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#読書録 USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

書名
 USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門
著者
 森岡毅


ポイント


 「消費者視点(Consumer Driven)」。Consumer is boss. (消費者を上司だと思え)。


 マーケティングの本質とは「売れる仕組みをつくること」。消費者と商品の接点を制する(コントロールする)ことで売れるようにする。コントロールすべき消費者との接点は主に3つ。
 (1)消費者の頭の中を制する
 (2)店頭(買う場所)を制する
 (3)商品の使用体験を制する


 (1)消費者の頭の中を制する
  認知率(Awareness):市場を100としたとき消費者が自ブランドを知っている割合。
  ブランド・エクイティー(Brand Equity):消費者の頭の中にあるブランドに対する一定のイメージ。ブランド・エクイティーを築くための一連の活動を「ブランディング」と呼ぶ。マーケティング最大の仕事は、消費者の頭の中に「選ばれる必然」を作ること、そのための活動を「ブランディング」と呼ぶ。消費者に選ばれる強い理由になっているものを「戦略的ブランド・エクイティー:Strategic Brand Equity」。


 (2)店頭(買う場所)を制する
  配下率(Distribution):自社ブランドがどれだけ多くの店頭で扱われているのか。消費者が買える場所に商品ががどのくらいの割合で展開されているのか。
  山積(Display):棚の外で商品を目立たせる典型的なやり方。
  価格(Pricing):単価が安くて売り上げが伸びることの3つの問題。①安っぽいブランドと思われてしまうこと。②中長期での店頭展開のリスク。想定よりも安く売られているということは、小売などが自腹を切って流通マージンを薄くしていることを意味。利幅が薄いブランドとして流通に定着していくと、競合ブランドよりも自ブランドが店頭で手厚くサポートされる理由が減る。③今後の値引き価格をもっと安くしないと売上が伸びないようになってしまうリスク。消費者は刺激に慣れてしまってその価格を安いとはもう思わなくなってしまう。


 (3)商品の使用体験を制する
  トライアル(Trial):消費者の最初の購入。
  リピート(Repeat):2回目以降の購入。リピート率に最も大きな影響を与えるのが、購入して実際に使ってみた商品の使用体験。
  購入頻度(Porchase Frequency):一定期間に何回買うのか。


Awareness(%) 認知率
Distribution(%) 店頭での配荷率
Display(%) 店頭での山積率
Trial(%) 購入率
Repeat(%) 再購入率
Pricing 平均価格
Purchase Frequency 購入頻度


「売上個数」=「消費者の数」×「認知率」×「配荷率」×「購入率」
「売上金額」=「売上個数」×「平均価格」


 パーチェス・フロー(Purchase Flow):消費者が「認知」してから「購入」し、更に「再購入」に達していく、購入の流れ。


戦略が必要な理由は、達成すべき目的があり、常に資源が足りないから。
6大経営資源:「カネ、ヒト、モノ、情報、時間、知的財産」


目的(Objective):達成すべき使命のこと。戦略思考の中では最上位概念。
目標(Target):目的を達成するために経営資源を投入する具体的な的のこと。
戦略(Strategy);目的を達成するための資源配分の選択。
戦術(Tactic or Execution):戦略を実行するためのより具体的なプランのこと。


マーケティングにおける戦略
目的:OBJECTIVE
目標:WHO(ターゲットは誰か?)
戦略:WHAT(何をうるのか?)
戦術:HOW(どうやって売るのか?)
戦略的に考えるということは、目的→戦略→戦術の順番で、大きいところから考えられるようになること。


戦略のカスケード・ダウン:戦略が組織上層から末端まで下方展開されていくこと。
当事者の視点レベルによって、同じことが戦略になったり戦術になったりする。上司と噛み合わないのもそのせい。そういう場合は共通の目的確認すること。目的からの距離によって近ければ戦略レベルの話、遠ければ戦術レベルの話であることがお互いに確認できる。


戦略のほうが戦術よりも大事。戦略の大きなミスは戦術ではリカバリーできないから。
企業にとって「どう戦うか(戦術)」の前に「どこで戦うか(戦略)」を正しく見定めることがなによりも重要。
戦略が強いと正しい方向へ進む、戦術が強いと遠くまで飛べる。


