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【マチメグリ】HBPワールドツアー訪問記:園田編・後編『都市デザインの力と本質的なガバナンス(後半:Hamburg, Germany)』(2019年4月9日公開)

早くも1年前になってしまいましたが、昨年5月に行ったドイツ・デンマークの海外研修のレポート後編をまとめました。今回はドイツ・ハンブルグのHafen Cityを中心に整理しています。

シビック・プライドの書籍等でも取り上げられたInfo CenterやView Pointは実際に都市デザインを生で感じられる素晴らしい施設でした。私が関わっているプロジェクトでも取り入れていきたい要素がいくつもありました。

欧州最大規模のブラウンフィールド再生
ヨーロッパ最大規模のブラウンフィールド再生プロジェクトであるHafen Cityは、総開発面積1,550haに45,000人の雇用と12,000人の居住者(5,500戸の住宅)を創出する計画で、地区全体の建築面積は約35%で、約23%がパブリックスペース、さらに約14%が一般に開かれた民間敷地という土地利用になっています。

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ハンブルク市が100%出資するハンブルク・ハーフェンシティ有限責任会社がその先導役を担っており、市の所有不動産のマーケティングや販売、投資家の誘致や支援、住宅やレジャー施設用地の開発、開発資金の運営管理などを行なっています。

その中でも力を入れているのがプロジェクトの広報・リレーションシップ構築であり、市民とのコミュニケーションポイントを複数設けています。その核となっているハーフェンシティ・ケッセルハウス・インフォセンターは、1887年に建設された発電所をコンバージョンした施設で、開発エリア全体の都市模型やコンピュータやオーディオによるアーカイブ、地図やパネルによる展示にカフェも併設し、トイレも一般に開放していました。

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開発の現地を見渡せるView Pointなどの施設や常駐スタッフはもとより、展示方法や各種の参加型プログラムなど、プロセスデザインにきちんと投資をすることで新しい街への理解と愛着を育むとりくみは、ぜひとも日本の担当プロジェクトでも実現したいと思いました。

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新興開発地における生活感の醸成

ハンブルク後半は中心部の旧市街、新市街、そして最近のホットエリアを見て回りました。

Herzog & de Meuron 設計のElbphilharmonie Hamburg を始めとしたHafen Cityの開発エリアは、細い運河を一本挟むと世界遺産に指定されている倉庫街につながっています。その先には歴史的な建物や広場が集まる新旧の市街地が広がっており、当然ながら、市街地には開発エリアにはない歴史や文化の積み重ねがあり、人の暮らしの温度感が感じられる場所でした。

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Hafen Cityもあと20,30年するとこんな温度感を持つようになるかというと難しいようにも思え、一方でこれだけの創意工夫と計画技術を盛り込んだプロジェクトでそれができなければ開発系の都市プランニングや都市デザインの限界ということでもあるのだろうと…

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開発のプランやその成果も、周辺の街との対比も含めて現地でその温度感を感じることで本当の価値や懸念も見えてくるということが、あらためて実感できた滞在でした。あ、でも結論としてはHambrugはとても良い街なので、ぜひまた来てみたいと思います。

園田 聡


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