【創作BL】猫になりたい

※柔和なスポーツトレーナー←ツンデレ気味なトラ耳男
『迷子のウサギ?』の世界観

※※※

 施設の中は、ある程度種族によって活動区域が分けられている。

 とはいえ、たいていのヒューマンアニマルは小動物の遺伝子をベースに生み出されている。犬に猫、それからハムスターやリスなどの小動物類。本当の動物ならば、一緒の檻に入れていれば食物連鎖が起きかねないが、幼い頃に保護され、人間らしく生きるべしと叩き込まれたヒューマンアニマルは、ある種一般の人間よりも理性的に振る舞う。問題が起きたことは、一度もない。

 少なくとも、この施設で一番の古株である大我が目撃したことがないのだから、なかったのだろう。

 何せ、最も問題を起こしそうな自分が、半ば隔離されたような状態なのだから。

 自嘲とともに、大きく伸びをする。人間は朝起きて夜眠るものだと躾けられているが、対応できるかどうかは別問題。時計を見れば、すでに朝十時を回っている。宵っ張りの大我にしては、上出来な方だった。

 ボリボリと腹を掻く姿は、可愛らしいからは程遠い。毎日の運動を義務づけられているため、腹筋はバキバキである。

 大きな身体に鋭い牙。縞模様が特徴的な耳と太く長い尻尾。与えられた部屋をのっそりと徘徊する姿を見れば、誰もが動物園の檻に入れられた猛獣だとわかるだろう。

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