[日記]まだ見ぬたくさんの素晴らしいものたちを

ただの日記ターンです。 お笑いをあまり見られてないです、あくまで当社比ですが。 そのかわり、お笑い以外のいろんな新しいものに触れる機会の多い時期でした。 全部自分だけではたどり着かないジャンルのものなので、カルチャーにアンテナ高い友人たちがとにかくありがたいです。 今回のラインナップは、映画と、山の上ホテルと、浅草ロック座。


ひとつめ。 映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』観てきました。 観た友人が、とてもよかったので観てきてほしいとのことで。 休日だいぶ早めに家を出て、午前中の上映回へ。 人生の大先輩が多い客層でした。 そういうものなのか。 てっきり同年代くらいの人が多いのかと思ってた。 それか、映画で言うところの、ご夫婦のお子さんくらいの年代の人が多いのかと。
認知症の現実を殊更にドラマ的に描くでもなく、夫婦の絆を殊更に美しく描くでもなく、あくまで日常の、生活の延長である、病気と、夫婦と、親子であり、我慢と、焦燥と、過酷であり、全部ひっくるめて現実であり、それ以上でもそれ以下でもないという映画だった。 その、ひたすらにそれ以上でもそれ以下でもない真っ当な現実を眺め続ける視線が、とてもつらくて、とても良かった。 多分普通の日常には、ほんの少しのユーモアとか、ちょっとしたささやかな幸せとか、積み重なる苛々とか、爆発する悲しみとか、それが通り過ぎたあとの空虚とか、そういうのが当たり前のもので、この映画はその当たり前の中に病気があって、老いがある、という、それがあまりにも現実で、正直直視するのが辛くなる瞬間がたくさんあった。 でも日常なんだよなあ。 直視しづらくても現実で、私の未来でもあるかもしれない。 そういう意味で怖いし、でも救われる時間もあった。 やさしい時間としんどい時間が交互に訪れる、でもそれって病気とか関係なしに普段も現実で、でもでもでもそれが親が病気で認知症でと思ったらさーもうさーみたいな。 本当にずっとやるせなくて、しんどくて、でもそれがあまりにも淡々と描かれているので、逆に泣いてしまう。
特に印象的なシーンが二つ。 ひとつは最後の最後のシーンで、あれはもうどうしてもどうしてもああと思ってしまって泣けてしょうがなかった。 あとひとつが、大晦日から年が明けたときの、タイトルの台詞をお母様が言うシーン。 その時のお母様の様子があまりにもやさしくて軽やかで、病気を患っている大変な時の、本当に刹那の軽やかさが切り取られていて、そこに自虐でもなければ申し訳なさでもない、本当によろしくという意味合いだけがつまった、ぼけますから、っていうのを笑いながら言うあのシーン。 物凄く素敵だった。 たまらなかった。
身につまされるし、しんどいし、病気もそうだけど同じくらい老いがあからさまに目に映ることがしんどかった。 病気は分からないけれど、老いは、私の親にも、私にも、絶対に訪れる逃れられないものだから。 今の私が病気以上に恐怖する老いが、映画を観ていてもやはりとても怖くて辛いのだけど、でも時折少しだけ救われるような気分にもなった。 救われるというか、もうしょうがないじゃんこれも日常だし現実だよっていう、その中でも生活を続けていくしかないんだよね、と。 どうしたらあんなふうに穏やかに老いを受け入れて前向きに生きていけるだろうかと考えてしまう。 まだ難しい。
同じ上映回を見ていた人生の大先輩方は、きっと私とはこの映画の見方も感想も全然違うんだろうな、と思った。どう思うのか 聞いてみたかった。


ふたつめ。 先日たまたま一緒にごはんをしていた時に、友人が長年温めてきた「山の上ホテルに泊まりたい」という念願を聞く機会があり、日を選んで二人でツインに泊まるのであれば頑張れるのでは? となり、勢いのままその場で予約をしてもらい、先日行ってきました。
ほぼ予備知識なく、色々教えてもらって付け焼刃で訪れたんですが、めちゃくちゃ良かったので勢いは大事だと思いました。 ちょうどしんどい時期にのっからせてもらって、楽しくなってきた! となれたのもありがたかった。

