【創作BL】敗残者の矜持④【未完】

 遠く離れた大陸の覇者である、カントルーブ帝国が北海の島々に照準を合わせたことに気がついたのは、最も大陸に近い小国であった。

 自国の軍だけでは太刀打ちできないのは明白である。だから彼らはすぐさま、バルテルシアを頼った。

 北の海の盟主として、侵攻は防ぐべきである。たとえ、狙われているのが取るに足らない小国だったとしても、相手がこちらを頼りにしてくるのだ。その気持ちに応えなければならない。

 そう考えるのが、バルテルシアの国民性である。祖先は義賊であった。強きを挫き、弱きを助く。それが当たり前の行動原理であった。

 だから、バルテルシアは矢面に立った。最南端の小国は、守ってもらう代わりに、必要物資の支援を行う。双方合意していた。はずだった。

ここから先は

3,152字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

いただいたサポートで自分の知識や感性を磨くべく、他の方のnoteを購入したり、本を読んだりいろんな体験をしたいです。食べ物には使わないことをここに宣言します。