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鎌倉彫がすごすぎる格天井のお話

場所は鎌倉の光則寺本堂。長谷寺のすぐ近くにある由緒正しいお寺さん。日蓮上人に深く帰依した宿屋光則という方の自邸を寺に改めたのが始まりです。花木のある庭が有名なようですが建築も見応えがあります。先日、恩師の三回忌法要に参列するために本堂内へ入る機会がありました。

本堂内の庭側入り口に面した外陣に設えられた参列者用の席に着いて、さすが由緒正しいお寺さんの柱や長押は立派だわ〜と思い、ふと見上げてみると大好きな格天井が目に入り、額縁の中の鏡張りの板はなんと鎌倉彫でした!!!

法要の最後にご住職から本堂内陣上部の格天井の紹介がありました。大きな龍が91枚の板に彫られていて、お焼香する場所で龍と目が合う構図になっているそう。確かにお焼香をする位置から格天井を見上げると、こちらを見ている龍の目がありました。外陣部分の図柄について聞いてみたところ、庭にある花木や孔雀、宿屋家の家紋が掘られているとのこと。鎌倉彫の格天井はお父様である前ご住職のアイデアで、鎌倉彫を建築材として使用している例は他には無いのでは、とおっしゃっていました。外陣部分が先に完成し、内陣部分は2年前に完成したそうです。本堂は通常一般公開していませんので、法要に参列することで貴重な格天井を拝見させていただくことができました。

帰宅してからも鎌倉彫の格天井が忘れられず検索してみましたところ、確かに光則寺以外には無いようでした。外陣部分が完成した2015年には期間限定で一般公開したようです。制作は「鎌倉刀華会」の皆さんで、一般公開を紹介したブログには図案について次のような説明があります。
「天井パネルは、本堂の天井335枚の内、内陣上部の136枚を鎌倉彫で作成しました。図案については、宿屋(やどや)家の紋、光則寺に咲く花、孔雀をもとに作成されました。」
ブログには漆を塗る前の板たち、宿屋家の家紋、庭にいる孔雀、庭にある花木の藤、海棠、桜、梅、椿、牡丹、石楠花、山紫陽花、蓮華、辛夷、山芍薬の写真が掲載されています。

鎌倉の歴史あるお寺の格天井に伝統工芸の鎌倉彫を使用する、という新しいアイデアに心動かされました。まだ新しい鎌倉彫ですが、この先、時を経て歴史を重ねてどんどん深みが増していくのだと思います。亡くなった恩師の三回忌の法要に参列してみたら、伝統と革新の融合をみた、鎌倉彫の格天井の建物がたりです。

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