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よせぎれクッションカバーを制作しました。

2023年最初のよせぎれ作品はリビングのソファー用のクッションカバーです。メインに使った着物の裂は、ソファーの横にある着物をまとった電子ピアノに使用した、祖母が着ていたという金茶地格子黄八丈。
その他には、
 祖母の昼夜帯 紫根地葵文型染め
 祖母の着物 焦茶地紬 
 親戚の着物 黒地久米島絣 など
でよせぎれしてみました。

タンスに眠っている古い裂たちを眠らせておくことなく現代の住空間に置いて楽しむには、そしてなるべく裂にハサミを入れずにそのままの形状で保存するには、と考えてクッションカバーに行き着きました。寸法の余るところは折り込んで縫い代としました。以前に着物をほどくワークショップで体験した、いつかほどかれてまた縫いなおされること前提です。ほどく人のこと考えて手縫いしてみました。

そのままの形状で裂を保存するには・・・について少し考えてみました。
第74回正倉院展で東大寺屏風の存在を知りました。江戸時代天保年間に制作されたという、保存のために織物の断片70数片を貼り混ぜた六曲一双のもの。宝物の中でも特に脆弱な織物をどのような方法で保存したらよいか・・・を考え、当時の人は屏風に仕立てたそうです。現在、屏風は解体され裂は現代のベストな方法で保存されています。同正倉院展でそのうちの23片を拝見することができました。どんな小さな断片も捨てずに調査研究して、その時代その時代の方法で保存してくださった1300年間の関係者の皆さまに私は感謝の気持ちでいっぱいになりました。

さて、その東大寺屏風とはかなり時間軸と価値が異なりますが、私のよせぎれクッションカバー。まずはメインの着物の裂の持ち主であった祖母は、電子ピアノにかなり驚いたと思うのですがクッションカバーにもまたまたびっくりかな〜? そしてもし将来どこかのどなたかがこのクッションカバーを受け継いで再びアップサイクルデザインしようと思い、縫った人のことを考えてほどいてくれたら、こんなに幸せなことはありません。過去と未来を考えながら作った2023年初めのよせぎれのクッションカバーです。

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