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ゲーム「幻想水滸伝III」感想

 前作に引き続き、幻想水滸伝に全く触れてこなかったオタクがプレイした幻想水滸伝IIIの感想です。
前作、前々作の感想はこちら。

 本シリーズでは仲間を108人集めるとご褒美があるのが通例ですが、今作は108人揃えたにも関わらず虚無に包まれたエンディングだったな……という感想です。

ジャンル:RPG
プレイ時間:66時間
媒体:PS2

■ あらすじ

 公式にプロローグがあったので引用します。

見渡す限り平原が広がるグラスランド、そこに自らの伝統と生活を守ってくらす人々がいた。
彼らは、それぞれのクラン(氏族)に分かれ、時には反目しあい、時には助け合いながら生きていた。

そのクランの一つ、カラヤクランの族長ルシアの息子、ヒューゴは母の命によってグラスランドに隣接する都市国家ゼクセン連邦へ休戦のための親書を託され、ゼクセンの首都ビネ・デル・ゼクセへと旅立った。

同じ頃、ビネ・デル・ゼクセでは先の戦いでの英雄、女騎士クリスの凱旋パレードが行われていた。
ゼクセン騎士団と、グラスランドとの戦いを勝利に導いた彼女はゼクセン騎士団の騎士団長の座を授けられるが、クリス自身は先の戦いで戦死した前騎士団長の後を継ぐこと、そして不相応な英雄として扱われることに悩んでいた。

そして、このビネ・デル・ゼクセには、もう一人の男がいた。北の大国ハルモニア神聖国辺境警備隊第12小隊を率いるゲド。彼とその一団は、ハルモニア周辺の国に潜入しては、その国での内情調査や場合によっては実力行使を行うことが常であった。ビネ・デル・ゼクセでつかの間の休暇を楽しんでいた彼らに、本国からの新たな指令が下った。

ヒューゴ、クリス、ゲドの運命は、やがて戦いの中で一つに結びつく。

プロローグ

 今作は「ヒューゴ、クリス、ゲド、それぞれ別所属から見る戦争の行方」です。今までのシリーズと違い、1人の主人公が巨悪と立ち向かうという話ではありませんでした。


■ 全体的に幻想水滸伝っぽくない

 ゲームシステム、ストーリー。これらが全体的に幻想水滸伝っぽくないのが惜しい。
本作も今までのシリーズ同様「戦争」をテーマとした話なのですが、1と2をやってきた雰囲気がかなり失われている気がします。システムを一新してるせいなのか、ストーリー面でそう思ってしまったのか……。どっちもかな。


■ サブイベント、ミニゲームはほぼない

 前作であったようなサブイベントは見つかりませんでした。
ミニゲームはレースゲームくらい。レースゲームに魅力を感じないのであまり夢中になれなかったな。
 ミニゲーム扱いでいいのか悩みますが、演劇はものすごく面白かったです!城内にいる仲間を使って勝手に配役決めて勝手に舞台にあげるミニゲーム。自分の好きな配役で劇が見れる最高のおまけ要素でした。舞台をぶっこわすのが面白いんだよ。


■ 意外と教えてくれるやつ続投

 わからないことはゲーム内でちゃんと教えてくれるシステム。前作で好評だったのか、今作でも続投されてました。

わからないことは探偵キッドに聞け

 かなりアウトなキャラクター設定の探偵キッド。体は子供、頭脳は大人な某探偵にそっくりなキャラです。探偵キッドの登場回は爆笑した。
内容的には前作のリッチモンドさんと同様で、仲間にしていないキャラクターをどこで仲間にできるのか調査してくれます。
前作は探偵を使っても108人集めが間に合わなかったのですが、今作では間に合いました。探偵に聞けばいける!

わからないことはふるいほんを読め

 前作同様親切に書いてくれてます。ハンマー(武器強化上限突破アイテム)の場所が一番役に立った。ありがとう、ふるいほん!


■ ゲームシステム

 1はべた褒め、2は戦争以外褒めてたゲームシステム。比較しながら書いていこうと思います。

トリニティサイトシステム

 今作の肝であるトリニティサイトシステム。新たに追加されたものです。端的に言うと複数主人公で各主人公視点で物語を見てみましょうという仕組みになってます。これが結構良かった!
今作は「真なる火の紋章」がキーワードとなっているので、炎の燭台が3つ灯り、それぞれ主人公を選んで進めていくのは面白い試みだと思います。一部そう思えないやつもあったけど……。

2Dから3Dへ

 描写が2Dドット絵から3Dポリゴンに変わってます。
今見ると荒いポリゴンですが、最初驚いただけで慣れたら違和感なく見れました。マップも若干見辛くなってますが、昔の3Dポリゴンゲームってこんなもんだよね。

交易所

 2に引き続き今作でも初期の収入源となる交易所。ありがたい!
特に変わったところもなく、問題なくプレイできます。ただし、物語の後半から1つの町の交易所(ブラス城)がなくなってるのが謎でした。なんで……??バグ……??