古きよきホテル、素晴らしいですね。 もうすぐ老朽化故の改装工事に入るそうで、そのくらい古い建物なのですが、古くてもきめ細やかに整えられているのです。 古いということはぼろぼろとか朽ちるとかと同義ではないのだなと思い知りました。 そうして整えられた古さは格調となり格式となりその上であたたかみや親しみにもつながり、広いわけでも大きいわけでも豪奢なわけでもないのですが、とにかく圧巻の美しさで素晴らしかったです。 サービスもどこまでも行き届いていて最高。
ごはんをルームサービスで食べたりもしたのですが、全部美味しかった。 勿論それなりのお値段なのですが、そのお値段以上の価値がある美味しさ。 白米大好き素人はおにぎりを見ると頼まずにいられない病気なのですが、圧倒的に美味しかったです。 シンプルでたくさん手をかけることが難しい料理ほど、美味しいことに感動します。 白米が炊きたてであるという条件以外で、おにぎりを美味しくすることが出来るという事実にひれ伏したくなります。
朝食も同様にとてつもなく美味しくて、おかゆの朝食にしたのですが、このおかゆが今まで食べたどのおかゆよりも美味しかったです。 味付けもされていないしお出汁で炊いてるわけでもない、ただただシンプルに炊かれたおかゆなのですが、本当にしみじみとかみ締めたくなる美味しさで驚きました。 何をどうしたらただお米を大めのお水で炊くだけの料理がこんなにも美味しくなるんだろう。 お米なのかお水なのか炊き方なのか、その全てなんだろうな多分。
最近はごはん鎖国を少しばかり解いて、パンとも仲良くしているのですが、ここで食べたおにぎりとおかゆの美味しさに、改めてお米が美味しい、お米が好き、白米ほど美味しいものはない、白米さえあれば楽園、という白米至上主義を改めて胸に誓うこととなりました。 おかゆを美味しく炊くの、今度家でチャレンジしてみようかな。 やっぱりIHじゃ無理かなあ。 ルクルーゼ様ならなんとかならないか。


みっつめ。 先日これまた友人の好奇心に乗っからせてもらって、浅草ロック座にストリップショーを観に行ってきました。
ずっと気になっていた、とかでは全然なくて、基本的に「見たことないものを見にいく機会を逃したくない」というだけの衝動で、一切の予備知識なく私も行きたーいとなっただけです。 去年くらいから意識して誘われたり面白そうなものを教えてもらった時はフットワーク軽くしようとしてるんですけど、一緒に行った友人たちは単純にフットワークが軽やか。 一人ではちょっとハードル高いなーというものも、みんなで挑めば一気に気が楽になります。 そういう人たちが本当に回りに多い。 好奇心に歯止めをかけない、面白そうなものにアンテナが高い、行動力がある。 全部見習いたい。 素晴らしい。
間に休憩を挟んで1時間40分くらいの公演でした。 どんな感じなのかと思っていましたが、思っていた何倍も面白く楽しかったです。 そして出てくる踊り手の皆様がとにかくめちゃくちゃかっこいい。 同じ女性として本気で尊敬して憧れてしまう素敵さ。 ロビーのお写真で見るよりもさらに何倍も可愛らしく、 無駄なく均整の取れた身体で圧巻の美しさを表現してくれるのです。 真っ直ぐに挙げられた足がまったく震えたりブレたりしないのは脅威でしかない。 その間も世界観を表現する繊細な表情と手つき。 あんな細い身体であれほどの技を難なく表現してみせる、ということに驚いてしまう。 圧倒的なプロの所業でした。
身体を隠すものが何もない状態で、全身足の先から指の先、髪の毛からまつげに至るまで、全部さらけ出さなくてはならない舞台で、あんなに隙のない完璧な美しさで君臨できるということに、これを為しえる日々の研鑽を想像して、本当に気が遠くなる思いです。
見るもの全てがあまりにも美しくて釘付けでした。 皆さん本当に美しく可愛らしく色っぽくかっこいい。 ちょっと視線が合ったと思えたときにそれはそれは妖艶に微笑まれて、本気でときめいてしまう。
色んなタイプの演目と、それを表現する皆さんがいらして、とにかくバラエティに富んでいるのでずっと目が喜ぶしずっと楽しい。 中でも武藤つぐみさんという方が凄かったのです。 私が知る中で武藤さんの踊りに一番近いと思ったの、バレエのコンテンポラリーダンスだったんですよね。 コンテンポラリーってクラシックのバレエ演目と身体の使い方から違うんですけど、いわゆる前衛作品を表現する方の踊りに近い動きで、出てきた瞬間にうわ! となりましたし、そこからずっと夢中で見てしまった。 ダンスだけじゃなくてアクロバティックな技術もお持ちで、それが世界観に合わさってそれはそれは素晴らしく……いやもう、凄い、凄すぎ、最高! となりました。
さらに後半は男装して登場されて、この公演のメインである旬果さん(3月で引退のための特別公演だったらしい)をエスコートされてて、別の意味で撃ち抜かれてしまった。 いやいやかっこよすぎますって。 好きになっちゃいますって。 ご自分の演目と、それ以外で出てくるときと、全然雰囲気が違って、見慣れるまで同じ人に見えないくらいで、もう表現者として凄いな! って。 綺麗な身体と強い眼差しとエンディングで見られるおちゃめさとキュートさ、全部が全部魅力的で、なんかもう、好き! となってしまった。 これぞまさに推せるというやつ。

