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最先端?を行く小学校

以前住んでいた地域では、様々な国の国籍を持つ方々がいらした。アジア系の方は本当にパッと見た感じではわからない。喋ると片言の日本語だったりして、あ、外国の方だったのか、となる。

驚いたのは子供が小学校に上がった時である。
学校からの配布物全ての漢字にひらがながふってあるのだ。最初はえ?この漢字読めない人居るの?と首を捻ったが、子供から同級生の〇〇君が、✕✕ちゃんが、とカタカナの名前を聞くと、ああそうか、ご両親あるいは保護者の方がひらがなしか読めないからなのか、と納得した。

当時はフリガナを自動的にプリントアウトする技術はなかったようで、全て手書きであった。今はあるのかもしれない。恐らく事務の方か、先生のどなたかが手作業でやっておられたのだろう。大変だったと思う。
いっそひらがなのプリントを別で出したら良いのに、と思った事もあったが、そうはいかない事情もあったのだろうか。

この小学校は、多国籍な生徒が在籍している事をごく自然に受け入れていた。校舎に足を踏み入れれば、中国語、英語、韓国語、ポルトガル語…での挨拶が書かれた紙があちこちに貼ってある。珍しい間は学校に行く度にキョロキョロしたけど、慣れると平気になった。

子供も普通にインターナショナルな友人を連れて来るようになった。最初はわあ!外国人の子供さん!とドキドキしたが、こちらも段々慣れる。子供の適応能力は大人の何万倍と言う感じで、初めから普通に遊んでいる。言葉が多少通じなくとも、子供同士協力して、ボディランゲージで補って楽しくやっているのをみると、子供のコミュニケーション能力の高さとか、妙な思い込みのなさに感心させられる。
この小学校の子供達にとっては、外国人のお友達も、日本人のお友達と同じように受け容れるのが当然なのだ。

凄かったのは卒業式である。先生が卒業生の名前を読み上げる際は、戸籍上の正式なフルネーム。生徒の返事は現地語で行う。
国旗は日の丸の他に、在籍している生徒の国の物全てが掲揚された。ウチの子供の時は中国、韓国、ブラジル、北朝鮮、モロッコ、フィリピン、アメリカ。日の丸に比べれば小さめではあるが、他ではあまり見られない光景ではなかろうか。
モロッコの国旗はお恥ずかしながら、家に帰って調べてやっとわかった。

当たり前といえば当たり前であるが、今から10年以上前でそうだったというのは驚く。しかも、ずっと前からの伝統なのだから、尚更だ。
普通の公立小学校であったが、正に『インターナショナルスクール』といった感じであった。

他にも、子供達が家庭科の調理実習の時間に、韓国人のお母さんから韓国風巻きずし?の作り方を教わったり、お母さんの実家に帰省した時のお土産…と言って月餅みたいなお菓子(正式な名前がわからない)を頂いたり…色々珍しい体験をさせて頂いた。

学校側の配慮、先生方とご家庭のコミュニケーション、教育委員会からのサポーターの派遣等の援助、が上手く噛み合っているのだと思う。チーム力のような物を強く感じた。
子供時代に貴重な経験を至極当たり前の事としてさせて頂いたのは、親にとっても有り難かった。

これからの時代、こういう学校が増えると良いな、と心から思っている。


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