第17話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」
僕が初めて見た異性の胸は、保育園の幼なじみで何十年ぶりの再会を果たした女の子だった。そして、今居る場所は地元の公民館で成人式が行われてる最中である。
もちろん、こんな展開になるなんて夢にも思わなかったし、僕と桃香が同じ目的で再会していなかったら、こんな風にならなかっただろう。
お互い二十歳で、二人とも男女の経験がない。僕に関しては、そんなきっかけもなかったし経験するような環境でもなかった。桃香は今回の大人の成人式に参加しようと思って、わざと経験しなかったかもしれない。
真相はわからなかったけど、特に聞こうともしなかった。
それにしても不思議に思った。本来、僕は人に好かれるような人間ではなかった。これまでの人生を振り返って、あえて目立つことを避けてきた。そんな僕と誰が仲良くするのか。
何を考えているのかわからない人間ほど、正直言って取っ付きにくいだろう。それでも僕は、二十歳まで普通に生きてきた。学校生活でイジメにあうこともなかった。
これも普通に考えたら不思議だけど。
桃香は僕に対して、少なからず好意を持って接してくれた。じゃないと、こんな風にキスなんかしたりしない。
だから、僕は桃香をサンドイッチの中身と考えて大事に食べたと思う。
はだけた肩からズレた晴れ着、僕の目に映るのは白い肌着だった。隠れた肌着の下には胸がある。僕は本能に身を任せて、ズレた晴れ着から目線を外さなかった。
桃香が僕の名前を呼んだ瞬間、再び濡れたキスを踊った。キスをしたのは次の行動に戸惑ったからだ。臆病者の僕は桃香から合図を待っていた。
言葉じゃなくてもいいから、何かしらの合図が欲しかったんだ。
「海ちゃん、触って良いよ」とキスの隙間から溢れた合図は僕を誘った。
こんなにも息を乱すなんて、これはあまりにも激しい運動である。急に冷気が踊り場を冷やしたのか、僕の呼吸が白い息に変化した。言葉で返さず僕は行動で示した。重ね着をズラして白い肌着はめくる。
雑誌や映像で見るよりも、目の前に映る生の胸は衝撃的だった。恥じらいある表情で見つめる桃香。僕は本能のまま胸に手のひらを添えた。
この世でこんなにも、柔らかいものがあるのだろうか!!
今の僕に考え付かなかった。目線を外すこともできなかった。無我夢中で桃香の胸を触った。柔らかい感触が脳から血に伝わり、ズボンの上からわかるぐらい大きくなった。
意識と無意識の狭間で揺れ動く、僕の本能と欲求が桃香の乳首に触れた。
僕の知識レベルでの行動だった。女性を気持ち良くさせて征服したいオスの本能に従い、桃香の乳首を何度も何度も遊んだ。小さな声で唄う桃香に、僕は一歩手前のまた一歩手前へ踏み込んだ。
顔を埋めるようにして先端へ舌を転がす。そこまで到達した瞬間、僕は唇で含むように吸い始めた。
ねじれるように桃香の身体が動いた。征服したい願望と欲求が止まらない。余った手のひらは胸を求めて、もう片方の胸は唇で硬くなっていた。愛してキスに移行する。
反対にキスをして愛に移行する。終わらない行為から、桃香は僕にご褒美を与えてくれた。
「海ちゃんも気持ち良くさせてあげるね」
桃香の言葉の意味は理解していた。だけど、僕には十分すぎる行為だった。一歩手前の、また一歩手前でBサイドの中間と思える行為である。オーラルにしては不十分な出来だったかもしれない。だけど、それ以上の行為をしようと思ったら、桃香の晴れ着を脱がすことになる。
粉雪がしんしんと降り続ける中、一階で成人式が終わろうとしていた。
そして、僕は桃香の穢れも知らない手のひらへ白い液体を飛ばしていた。
僕と桃香は、一歩一歩と大人時代へ歩み始めた。
第18話につづく
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