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エミッタ抵抗を無くすとパワーアンプの音質は向上するのか?

パワーアンプの出力段のトランジスタのエミッタ抵抗は、スピーカーに電力を供給する電流が流れるところなのですが、トランジスタの熱暴走を防ぐために局所帰還をかけて、アイドル時の安定性のために必要な部品です。

一方で、アイドル電流を大量に流す方が音がよくなるということで、抵抗を使いたくない(熱損失が発生する)というのが、トレードオフです。

熱暴走の対策とは別に、プッシュプル回路のクロスオーバー歪を減らすめにカットオフさせないバイアス方式として、トランスリニアバイアス回路があります。この回路を構成するためにはエミッタ電流を検出する必要があるため、エミッタ抵抗を電流検出抵抗としても利用するのが一般的です。

単にアイドル電流を増やしたいのであれば、A級アンプにすれば十分ですが、トランジスタの熱損失も大きくなるため、放熱が大変になります。また、アイドル電流に比例して、エミッタ抵抗での発熱も大きくなります。

抵抗を利用しない電流検出の方法としては、ホール素子やフラックスゲートに夜方法がありますが、オーディオパワーアンプで実装している例は見当たりません。

オーディオパワーアンプの構成要素の選択としては、真空管(ディスクリート)、半導体(ディスクリート)、ディスクリートIC、モノリシックICがありますが、新しい設計や素子を取り入れる例はあまりみない傾向にあります。

個人的には、大学の実験の授業でアナログ計算機の実験があったので、ディスクリートIC(オペアンプ)を構成要素とするアナログ回路が一番、なじみがあるのと、シミュレーションによる設計の再現性が高いので、このアプローチを取っています。

あとは、できるだけ汎用性のある、新しい素子やICなどを採用して、部品の廃番などに対応できる設計にするようにしています。

現状では、コンプリメンタリのMOFETが手に入りにくいので、D級アンプと準コンプリメンタリのAB級アンプに行き着いています。

新しい部品としては、特にパワーエレクトロニクス分野ではEVやスイッチング電源に関しては引き続きイノベーションが続いているので、この領域でオーディオパワーアンプに利用できる部品を探しています。

特に抵抗(薄膜抵抗)、コンデンサ(MLCC, 固体電解)とコイル(モールド、メタルコンポジット)はオーディオパワーアンプに利用できるものが多いと思います。

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