戦略(Strategy)の4Sチェック
次の4点において強い戦略は、良い戦略である可能性が高い。
Selective:選択的かどうか。やること、やらないことを明確に区別できているか。
Sufficient:十分かどうか。経営資源がその戦局での勝利に十分であるかどうか。
Sustainable:短期でなく中長期で維持継続できるか。
Synchronized:自社の特徴(強みと弱みあるいは経営資源の特徴)を有利に活用できているか。
4つすべてにチェックできないと船出できないということではない。


素晴らしい戦略は、自分と相手の特徴の違いを自分に有利に活用できている。


マーケティング・フレームワーク
目的:OBJECTIVE(達成すべき目的は何か?)
目標:WHO(誰に売るのか?)
戦略:WHAT(何を売るのか?)
戦術:HOW(どうやって売るのか?)
必ず目的に近いところから順番に考えて決めていく。目的→目標→戦略→戦術。


1.戦況分析(Assessing The landscape)
戦況分析とは、「市場構造」をよく理解して、それを味方につけるためにやる。「構造」とはわかりやすく言えば「全体としての人々のやり方」。市場構造を1つの機会(マシーン)と捉えて、その仕組みをちゃんと理解することが重要。


5C分析:最も一般的な戦況分析の視点。
Company(自社の理解):己れをしっかり理解することが第一歩。次の3つ理解が不可欠。①自社の全体戦略を理解する。②自社の使いうる経営資源をできる限りたくさん把握する。③自社の能力や性格としての特徴(強み・弱み)を把握する。
Consumer(消費者の理解):マーケターの真髄ともいえる課題。消費者を量的に理解すること(数値データを用いて広く全体像を理解するのに役立つ)と、消費者を質的に理解すること(質的調査などを通して消費者の深層心理に迫ること)の両方が重要。
Customer(流通など中間顧客の理解):自社と消費者の間にいる存在。協働して市場価値を作り上げているパートナーとも言えますし、市場価値のパイを奪っている競合とも言える。その取引先の戦略(方針や関心事)の理解や、強み・弱みの理解が特に重要。自社とは考え方の違いが多かれ少なかれある。1社1社の理解も重要ですが、束になったときの業界としての傾向や不問律にも留意する必要がある。
Competitor(競合他社の理解):広義においての競合理解までやっておかなくてはいけない。「自社ブランドが消費者に提供している価値が何なのか?」を正しく理解していれば、着眼すべき競合の姿は明らかになっていく。
Community(ビジネスを取り巻く地域社会の理解):社会がビジネスに与える様々な外部要因のこと。法律などの規制、世論、税率、景気、為替レートなど。自社のビジネスに多大な影響を与えるCommunity要素のドライバーを予め明確にしておくことと、その動静をモニターして変化の兆しに細心の注意を払うことが大事。


2.目的の設定(OBJECTIVE)
次の3点を重視
①実現可能性
 適切な目的とは「高すぎず低すぎず」という相反する条件を満たす。
②シンプルさ
 人が理解できる、覚えられる、すぐに思い出せることが大切。
③魅力的かどうか
 一人一人が奮い立つような魅力を備えた目的設定が大切。魅力的な目的の設定は、人的資源を激増させる。


3.WHO(誰に売るのか?)
①消費者を選ぶ理由
 米国の有名なコメディアン、ビル・コスビーの名言、「私は成功のカギというものはわからないが、失敗のカギは知っている。それは全ての人を喜ばせようとすることだ。」
 限られたリソースを消費者全員に投下すれば、一人当たりのリソースは薄くなる。
 消費者全体の中でも「買う確率」や「購買欲」に大きな偏りがある。
 満たすべき消費者ニーズにも偏りがある。
②「戦略ターゲット」と「コアターゲット」
 全ての消費者の中から、まず戦略ターゲットを選び、その次にコアターゲットを選ぶ。
 戦略ターゲット:ブランドがマーケティング予算を必ず投下する最も大きなくくり。戦略ターゲットの外側にいる消費者は完全に捨てる。戦略ターゲットのくくりが目的達成に照らして小さすぎないように注意する。
 コアターゲット:
③コアターゲットの見つけ方
④消費者インサイト

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