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【エッセイ】友達のロリータファッションが好きだった

友達がホルモン注射をしている。
最近、共通の友達から聞いた。

あの子と初めて会ったとき、彼女はフリフリの洋服、いわゆるロリータファッションが大好きだった。

町中でも構わずに、堂々とロリータファッションをする彼女を心から羨ましく感じた。

私は当時、女の子らしい格好をすることに羞恥心があった。
ちょっと大きめの洋服で体のラインを隠していて女性らしさはほぼ無かったと思う。

別に女の子らしい服装が嫌いな訳じゃ無かった。

私の地元は、家よりも田畑の方が多いくらいのど田舎だ。

どこに出かけるのにも車がいる。
ちなみに電車もなければ、バスもない。

父子家庭だった私が洋服を買いに行くとしても父を待たせてお店に入る。

あの頃の私にとって、洋服の選択は少なく楽しむものと言う認識は無かったと思う。


それに加えて、私の姉と兄はよく私の体型や容姿をいじっていた。

足が太いことは今でもよく馬鹿にされてる。
自分が1番醜いと本気で思っていた。

だから私は服にこだわりを持つ自分を馬鹿にして生きていた。

でも、彼女は私とは違った。

身長も小さく、ふりふりの可愛いロリータファッションがすごく似合っていた。

守ってあげたくなるような格好をしていたが、
彼女のほうが私より全然強かった。
何度も私を守ってくれていた。

社会人になって、1度だけ会ったことがある。

私はあの頃とは違い、体型がでる服を着るようになった。

ミニスカートを好んで履くようになった。

彼女も変わり、長かった髪はバッサリ切られていて、ワックスでセットされていた。

大好きだったふりふりの洋服はもう纏っていない。

見慣れないズボンがいまだに頭に残っている。


私があの子に初めて会ったときとは、全く違う人になっていた。

どんな心境の変化があったのか私には分からない。

ただ、私が勝手に期待してた彼女はもういなくなってしまった。

疎遠になった彼女が男性ホルモンを入れていることを知ったのは最近だった。


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