体験シェアの経済圏が子供たちの成長をより大きくするのでは?
# まえがき
誰もが必ず毎日積み重ねているものといえば?
「体験」です。
朝、歯を磨くという体験からはじまり、昼にコンビニで買物をして、布団で眠りに入る寸前までのあいだ、あなたはいくつの「体験」を積み重ねてますか?
100? 500? 1,000?
パッと考えただけでも10以上はあることでしょう。
もし、「あなたがコンビニで買い物した体験を1,000円で買います!」
あなたは体験のシェアをして、1,000円報酬を得て、欲しかった買い物の足しにする。
こんなシーンが日常にあったら良くないですか?
なにも準備することなく、特別なスキルも必要ない。
何かを仕入れたり、売り込むストレスも不要。
もちろん、興味もないことに「いいね」をしたり、思ってもないことをつぶやくような情報汚染もしない。
場所や立場に関係なく、いつも通りの日常を過ごしているだけでいい。
それだけで、あなただけの「体験」は増え続けていく。
さらにあなたが「体験」をシェアすることによって、日本の子どもたちが人生を変えるかもしれない「体験」の機会が生まれるとしたら。
日々、記憶の彼方に消え去っている「体験」をお小遣い稼ぎくらい軽い気持ちでシェアする世界をつくりたい。
# なにをしたいのか?
モノのシェア「メルカリ」、スキルのシェア「ココナラ」、場所のシェア「エアビー」ときたら!
# こんなことないですか?
誰もが常日頃から、気になっている商品やサービスの一つや二つあると思います。ちょっとした時間に、スマホで調べたり、フォローしているSNSをチェックしたり。
なかでも、ちょっと値段が高いものやサブスクのサービスなどは慎重に調べたり、比較したりするものです。
また、就職や転職、結婚式場選びなど人生で幾度とない選択をする時、なおさらじっくりと検討します。
人間は失敗したくない生き物ですから。
そんなときネットの世界では、たくさんの情報が溢れています。
口コミやレビューがある情報サイトやSNS、さらにはYoutubeなどの動画まで。
ただ、ひとつ疑問が浮かびます。
「このサイトやYoutubeのひとは、忖度なく純粋な感想を言っているの?」
「本当に普段から使っているのか?」
情報が多いのは良いことですが、多すぎるのもの困りものです。
色々調べた結果、なにが良い情報なのかわからなくなって疲労困憊へ。しかも、その情報が恣意的なものであればなおさらです。(選択のパラドックス)
なぜそこまで言い切れるのか。
私はインターネットの世界でコンテンツをつくり、発信することが生業の一部だからです。
正確には、インターネットを活用して商売をしているひとや企業さんのサポートをしています。
補足しておきますが、私のお客様たちは情報を捏造して、人の心理をあやつり、無理やりにでも買わせようとしているわけではないです。
ご自身の商品やサービスが世の中の困っている人たちの助けになるという信念のもと、インターネットを活用して商売をされていらっしゃいます。
でも実際にネットで触れる大多数のコンテンツが少なからず恣意的な情報だとするなら、一体どうすれば。。。
# 個人だけでない
体験者に直接聞いてみたいという状況は個人に限ったことではありません。なにかの商品やサービスを提供している企業にとっては、体験者の声はダイヤモンドの原石と言っても過言ではない貴重な情報です。
なぜ、そこまで貴重なのか?
商品やサービスの機能的な価値は、すぐに同じクオリティで真似されてしまう時代だからです。
そうなると機能的な価値だけではなく、お客様が感情的に価値を感じて長く付き合ってもらう必要がでてきます。
これがまた企業にとって非常に高いハードルになります。
感情的な価値は表面的ではないからです。つまり、「なぜこの商品が好きなのですか?」と聞いたところで、本人にとっても言語化できないことでもあるので、回答が得られないのです。
そのために商品やサービスの購入や利用を点で考えるのではなく、お客様の利用シーンを線として考える。その手段が「体験」を聞くということなのです。
# 体験をシェアする仕組み
実際にどうやって体験を共有するエコシステムをつくるのか?
これは既存のシェアリングエコノミーの仕組みと同じです。
端的に言えば、ネット上で体験を聞きたい人と体験したことのある人をつなげる場所を用意します。
# 似たサービスでの案件例
ユーザーインタビューのマッチングサービスで実際にある事例
・子持ちで共働きの家事食事担当の方に普段の食事についてのインタビュー
・お仕事でふるさと納税に関わっている方とお話がしたい!
