根性だろ父よ

2023年8月11日午後4時父の面会に向かった。

約2週間前医師から電話があり、いよいよ峠であることを伝えられた。

終末期という言葉は幾度となく聞いてきた。それにそのような患者様はたくさん診てきた。

そのような患者様を見てきたはずなのに、親父の今の姿を見ると涙が止まらない。

8月4日に母は精神病院に入院した。7月に精神クリニックに連れていくと統合失調症であった。驚くことに2年前にもうすでに診断されていた。当時は母が一人でいっていたので誰もその事実を知らず今日まで至った。

8月9日に母の病院に向かった。丁度その日は誕生日であった。母は笑顔でこの病院に入れてくれてありがとうと伝えてくれた。そして父に向けてのお手紙を託してくれた。

ラインでもなくお手紙というのがうちの両親らしい。以前父の幼少期のアルバムを見た時に母との初デートの後にもらった母からの手紙をずっと残していた。この思い出がよみがえりなぜか少し笑ってしまう。

話しを戻すと親父と面会した約1時間の間、自分はありのままで話すことができたと感じた。初めて父にリハビリをした。リハビリといっても首のあたりの筋肉をほぐしてあげただけだが、父の気持ちよさそうな表情を見て嬉しかった。ただ父の表情は自分の目ではぼやけて見えていた。涙が止まらないからだ。泣くな自分、泣いていいのは父だけだ、泣くな自分と心にひたすら叫んだが自分の体はいう事は聞かない。

父と過ごした22年間。昔は本当に頑固で根性でなんでもできると思っていた男であった。

そんな父が今では弱々しく自分で起き上がることもできない。父よ根性なんだろ、根性でどうにでもなるんじゃないのか、お願いだから俺の成長をみててくれよ。そんな遠くに行かないでくれよ。まだ彼女も孫も何も見せていないじゃないか。お願いだよ父よ。


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