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宇宙史上初

宇宙というものについてどう思われるだろうか。介護の話ではなく、急にこんなことを言い出すとは、どうかしてるのか…危ないヤツなんじゃないか…と思っているあなた。大丈夫、病んでいるわけではないのだ。

宇宙が誕生してから、諸説あるが、およそ137億年という月日が流れたと言われている。途方もない数字にもはや想像も及ばないが、それほどまでに宇宙というものは広大だということか。まさに那由多に広がる宇宙といえる。そして地球が誕生したのが46億年前とされている。宇宙誕生から時は経っているが、それでもとてつもなくはるか昔に生まれたようだ。しかし、当然ながらまだ地球には生命といわれるものは存在していなかった。生命が誕生するのは地球誕生から6億年後とされている。小さなバクテリアのような単細胞生物からだそうだ。その起源も不明ではあるが、僕らは一つのほんの小さな命から始まった。

そしてさらにそこから時は流れ、今からおよそ5億年前に骨格を持った生命、魚類の先祖が現れる。そこから陸に上がる生物、両生類が登場し、さらに原猿類も姿をみせた。そして今から500万年前、ようやく僕たちヒトの祖先ホモ・サピエンスが宇宙史に現れるのだった。500万年、宇宙誕生から比べると、ヒトはつい最近になって出てきたのだ。

宇宙の話は話し出すと尽きないが、どうしてこのようなことを言い出したのか、ここでようやく介護の話に戻る。

介護の世界では、長きに渡り寝たきりが問題となっている。寝たきりはフレイル、サルコペニア、ロコモティブシンドローム、いわゆる廃用症候群を引き起こす。身体に様々な悪影響を及ぼしすものだ。さらに寝たきりの方はそのほとんどがオムツを使用し、ベッド上で上を向いた姿勢での排泄を余儀なくされる。ここに介護の世界は注目しなければならない。

5億年前の脊椎動物誕生に始まり、魚類から霊長類、いわゆるヒトへの進化過程の中で、その間の各動物の日中の活動時の姿勢というのは、基本的に水平であり、背を上に、腹を下に生活している。そしてヒトの二足歩行では背が上、腹が下という関係はなくなった。とてつもなく長い年月を経て、今の生活形態へと進化したのだ。

もうお気づきだろう。宇宙誕生から今現在に至るまで、全ての生命における日中の活動状況の中で、寝たきりのように腹を上にして過ごしている生命体はこの世に存在しない。いや、存在していなかったのだ。そこに現れたのが寝たきりだった。寝たきりというものは、生命の設計図には組み込まれていない。当然様々な悪影響が出るのは自明の理といえる、まさに神も予測出来なかった宇宙史上始まって以来の大問題なのだ。


そんな宇宙史を震撼させる問題。生命の根幹に関わる我らの課題に対し、真っ向から立ち向かえる、唯一無二の専門家たちがいる…

それが、我ら介護職なのだ。

少しでもその人らしい生活を目指し、手探りながら、日中の過ごし方を整え、活気ある生活を取り戻していく。それは時に、奇跡といえるまでに昇華された緻密な日々の積み重ねによることもあるだろう。しかし、介護職たちは当たり前のようにそれらをやってのける。

そして専門職は普通、少しでもより良い方向へと向かう、右肩上がりを約束する存在だ。無論介護でもその方向性は大切だろう。しかし、人はやがて老いて死ぬのだ。右肩上がりをみせた人も、やがては歳をとり右肩下がりの曲線を描き死んでいく。その最後の時までその人らしさを保つために傍にいることができるのが介護職なのだ。

自立支援も、何も出来なくなった時も、全てを支える最強の専門職。

宇宙史上類をみないこの問題を解決できるのは俺たちだ。

そう誇っていい。自信をもって楽しい介護しようぜ。


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