソポエム作る的なやつ
運営しているクリエイター

記事一覧

香水とそれがもたらす想像 SHIRO/SABON

香水とそれがもたらす想像 SHIRO/SABON

きみを失いたくなくて、消えそうなきみを掴まえようとした

透き通る白。あるいは半透明のフロストガラス。
うたかたのはかなさ。
きみは消えてしまう危うさを自覚していない。

蓋を開けたままのサイダーの匂い。
甘く弾けて消えていく香り。
きみはそれをまとってバスタブに沈んでいく。
心を明かさずともほのかな残り香は伝える。
きみの内に秘め隠した淋しさを。
溺れたのはきみじゃなくて、きっと僕だ。

香水とそれがもたらす想像 Liquides Imaginaires/BLOODY WOOD

香水とそれがもたらす想像 Liquides Imaginaires/BLOODY WOOD

 お前と共闘したら命がいくらあっても足りねーよ。

 貴腐ワインを一口飲んだ。ワイングラスのステムはナイフの柄に変わった。赤い液体は鮮血と鉄の匂い。
 気づけばそいつは勝手に暴れまわっていて、返り血に塗れている。

 昔読んだ小説にジェネラル・ルージュってのが居たっけ。それは比喩としての名称だったけど、こっちは比喩じゃなく色も匂いも血塗れだ。

 お前のこと、嫌いじゃないけどさ。お前と一緒はもう懲

もっとみる
香水とそれがもたらす想像 Nishane/KREDO

香水とそれがもたらす想像 Nishane/KREDO

 それは「信念」の名の通り芯の通ったひとの香り。

 綴りこそ違うが、同じ発音の男性型アンドロイドが自創作にいる。きっと彼が人間であれば、この香りを纏うのに相応しいだろう。

 ある朝、夢を見た。空港の国際線ロビーから現れる彼を見た。 
 彼は微かに、しかし確かに、この香りを纏っていた。
 彼は愛しい青年と再会し、抱き合った。そして涼やかな風が吹き抜けたように去っていった。
 後に残されたのは香り

もっとみる