また是非行きたいなと思いました。 他の演目も観てみたい。 できれば武藤さんがいらっしゃるときに。 そして最近さぼりがちだった筋トレをまた毎日やろうと思いました。 美しい身体を見ていたら、やはり鍛えねば! という気持ちがふつふつとわいてきた。 出演者の皆様、とにかく身体が美しいのですが、背中があまりにも綺麗なのが驚きでした。 背中が綺麗って凄い。 自分が見えるところはまだケアしよう鍛えようという気になりますけど、背中って、どうやったらいいの、どうしたらあの美しさを保てるの。 筋トレメニューに背筋を追加するべきか。
今回、友人のリサーチにより、初心者はやはり浅草ロック座、となり足を運んだので、もしも万が一これ読んでる方で興味があるなーという方はきっとロック座が良いと思います。 我々が観に行った公演は、入場料金が男性7000円のところ女性は半額の3500円、これで一日中行われている公演を入れ替えなしで見ることができたようです。 凄い。 その気になれば一日楽しめる。

ちなみに浅草ではロック座のほかに、釜飯を食べたり喫茶天国のパンケーキを食べたり「まるごとにっぽん」で買い物をしたりと、一日中雨の日とは思えないくらい浅草を満喫して楽しみました。 天国のパンケーキは本当に美味しいやさしい。
「まるごとにっぽん」は東洋館の向かいにあるアンテナショップの親玉みたいな施設なんですけど、アンテナショップの親玉なだけあって本当に素晴らしいのです。 気を抜くと何でも買ってしまいそうになる。 アンテナショップってなんであんなに楽しいんでしょうか。 最近友人と銀座でランチしたりすると、そのまま東京駅まで歩いてありとあらゆるアンテナショップをしらみつぶしに回ってしまう。 お酒のおつまみ系と、調味料系と、炊き込みご飯の素系からのごはんのお供系カレーを含む、を無限に探してしまう。 今回は、天国で売り切れのため食べられなかったソーセージに未練があったので、島根のソーセージを買いました。 あとはいつも買う油揚げと、チーズ。 帰宅してすぐチーズもソーセージもオーブンで焼き色をつけてワインでいただいてしまったけどめちゃくちゃ美味しかった。 チーズはいつも買ってるので美味しいのは分かってたんだけど、良いソーセージって、ほんっとうにおいしいんですよね……最高。 大きめのサイズが2つでパックになってたので、1つだけ食べてもう1つはあとで、と思っていたのにすぐさまもう1つもオーブンに放り込んで食べてしまった。 ソーセージ最高。 明らかに夜食べすぎたけどよしとしました。 最近すぐよしとしてるな。 おかげでまた体重が閾値に到達してしまった。 細々と落としていくしかない。


相変わらずこの世はまだ見ぬ素晴らしいものに溢れていて、こうして友人やまわりの人の声を聞きお誘いにのっかって、やっと少しずつそうしたものを享受して、いちいち圧倒されることが出来ている。 本当に嬉しくありがたいです。
私がいろんな場所で客というポジションに居座ってしまう理由の一番手は、「圧倒されたい」これに尽きます。 笑ったり感動したり泣いたり苦しんだり、そういう全てをノーガードのまま奔流のごとく受けて、自分の脳の許容範囲をはるかに上回る勢いで何でもいいから感情を揺さぶられたい、完敗ですやられました降参無理最高、と心から叫んで圧倒されたいです。 願わくば人生の最期は圧倒されすぎて死にたい。 いやほんとにほんとに。
なるべく圧倒されやすいように、これからも日々ノーガードで観るものに臨んでいきたいです。 ノーガード、わりと難しいんですよね。 もっともっと何にでもノーガードになれるようにがんばるわ。

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