ダンジョンボス復活システム

 今回の収入源の肝、ダンジョンボス討伐。一気に約10万稼げます。恐らくゲーム内時間が一定を超えると復活するシステムなのかな。
ただし所持限度額が99万までなので、8回やると限度額ギリギリになってしまうのが面倒でした。

武器強化システム

 幻想水滸伝は武器を買い換えるのではなく、1つの武器を強化していくシステムです。これは1、2からと全く変わらないシステムとなってます。良い要素は変わらないシステム、素晴らしいですね。

紋章

 紋章をつけることによって特殊技能が使えるシステム。使い方は前作と同様ですが、前作とはかなり異なった変更をされているものが多いです。範囲魔法攻撃用の火の紋章が味方も傷つける仕様に変更されたのが一番使いづらかったな。
今作で面白かったのは、ぬりかべ(防御しかできないが防御力2倍)+ほたる(優先的に敵から狙われる)の紋章重ね付けです。とあるキャラが最初から宿している状態だったのですが、これをやると行動できない代わりに全キャラの盾になれて、みんな安全に過ごせるという素敵仕様でした。全く勝てなかったボス戦でこいつを投入したら大活躍。
組み合わせれば楽しくなる紋章は多そうですが、そもそも複数の紋章を宿せる人が少なくて、しかもそれがパーティーに入れないとわからないっていうのが若干使いづらかったかな。でも紋章の使い方が幅広くなって楽しかったです。

スキル

 今作から新たに追加されたスキルシステム。各キャラの得意技能をスキルポイントというものを使って伸ばしていくシステムです。これが面白かった!
例えば火の紋章をとあるキャラに宿しても、火の魔法スキルが低レベルだと詠唱に時間がかかったり、魔法威力が下がったりします。なのでスキルと紋章を組み合わせて考えるシステムになったんです。ただしキャラには向き不向きがあるので、キャラの素質に合った戦略を考えるのが面白かったですね。

戦闘

 最高6人のパーティーを組んで戦う通常の戦闘。主人公以外はその時ストーリー上で必要なキャラを除き自由に編成を組めます。以前は前列後列という雑な分け方でしたが、今作では前後二人組がバディを組み、計3バディの6名となってました。ちょっとややこしい。
今作から敵との距離が精確に計算されだしたのか、攻撃が届く距離までキャラが移動して攻撃を仕掛けるという若干リアルな、そして実際その場面を見ると混戦極まれりな戦場になっています。ちょっとシュール。
さらに「ライドオン」というシステムが追加され、動物の上に乗って攻撃することができるという特殊っぷり。最初はあまり使えなかったのですが、スキルを育てるとライドオンが本当に強くて最高でした。

一騎打ち

 こうげき・ぼうぎょ・すてみの3種類からなるじゃんけんシステム採用の特殊戦闘。相手の台詞を見て何を出してくるか判断します。前作同様のやつ。
今作はかなり読みやすく、一度も死なずに一騎打ちできました。

本拠地

 前作とは違い、城主がいる城に間借りさせてもらいます。
ただし今作は改造もなく、城主がいるのに城主の部屋に居座り(譲ってくれたから…)、城主がいるのに主人公宛に目安箱のメッセージが届く始末。城主より城主面しなきゃいけない。城主がとても好きだっただけに、罪悪感を覚えました。

戦争

 前作と全然違います!ちゃんと良い方向に進化してる!!
前作同様負け戦はありましたが、こちらに戦略を渡して考えさせてくれるのが良かったです。勝利にも圧勝と勝利の2種類あり、何かの条件でご褒美アイテムが貰える仕組みのようです。圧勝って書いてなくてもアイテムを貰えた戦闘があったので、圧勝扱いだとアイテムが貰える……というシステムなのかもしれません。
キャラクター個々人のレベルやスキルが反映されてるので、勝利条件や敗北条件がとてもわかりやすくてよかったです。倒す相手が指定できないのは、まあしょうがないのかな。