・栄養指導を受けてみたい方にお話をお伺いしたいです
現状では、企業の方やこれから新規事業を検討されているスタートアップの方々が、マーケティングやリサーチを目的として活用されているケースが多いように思います。
実際わたし自身も、webメディアの企画やプロモーション戦略を考えるうえで、一次情報を得るために活用しています。
# 体験シェアが他と違うこと
既存のシェアリングエコノミーでは、共通して起こっていることがあります。
それは、価格競争です。
モノにしても、スキルにしても一定のクオリティで供給量が増えると価格競争が起こります。
価格競争が良い、悪いと言いたいのではなく、持続可能性という観点で考えた場合にどうでしょうか。
クラウドソーシングサービスでも顕著ですが、ライティングやWEB製作など一定のクオリティになるまでの時間やコストが比較的低いような案件は、応募数も相対的に多くなり、価格競争が起きやすい状況になります。
発注側は実績や自己アピールなどの情報を頼りに判断しますが、やはり価格も大きな判断基準になってしまうこともあります。
これは私自身が発注側とクラウドワーカー側の両方で利用したなかで、実際に感じたことです。
あくまで主観的な意見ですが、持続可能性としては期待値は高くないと感じてしまいます。
その点では「体験」というものを軸にした場合、競争が起こりにくく、持続可能性では他よりも高いと思います。
なぜならば、ひとり一人の「体験」は世界に一つしかないからです。
たとえ同じ店で同じ料理を同じタイミングで食べたとしても、「体験」は全く別なものになるため、比較するということ自体しません。
重要なことですが、操作され恣意的に発信された情報に疲れ、自分がより良い選択としたいのにできずに困っているひとたちは、世界に一つしかない「体験」を求めていると言っても過言ではありません。
背景のひとつには、広告に対する意識が変わってきていることが挙げられます。(参考:「デジタル広告が信頼できるという人は、全体の13%」)
モノやスキルのシェアリングエコノミーと異なるポイントにまとめてみました。
# さらにマーケティング調査に必要な機能を
メーカーやマーケティング担当がインタビューを通してリサーチする際に、利用時とそのあとも含めて欲しい機能もあります。
例えば、文字起こし機能など。
シェアの場面では基本的に1対1なので、録画などしない限り体験者の話す内容は分析できる情報にはなっていません。
そもそもインタビューは定性的な一次情報を得るために利用することが多く想定されます。一方で、話した内容をテキスト化してテキストマイニングなどの定量分析の素材として活用したケースもあります。
この点は実際に私が市場調査目的でインタビューをして、あとから欲しいと感じた機能です。
このようにオプションとしてインタビューする側の目線でかゆいところに手が届くようにすることで、より使いやすいサービスになるとともに、取引額が高くないマッチングサービスの弱点を補うこともできるようになります。
Google の AI テクノロジーを活用した API を利用すれば、安価に精度の高いオプションとして機能することが期待できます。
# 子供の成長と日本の未来
最後に、「体験」のシェアリングエコノミーと子供の創造性、日本の未来についてです。
そもそも、なぜ私が「体験」のシェアリングエコノミーという世界をつくりたいのか?
その答えこそ「子供の成長と日本の未来」なのです。
私の原体験が大きく関わっていて、とてもエモい話なので好きじゃない方はスルーしてください(笑)
まず、私の思想として大きなポイントが一つあります。
私は5歳から16歳くらいまで少林寺拳法を習っていました。
もちろん理由は2つ年上の兄にケンカで勝つためです。
そしてご多分に漏れず、3年目くらいから行くのが嫌でしょうがなかくなりました。なにか理由を探してサボることを企ていたのを覚えています。
唯一の支えといえばジャッキー・チェンでした。
映画で見るジャッキー・チェンにあこがれて、ポカリを飲み酔拳で兄に戦いを挑んだり、蛇拳のマネをして手の指を骨折しかけたり。
「いつか俺もジャッキー・チェンみたく強くなる!」
そんななかで事件は起こりました。
少林寺拳法の50周年かなにかのイベントが新宿で開催されました。
そのゲストがなんと、
・
・・
・・・
ジャッキー・チェンです。
(画像引用元)
当日までを瞳孔ひらっきぱなしで過ごし、ついに当日。たしか会場は新宿の「東京大飯店」だっと思います。有名人の結婚式会場のような広間には、関東で少林寺拳法を習う子どもたちで溢れかえっていました。
セレモニーや挨拶などが終わり、ついにジャッキーが登場!
ちょっと早いデパートの元旦セール状態となったところを先生陣が収めたあと、中央でジャッキー・チェンが少林寺拳法の型を披露してくれました。
小柄な私からはジャッキーの姿はよく見えず、結局そのまま型の披露は終了となりました。
「あー、これで終わりか」と思った矢先のことでした。
退場するジャッキーが私に近づいてたのです!
10メートル、5メートル、3メートル、1メートル…
ジャッキー・チェンが目の前!!!
