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僕という人格を作っているものvol.2 Asian Kung-fu Generation

 時刻は深夜2時を少し越えた。僕は今、なぜか一緒住んでいる友人が運転する、東名高速を東に走るトラックに揺られてこの文章を書いている。この狂った生活を始めてから、もう1年と少しが経った。人はみな踊っていると思うが、どうせ踊り続けるならば、狂ったように踊っていたいと最近よく考える。そして踊るには音楽が必要である。


ドラマのように音楽をかけろ

 とても気持ちがいい晴れた日にステップを踏みながら道を歩いている時や、闇が全ての音を吸い込んでしまうような孤独の夜の時間、また死ぬほどに好きだった人に別れを告げられて雨の中を彷徨っている時間にも、僕はBGMがかかっていればいいのにと思う。まるでドラマのように。

 そう考えるからこそ、僕にはイヤホンが欠かせない存在になっている。一人で海を見ている時はもちろんのこと、愛車で走っている時にもこの小さな二つの塊はいつだって僕の耳に色彩を流してくれる。

 その都度聞きたい音楽を聞いているが、僕の場合はその多くがアジカン、つまりは「Asian Kung-fu Generation」の音楽である。


いつだって少し離れて音楽を奏でてくれる

 僕が初めてアジカンを聞いたのは、カナダの高校のサマースクールに通っていた頃だ。「BEST HIT AKG」というアジカン初のベストアルバムが当時リリースされていて、邦楽に飢えていた僕はなんとなくiTunesでダウンロードしたのだった。

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BEST HIT AKGのアルバムジャケット
ジャケットは中村佑介が手掛けることが多く、森見登美彦の作品も同人物が手掛けているため、ある種の繋がりでもある。


 このアルバムには、多くの人が知っているであろう「リライト」を含める、それまでのほとんどのシングル曲が収録されていた。とてつもない衝撃のようなものはなかったが、どの曲も聞き心地がよくてヘビーローテーションしていたのをよく覚えている。中でも「或る街の群青」や「新世紀のラブソング」は特に頻繁に聞いていた。

 当時の僕は、カナダの高校生活の1年目が終わり、留学生活には慣れてきたものの、思ったよりも英語に苦労していて、精神的にも少なからず疲弊していた。夏休みには日本に一時帰国する予定だったはずが、1年目でとらなければいけなかった単位を取ることが出来ず、夏もカナダに残りサマースクールに通わなければいけなくなった。そんな状況下で聞いたこれらの曲たちは、既に頑張っていた僕に対し、頑張れと声をかけてくるような音楽ではなく、少し離れたところから見守るような音楽だった。

 アジカンの曲たちはこのアルバムだけではなく、その他の楽曲も、ストレスでグッと縮まってしまっている心と身体を和らげてくれるような、そんな雰囲気のものが多い。

 学生時代に失恋した時は、「マジックディスク」というアルバムに助けられ、将来に対して悩んでいた時は「ホームタウン」というアルバムに助けられた。

 最近では、アジカンとしては2枚目に出したアルバムである「ワールドワールドワールド」に回帰しているのだが、この頃のアルバムを聞いていると、彼ら自身が主人公であり、彼ら自身が前に進んでいることに自分が感化されているような印象を与えられる。
 それに比べ、最近の楽曲たちを聞いていると、彼らは既に前にいて、後ろからやってくる若者に対してメッセージを送っているような、そんな印象がある。どちらも本質的には同じなのだが、これも彼らの年齢の変化と共に伝え方が変わってきているのかもしれない。


同調圧力がないライブ

 去年に「ホームタウン」というアルバムが発売され、僕は初めて彼らのライブに足を運んだ。大学に入るまでライブというものに少なくない抵抗感を持っていた。その理由は、ライブというものは良い意味で会場全体が一体になれるものだが、それと同時に一体にならなければいけないような雰囲気があったり、独自の暗黙の了解的なルールがあったりと、初参戦の人にとってはなかなかハードルが高いものだと思っていた。

 そんな不安を抱きつつ、初めて参戦したアジカンのライブはそんな同調圧力とは無縁のライブだった。ゴッチことボーカルの後藤正文は、MCのなかで度々このようなことを言っていた。

「このライブは、ここにいる一人一人のためにあって、それぞれがそれぞれの形で普段のストレスを解放できればそれでいい。音楽にノリたい人はノレばいいし、踊りたい人は踊ればいいし、そういうのが苦手だけど音楽は好きだって人は地蔵になればいい。俺は実はライブハウスとかに行くと一番後ろで地蔵になってたタイプなんだよね。」

 ああ、なんて優しいのだろうか。こういう全ての人を気にかけた言葉をかけれる人に在りたい。そう改めて感じさせてくれるようなMCが入った素晴らしいライブだった。いやあまた早くライブ行きたい。


語彙力が足りない終わりに

 さて、ここまでアジカンの魅力について自分なりに語ってみたが、いかがだったろうか。ここまで読んでくれている人はもうお分かりだろうが、アジカンの魅力はもっともっとある。しかしながら、自分の語彙力が足りなさすぎて、うまくまとめることが出来ないためにこの辺で一旦終わりにしておくことする。
 この魅力を知りたい人は、ぜひどのアルバムからでもいいから聞き始めて欲しい。そして、ああこの感じは確かに魅力的だわ〜と思ったら、僕に連絡をして欲しい。一緒に美味しいコーヒーでも飲みながら、存分に語り合おうではないか。

 


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