マルチエンディングはない

 前作までは採用されていたマルチエンディングシステムが存在しません。
108人集めのご褒美は別のものに変わってしまいました。救いはないんだよ。





~~~~ネタバレするよ~~~~




■ あらすじをもう少し深堀り

 前作でほんの少し話題に出てきた地方のお話です。
グラスランドの1つカラヤクランの族長ルシアの息子、ヒューゴ。
都市国家ゼクセン連邦のゼクセン騎士団英雄クリス。
ハルモニア神聖国辺境警備隊第12小隊を率いるゲド。
上記3人から見る戦争の話ですが、グラスランドとゼクセンはお互いがお互いを憎み合っているし、ハルモニアもグラスランドを狙っているし、バチバチに戦い合ってる最中の休戦協定から物語はスタートします。そう、休戦協定です。幻想水滸伝で成功したことない協定ですね。平和なんてなかったんだ。
 そこからお互いが加害者、お互いが被害者になるような構図で描かれるストーリー。なんか暗躍してるグループがあるっぽいけど、難しいことは考えないんだ。お互い憎み合う。それが幻想水滸伝3です。救いなんてないんだ。


■ トリニティサイトシステム

 ヒューゴ、クリス、ゲド編が各3章。条件はわかりませんが途中からトーマス編(城主編)が2章まで追加され、共通編が4章・5章として追加。謎のコロク編(犬)も追加され、108人集めるとご褒美として敵のリーダー視点での章が追加されます。
なので合計6人(5人と1匹)の視点から物語を見ることができるわけなのですが、正直コロク編はいらなかった。コロク編といっても、共通章になった後に城内にいるコロク(犬)に話しかけると犬視点で城内を散歩できると言うだけです。必要ある?

 では、コロク編を除くそれぞれの視点について書いていきます。

ヒューゴ編

 カラヤクランの休戦協定の使者として出掛けて帰ってきたら村が焼かれてるし友達は敵に切りかかって返り討ちにされて殺されるし、真面目で良い子なのに可哀想な子。そして真の火の紋章使いの噂が出始めたのでその人に会ってなんとかしてもらいたいと思ってる考えの甘い子。ただしその側にはたしめてくれる大人(アヒル)がいるので安心。
対ゼクセン(クリス)への憎しみが募る話。

クリス編

 すでに英雄として祭りあげられている女性。配下の名前からして恐らくアーサー王伝説のパロディっぽい。肝心のアーサーは騎士団に無関係でなぜか記者やってるけど……。
騎士団とのわちゃわちゃが可愛いが、立場的には2のマイクロトフが主人公になった感じ。上から無理難題を押し付けられて「くっ……」って言う係。
すでに立場がある人が、守るべきもののために、上からの命令に従いながら力をふるい、ままならない。守るべきものの先にいる敵にも、守るべきものがあるんだよっていう話。

ゲド編

 真の火の紋章に一番近かった人の話。イケオジ。
国からの指示で火の紋章について追っていたけど、火の紋章に近かったからこそその噂の出処や動きを探ろうとしてた人……なのかな。ハルモニアの傭兵なので、ハルモニアかぶれではなく中立的に見れるのが良かったです。
ゲドのパーティーはキャラ的にバランス良くて和む。

トーマス編

 無名諸国出身のトーマスが母が亡くなったことをきっかけに父に会いに来たらなぜか貧乏城主として任命された話。すごく可愛くて和む。大好きエピソードです。
本作をプレイしてて一番「幻想水滸伝」を感じた。と思っていたらトーマスは天魁星(108人をまとめる人が与えられる星。1と2の主人公も同じ)だったので、つまり主人公はトーマス!!

共通編

 いきなり火の継承者を選ばされるの地獄かと思いました。悩みに悩んだけど、私はヒューゴを選びました。主人公は自分の住処を追われるものだから……。
そうするとクリスが水に選ばれ、ゲドが元々持っていた雷の紋章を隠さなくなります。
 ここから怒涛の展開なんですが、仮面の男(敵のリーダー)の正体がわかったり、敵の目的がわかったりします。それが全然納得できなかった。
仮面の男の目的を共有されて、世界の未来がなく、それをなんとかしようとしているのが仮面の男だったにも関わらず、ヒューゴが「今までされたことがあるからお前を信じられない」と斬って捨てたのが凄まじい思考停止でした。「お前は信じられない、こんな未来は嫌だ」って嘘でしょ?その未来にしないように目の前の人が頑張ってるんですけど……。(やろうとしてることは虐殺だけど)
 元々の真の火の紋章使いは「他人はどうでもいい、この先50年平穏であれば、自分と大切な人は平和に生きられる」と主張するような人だったので、そんな意見の人が仮面の男の発言を斬って捨てるなら良かったんです。人間の未来VS自分を含めた周囲の人の安全ですからね、どっちを捨てるかの話なので。でもヒューゴは何も考えず、話を理解しようともせず、ただ嫌悪感丸出しの思考停止なので、正直ヒューゴを継承者に選んだことを後悔しました。
