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よせぎれの帯を仕立ててみました。

以前に購入しておいた19種類の古いハギレたち。色は藍、菊の文様の中型染や縞の織などいろいろ、大きさもまちまちです。何を作ろうか考えた結果、よせぎれの帯を仕立てることに。本来であれば仕立て屋さんにお願いすべきところですが、よせぎれの配置デザインが複雑すぎて伝えるのが難しいと思い、自分で作ってしまおうと思ったわけです。帯を仕立てたことなどなく、和裁も習ったことはない私ですが、無謀にも取り掛かってしまいました・・・。
 
帯のサイズについては、多くのハギレの幅が約8寸でしたので幅はその中の最小に合わせて、長さは手持ちの名古屋帯の長さを図って参考に。デザインについては、お太鼓と胴と手の部分にうまい具合に柄がくるように配置を考えました。今日の朝はこれがベスト!と思っても、翌朝考えたら違う配置になったりして・・・。実はそのプロセスが一番楽しかったような気もします。
 
そして、一番こだわったのは、どのハギレも切ることなく全員参加させようと考えたこと。19種類のハギレたちは色褪せたもの、ほどいた痕のあるもの、穴を繕ったものなどばかり。多分大切に使われ保存されていたものであることが想像できました。昔の人は縫ったりほどいたり繕ったりして着物がハギレになるまで大切にしてきました。ファストファッションには無い日本の大切な服飾文化です。大切にされてきたであろうハギレを見ているうちに、これらを「よせぎれ」することでさらに保存できるのではないかと考えました。帯を将来ほどいてハギレをまた別の用途にアップサイクルデザインすることができるように、切らずに全員参加させる! をコンセプトにしました。
 
さて、かなり途中設計変更してようやく帯は仕上てあがりました。直線に縫って帯芯を入れて裏地と縫い合わせるだけではありますが、素人にとってはなかなか難しいチャレンジでした。早速着付けてみましたところ、少々工夫は必要ですが帯としての機能も問題なし。世界で唯一のオリジナルデザインであることはもちろんですが、何より、自分で仕立ててみることでハギレがより一層愛おしく感じられたよせぎれの帯の仕立て体験でした。

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