通信も電機も自動車産業も駆逐される
「日本で100億調達できる会社って、凄いですが」
「アメリカではベンチャーに1兆円集まります」
2014年、大学院でそんな話を聞いた。
まだ日本でも、SNSをつくってFacebookを抜いてやろうとか、検索エンジンでGoogleを越えてやろうとする起業家がいた時代。
教授は彼らを阿呆呼ばわりしていた。
「アプリでなく、バックグラウンドを見なくては駄目です」
「Facebookならサーバーや冷却装置、通信回線や倉庫などのインフラを」
調達資金が多いほど、規模の経済が効く。
「日本はアメリカに、」
「インフラでは絶対に敵わない」
「調達資金の規模が違うからです」
「ゆえに、」
「検索エンジンもSNSも、動画もクラウドも、」
「絶対敵いません」
昨日、27兆円の資産を持つ世界一の富豪、イーロン・マスクのスペースX社が、衛星ネット回線「スターリンク」の提供を始めた。
教授の論を借りれば、NTTもAUも、ソフトバンクも楽天も駆逐されることになる。
かつて世界に冠たる存在だった大手電機は、見る影もない。
東芝は再編され、シャープは台湾の鴻海の子会社となった。サンヨーは2013年、商標が名実とも消滅。
NECは、20年で売上が半分程度にまで落ちている。2022年度の第1Qは138億円の赤字。「NEC」「業績」で検索すると、「やばい」の予測変換が出る始末である。
自動車産業はどうか。
欧米諸国では、遅くとも2040年までにガソリン車が禁止される。
大雑把に言えば、2000万台のうち1500万台が売れなくなる。
自動車産業は裾野が広い。どこまで影響が出るか。
通信も電機も自動車産業もない日本で、僕たちは、どう天職を探すか考えねばならない。
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