 そして仮面の男を倒し (倒しちゃった……)、世界はどん詰まり未来へまた進んでいく。そしてヒューゴは最後までゼクセンを許さない道を歩き、恐らくこの地方の和平はありえないでしょう。~BAD END~(と私は感じた)という流れでした。虚無すぎる。
仮初の平和すら作れてないよ!?目の前の問題山積みだよ!?

仮面の男編

 最初から最後まで仮面の男のグループが仕組んだことが明かされます。そして生存説に賭ける人の心をボキボキに追ってくるやつですね。結局彼の師匠はなんで彼だけを救ったんだろう。わからないことだらけです。
キャラクターは解釈違いでしたが、終わり方は綺麗だと思えました。
でも最後のエンディングイラストからスタート画面に戻れない仕様はどうかと思う。



■ 許せん問題

 今作でも、許せん!と思ったことがいくつかあったので書いていきます。システムやキャラについて色々な許せん問題。これは私が勝手に「許せねえよ!」と憤っているだけです。

仮面の男の解釈違い許せん

 正体は1と2にも出てた関わり深い人なのですが、私が見てきたそのキャラはそんなこと思ってない、と解釈違いが起きてしまった。
雑に目的をまとめると、生まれてから紋章を宿されて不老不死だったので死にたいし、そもそもこの世界は未来もない手詰まり状態なので紋章に紋章をぶつけて爆発四散させ解放しちゃおう!ってことでした。方法はいいとして、生まれてから一度も希望なんてありませんでしたってスタンスなんなんだよ。主人公たちのうまくいかない戦争物語に辟易したっていうのならわかる。けど最初からそうなら1と2みたいなキャラ付けにはならないだろ。
しかも「過去にそんな目をしていた人に託していたこともあった」(うろおぼえ)みたいなこと言うんですよ。過去の主人公たちが素晴らしい未来を切り開いてくれることを託していたってことか?そのキャラに託されたこと……ないんだよなぁ~~!私が知らない歴史の話してらっしゃる?
ただ、ハルモニアとの因縁は納得できるものでした。ここだけ納得できて動機づけが納得できないという、不思議な感じ。
なんというか、設定だけ引き継いで動機づけは別の人がやったのかなって思っちゃった……。

トーマスの城を我が物顔で歩くの許せん

 本拠地として使うとしても、城主はトーマスなのに、城主の部屋を譲り、今まで城主宛だった目安箱を城主以外が受け取り、城内を闊歩するのはとても嫌でした。だって、トーマスが城主なのに!トーマスの城なのに!
1と2では主人公の城という感覚が強かったのですが、今作では間借りさせてもらってるのにでかい顔してしまってすみません……という気持ちになってしまいました。

108人の仲間定義許せん

 前作で別の紋章のもとに集う引き継ぎ可能な宿星108人の謎がありましたが、今作はさらにポジションが謎です。面白いシステムだったと褒めたトリニティサイトシステムがたぶん良くない影響を与えてる気がする。
 幻想水滸伝は基本的に「巨悪に立ち向かう話」で、色々な人物を仲間にして組織になっていきます。仲間集めが重要なんですね。今作でも仲間集めは存在します。
最初の仲間集めの始まりは、貧乏な城をなんとかするために商売の地としようというところからスタートします。そのため、集めるのは「城の土地を借りてくれる人」。
今作では複数主人公がいますが、城主から頼まれて城の宣伝をし、各主人公も城の仲間(「自分の」仲間ではない)を集めてくれるわけです。が、なぜか各主人公が声をかけた仲間は城に集まれど城の仲間として認識されず、そこにいるだけ。ただの待合所にされているんですね。謎すぎる。
そして物語の後半になると、「城の仲間」ではなく「紋章の戦いを解決するための仲間=自分たちの戦力増強のための仲間」になってくるので、仲間の意味合いが変化してしまうんですよ。さらに終盤になると敵も108人の一人になるんですよ。それが受け入れ辛かった。敵も入ってくるなら1や2でも敵が宿星で良かったんじゃないか?
宿星の108人って、仲間ってなんなんだろう。


■ まとめ

 プレイ時間は66時間。
シリーズものとして異色な本作でしたが、ゲームシステムは意外と楽しめましたし、要素要素は好きでした。でも好きじゃないところもいっぱいありました。
正直なところ、人に薦めはしないかな……。興味があったらプレイするのも良いと思います。あ、本作がシリーズ最初にプレイっていうのだったら結構受け入れられるかもしれません。

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