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12/13 明石(仮)さんとの秘密トーク

こんにちは。はざぶー(仮)です。
この記事は「人に対してめちゃくちゃビビり」な僕が「分からないから怖いんだ!分かったつもりになればきっと怖くなくなるはず!」という発想のもと、知らない人と話し、それを自分用に記録したものです。
明石さん(仮)には許可のもと執筆していますが、ご本人が傷つくようなコメントは控えていただけるとありがたいです。それ以外のコメントは大歓迎です。それではどうぞ。


明石さんとの出会い

ある日、某地域密着型サイトでこんな投稿を見つけた。
「カウンセラーか占い師を募集しています」

「報酬は応相談」

藁にも縋るような切羽詰まった投稿内容にも関わらず、詳細については触れられていない。ただ、急ぎ誰かに話を聞いてもらいたい。そんな雰囲気の投稿だった。

はたから見ると明らかに地雷。生半可な対応は最悪の事態に繋がりかねない。そんな雰囲気の投稿。だけれど僕は迷わず連絡を入れた。

僕「占い師でもカウンセラーでもありませんが、雑談ベースでお話を聞くのはできると思います。」「気晴らしにどうですか?」
(実際はもっとフランクな言葉遣いだった)

ほとんど勘だが、悪いようにはならないだろうという確信があった。
確かに切羽詰まっているだろう。

が、報酬が「応相談」であること。
募集対象がカウンセラーか占い師とされていること。
こういう「フワッと」した指定の場合、こちらが「フワッとした対応」をしても許容しても許容できる程度には、相談者にも若干の余力があると考えている。

本来、カウンセラーか占い師かでは、アドバイスの仕方が全く違う。
ということは、求められているのはヒアリング能力をであり、仮にこちらの発言が意に沿わなかったとしても「ブレ」として受け止められる、ということだ。

僕はそれを瞬時に判断したからこそ、名乗りをあげた。
そんな僕の問い合わせに対し興味をもったようで、その日のうちに会うことになった。

僕「場所はどうしましょう?」
明石「新代田にお気に入りのカフェがあります。ホテルのラウンジも好きなのでどちらにしますか?場所代は出しますよ。」

しばし逡巡し、カフェを指定。
本当は迷う必要はなかったのだけれど。

普段行く機会のないお高いホテルラウンジにタダで行けるのはちょっとだけ心が揺れた。それでも考え直したのは、僕は贅沢がしたくて名乗りをあげたのではないから。

その人のこだわりや人生観などに触れたいからだ。
お気に入りの場所があるのなら、そこには僕の求める何かしらのエピソードがあるのだ。それを知ることは、お互いにとって楽しさの共有になるはずだから。

そうして電車を乗り継ぎ、待ち合わせの場所に向かう。

明石さんの悩み

待ち合わせの後、件のおすすめのカフェに入る。
個人店らしく、こじんまりとした店内。よくあるチェーンのカフェっぽい感じ。

「普段は遠くて来れないのですが、以前来て気に入ったんです」
「フルーツサンドに店主のこだわりを感じるんです。このクオリティで278円って信じられませんよね!」と語る。

僕もそういうこだわりのある店が好き、という旨を伝えると嬉しそうにしていた。明石さんはいそいそと僕の分もお会計を済ませ、席に着く。

ひとしきりお店について感想を語り合うと本題に入る。

が、僕はなるべくラフな姿勢(チャラい感じ?)で話を聞くつもりだったので、一言断りを入れた。

一般的に、今回のようなヘビーな話題の場では大抵の人は相手の苦悩を分かち合おうをとしてしまう。

さほど縁のない人のお葬式などで、つい悲しいフリをしてしまうやつだ。
でも、実はこれは精神衛生上よろしくない。
「お互いに苦しみを分かち合う姿勢は、そこから出る言葉全てが苦しみをブーストさせてしまい、お互いにダメージを受ける。」
例え本心でも、パフォーマンスであろうとも、そういう結果が待っている。

だから僕はそれを避けるために、自分が一番リラックスできる姿勢で臨むことを試みた。

苦しみは分かち合わない。そういうスタンス。

というか、わかるはずが無いのだ。
一から十まで「わかります」なんて、あるはずがない。そう思っている。
そもそも悩みには「自分では価値あると思っているものを理解されない孤独」という一面があると思う。