無意識にフッと差し出した私の手をジャッキー・チェンは優しく握ってくれました。そのときの手の感覚は30年以上たった今でも鮮明に覚えています。
優しい握手のなかに、分厚い手と足の裏みたく硬い手のひらでした。
そんな体験をした数年後、私は関東でも数人しかいなかった小学生の有段者となりました。
そして、小学校6年生のとき東京都大会で優勝し、福岡の全国大会へ進むことになったのです。
後日談ですが、ジャッキーが私の方に来たのは特別な理由はありませんでした。単純に、小柄な私が人混みに追いやられた先がジャッキーの退場口に近かっただけという単なる偶然なのですw
サボることばかり考え、たいした結果も出せていなかった私を変えてくれたのは間違いなくジャッキー・チェンとの「体験」だと思います。
ちなみに兄も同時期に少林寺拳法を習い始めたため、最後まで兄には勝てなかったんですけどね。
「体験」は、子供にとって非常に大きな影響を及ぼすものだと思っています。
私のように「体験」がきっかけとなり、東京都で1位になった成功体験が人生に少なからず活きていることは単なる偶然かもしれません。
でも、これを必然に変える仕組みをつくり、一人でも多くの子供たちに成功体験や人生の糧となるようなものをつかむキッカケがあったら、日本の未来はもっともっと明るくなることでしょう。
なぜそう思うか、ここで脳機能開発研究の第一人者である東北大学・川島隆太教授の記事一部を紹介させていただきます。(引用元)
将来、人工知能(AI)が社会で本格的に導入されると、私たちの仕事の多くはAIに肩代わりされることになります。
そうした社会の中で、人間に求められる仕事は、AIより優位である、何か新たなものを生み出す力、創造性が試されるものが中心になってくるでしょう。
つまり「解のない問題」に取り組み、それを考え抜く力が、これからの社会を生きる子どもたちには必要になります。
人が解のない問題を考える時、脳の「前頭葉」の言語領域、「側頭葉下面」の知識領域を使い、さまざまな学びや経験から得られた知識のデータベースから情報を引き出し、それを言語化して答えを導き出します。
解のない問題を考え抜く力を養うためには、こうした脳の部分を発達させなければなりません。多種多様の知識を教え、それを自ら言葉で表現できる能力を身に付けさせることが大切です。
こころ揺さぶるような「体験」ARやVRなどのテクノロジーは、いまのところ代替えできません。
ところが情報化社会は容易に多くの情報を得ることを可能にしています。
youtubeを見て、体験していないことでもまるで体験したかのような感覚になり、五感を使って自分で「体験したい」というモチベーションを喪失させる結果になってないでしょうか?
決して情報が容易に手に入ることを否定しているのではありません。
そうではなくバランスを整える必要があるのではないかと思うのです。
経済的なことなど、さまざまな理由で「体験」の機会を得られない子どもたちも数多くいる現状もあります。
実際に日本財団によれば、
日本の子どもの貧困率は今、OECD加盟国の中で最悪の水準にあります。子どもの貧困率は、1980年代から上昇傾向にあり、今日では実に7人に1人の子どもが貧困状態にあるとされています。
当然ながら、貧困状態にある子どもたちは他の子どもと比較して、「体験」できる機会に恵まれていないことが伺えます。
だから私は、持続性が高い「体験」のシェアリングエコノミーを実現したいのです。
# 悲劇のような体験も誰かの役に
体験のなかには、できれば経験したくないようなこともあります。
辛く、こころが引き裂かれるような体験は誰もが避けたいものですが、残念ながら生きていれば大なり小なり訪れるものです。
実際に私もつい最近、まさに生涯二度と「体験」したくないことがありました。
創業からずっと一緒にやってきたメンバーで、これから一緒に成長していこうぜ!ってタイミングです。
もちろん私の経営能力やマネージメント能力が至らなかった結果であるということも十分受け止めています。
でも。。。
程なくしてから、この「体験」を通じて思ったことがあります。
日本の企業数は、おおよそ4,000,000社あります。4,000,000人の経営者のみなさんにとっても、明日起こるかもしれないことでもあります。
もちろん退職という事実は覆すことはできないかもしれません。
でも「体験」をシェアすることで、あのとき私が感じた悲しさを少しでも軽減することができれば、誰かの役に立つのであれば、積極的に共有してきたいと思いました。
しかもその共有するという行為が巡り巡って子どもたちのためになるのであればなおさらです。
# 私自身の挑戦でもある
体験のシェアリングエコノミーは収益事業です。
したがって、利益を生み出すことが目的の一つになります。
しかし、旧来の資本主義における事業のようなに利益の最大化を目的としません。
最大化させるのは子どもたちの「体験」できる機会です。
そのために利益を生み出します。
上場企業や収益が安定した企業が余剰で実施する社会的活動とは違います。
利益が出たら社会を良くする活動を積極的におこなうのではなく、はじめから社会を良くすることと利益を生み出すことの両立を目指します。
つまり、1つの事業でNPOなどの活動することと、サービスを提供して対価をいただく商売の二面性を持つのです。
おそらくハードルは高いと思います。
恥ずかしながら過去に挑戦したときは見事に撃沈しました。話題性やタイミングもあってNHKさんをはじめ、多くのメディアさんに取り上げいただきました。
しかも、NTTドコモさんや復興庁さんなど民官のバックアップがありながらも社会課題解決と商売の両立を継続することができませんでした。
商売の側面が機能しなければ継続していくことは難しいということを身をもって「体験」したのです。
今回の「体験」のシェアリングエコノミーは、過去を活かして両立した持続性の高い事業にできるはずと、妄想をしています。
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