相談する側は「理解されたい気持ち」と「自分でもわからないものを他人にやすやす理解できるものか」という思いを抱いているはずなのだ。僕の経験上、賢い人ほど無意識でそう思っているようにも思う。

だから僕は「異なる道を歩む、同じ人生の旅人」としての立場をとった。

孤独な旅路の中、休息のためにキャンプを張る。
そこへ偶然一人の旅人が現れる。焚き火の前でお互いのこれまでの苦難について語り合い、無事をたたえあう。これからの旅路に役立つよう情報を交換し、同じ経験があれば笑い合う。

そこに押し付けはなく、偽善もない。
そうしているうちに、不思議と孤独は和らぐ。そして休息が終われば再び旅立つ。それだけでいいと思う。
むしろ、僕たちはそれくらいしかできない。

明石さんは語る。

・師匠と呼べる人がいること。
・たくさんの本を読むことで、自分の哲学を持ったこと。理想の人生を夢見たこと。筋を通す生き方を徹底していること。
・かつて大きな夢があったこと。
大切な仲間たちの活躍を見守る人生を送りたくて、そのための王国を建てようとしたこと。なのにその仲間と訣別してしまったこと。
・どんな困難も乗り越える「優秀な人」と呼ばれていること。その実、次々と立ちはだかる困難と戦うことに疲れ果ててしまったこと。
・自分の自信を裏付ける健康な肉体が失われてしまったこと。

じっくりと一言ずつ言葉を紡いでいた。

笑える絶望

一つ一つ、言葉を選びながら自分語りをしてくれた明石さん。
そのどれもが自分にはない価値観や知見に溢れていたため、ついつい質問攻めにしてしまった。

でも、嫌な顔どころか嬉々として僕の質問に答えてくれた。
どんどん饒舌になる。

「ところで、今日の本題はどういうものだったんですか?」

僕の質問を皮切りに、明石さんは考えこむ。

そして「こういう場で大きな声では言えません。みなさんの日常を壊してしまいます。なので言葉を濁させてもらいますね」

そう前置きしてから「安眠したいです」「眠りについてそのまま起きなくていいボタンがあれば押してしまいたいです」と小声で僕に耳打ちをした。
明石さんにとって、いろいろな思いの詰まった言葉だったのだろう。

そしてそれを僕は

「僕もめっちゃそういうの考えますww」「安楽死ボタンがあったら多分押すちゃいますw」「今はそういうの無いから押さないだけですけどwww」

秒でそう返していた。

明石さんは「え?」という表情をしていた。
それから大声で嬉しそうに「わかるんですか!?」と訊ねてきた。
もちろん、僕の言葉は明石さんを理解してのものじゃない。あくまで僕は僕の理由で、先の人生を想像したときに「まぁ、ボタン押してもいいかなぁ」と思ったからそう返答しただけだ。それは明石さんにも伝えた。

それでも明石さんには何か良いニュースだったらしい。めちゃめちゃ嬉しそうだった。(希死念慮持ちが二人に増えて嬉しがるってなんやねん。今これを書きながら思う。まぁ死なないので読んでる方は安心してね。)

絶望が笑いに変わった瞬間 だった。
まるでフードコートで談笑する女子高生の会話のように。

「わかる〜!」「それな〜www」

さほど広くはない店内で、おっさん二人がお互いの絶望について大声で笑い合う、はたから見るとさもやばげな時間が流れていた。
店内にいたお客さんにはぜひその時の感想を聞きたい。

そして外が暗くなるまで3時間ほど喋り続けての別れ際。
明石さんは僕に、封筒に入った5,000円と「今日は思いがけず楽しかったのでスイッチを押すのはまた今度にします。また色々話しましょうね。」と明るい言葉を残して去っていった。

所感(僕のお勉強タイム)

白石さんとの出会い。
うまく言語化できない学びや、まだ気がついていないヒントがたくさんあったと思う。少なくとも「人を死に向かわせるレベルのエネルギー」を内包する話なのだ。

貴重で無いわけがない。だから僕はなるべくシチュエーションが思い出せるような文章として残すことにした。ここではそれぞれのエピソードを振り返ってなんとなく思ったことをつらつら書く。

・理想について
理想をを持つことは悪いこととは思わない。だけど、理想は理想だ。理想に近づくことはできても、実現できないから理想なのだと思う。なまじ途中まで上手くいってしまったが故に、期待値が膨らみすぎてしまったのではないだろうか。どことなく投資を連想した。回収不可能だと理解してしまった時、線路に飛び込む人がいるように、明石さんもそう思ってしまったのかも知れない。

・仲間について
彼の夢には「仲間」というファクターがあった。僕も理想だと思う。ただ、良くも悪くも人の心は自由にならない。自分自身についてもどうしようもない領域があるのだから、他人はそれ以上のもの。それを忘れてうっかり理想実現の必須材料にしてしまうと、設計通りにならず失敗する。改めてそれを考えさせられた。「ブレ」を許容する。学ばせてもらった。

・次々と立ちはだかる困難(問題)について
問題の先には問題がある。どこまでやるのか。そもそも何を問題とするのか。その先に何があるのかなど、この辺りは今の僕にはわからないので、先送りにせざるを得ない。ただ、出口を決めて戦略を立てること。そうしないと明石さんのようにいつか疲れ果て、絶望に飲まれてしまう、そう仮説を立てておくし、今はわからずともこれだけは肝に銘じておこうと思った。

余談だけれど、修行して強敵を倒しても次の強敵が現れる。どこまで続くのか問題。もしかしたらドラゴンボール(超含む)が完結した時にわかるのかも知れないし、またはHUNTER×HUNTER(伝説の長期休載作品)が一つの答えを示しているのかも知れない。

最後に、明石さんが笑顔で帰っていった理由について仮定を立てておく。
明石さんは「価値のある時間を積み重ねてきた」はずなのに、なぜか大切な仲間は得られなかった。明石さんの積み重ねた「価値ある時間」と「仲間の心(人生とも)」は等価ではなかったから。だから交換できなかった。

これまで一生懸命貯めてきたお金が実はお金じゃないと分かったとしたら?再び貯める時間は残されていない。もう2度と手に入れる機会は訪れない。
そう理解した時、絶望と孤独が押し寄せる。それが彼を苦しませてきたのかも知れない。そんな絶望と孤独はどうしたら救われるのだろう?

ありきたりな美辞麗句では癒せないよな。そう思う。
だから「お悩み相談にのります」なんて、傲慢だな、と思う。(でもそう言わなきゃ始まらないよな、と悩んでもいるけど)

とはいえ僕なりに考えてみると、「自分が価値あると思うものを理解してもえない」ことが孤独であるなら解決方法は今のところ2つ。

「相手と同じ価値観であることを示す」か「違う観点から価値あるものだと示す」ことだと思う。

繰り返すけれど、僕は明石さんと違う人生を歩んでいる。だから同じ価値観を示すことはできない。(だからこそ奇跡的に自殺の話で盛り上がれたのだけど)

でも後者は可能性がある。「本人と違う観点から価値あるものだと示す」こと。その人のエピソードに違う価値を見出すのだ。今回僕は明石さんのエピソードを「リスペクトを持って楽しむ」ことで新たな価値を示した。それが結果としてその日彼を笑顔にさせたのではないかと、そう思っている。

最後に余談だけれど、個人的に一番良かったポイントについても述べておく。
最近僕はいわゆるオタクの「推し」という概念を学んだ。
これ、オタクじゃなくてもきっとみんな何かしら「推し」があって、推しについて理解された時、自分が肯定されるのではないだろうか。

明石さんはフルーツサンド(採算度外視で提供する店主も)を推していた。僕もそれを理解した。実はこれ「食べることができて嬉しい(僕)、理解されて嬉しい(白石さん)、売れて嬉しい(店主)」の近江商人でいう「三方よし」の関係であった。つらつら難しいことを書いたけれど、結局はこういうコンボが日常であると、それだけで良いように思うよ。

後書き

ここまで読んでいただきありがとうございます。
本記事は僕が後で読み直すことを目的として執筆したので、わかりにくい内容もあるかと思います。それらを含めて、もしも関連して興味を持たれたことがあればぜひコメントをお寄せくださいね。次回記事に反映したいと思います。
最後に、僕のこんな小さなツイートにコメントいただいたフォロワーさんへ。お陰で最後まで描き終えることができました。ありがとうね😊(一般公開になりました)



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