ココロロボット

映像想定 (舞台でも可)

・は場面転換だと思ってください
-は切り替えです


東 雪乃 Yukino Azuma (24) …………

東 新吾 Shingo Azuma (18) …………

No.0556 …………


東 大吾 Daigo Azuma (45) …………

田口 優希 Yuuki Taguchi (24) …………

七瀬 美咲 Misaki Nanase (24) …………







ナレーション「これは、少しだけ未来のお話

もし、貴方がどん底にいる時
おかしくなってしまいそうでたまらない時
ふと支えてくれる存在が隣にいたら……?
この現状、そしてこれからの未来は180°変わるはず
そんな時のために作られた人型の精密AIロボット
幼児型から年配型、様々な形のロボットが存在。
是非一度、あなたのそばに置いてみてはどうでしょうか?
これから貴方の心の支えになります。
お問い合わせは……」





雪乃「らんららんらら〜ん♪
あ〜酔っ払っちゃった、久しぶりに飲んだなぁ〜」

( 雪乃 No.0556が捨てられているのを発見 )

雪乃「ん?何これ……人!?人じゃない!?
ヤバいじゃん死ぬよ!?起きて!!」

No.0556『……』

雪乃「ちょっ...ともう何だってのよ!
置いてけないなぁ……連れて帰るか!
今日の私は機嫌がいいのだ。仕方なくね。」


( 雪乃 No.0556をおぶって帰宅 )

翌朝


雪乃「……あ〜……あったまいったい……
うわ、もうまたテレビ付けっぱなしで寝てるじゃん
電気代食うよ最悪〜
……
ひゃあっ!!何コレ!誰!?
酔っ払った拍子に私……まさか……!!?」

テレビ『昨夜、今年○月から始まった犯罪防止政策の
人型精密AIロボットについて、希望する世帯にそれぞれ1,000体の配布が終わったとの報告が政府より発表されました。』

雪乃「えっ、待って……」

テレビ『また、ロボットについては説明書が着いており 初期装備として 配布されたロボットは服を着ており、その服の左胸元にNo.0001からNo.1000までの制作番号が記載されているとの事で……』

雪乃「これ、そのAIロボットじゃない...?
そういや何か見たぞ、色んな年齢のモデルがあるとか何とか……
よりによってこんなわっかいモデルのロボット拾っちゃうなんて...」

No.0556『……』

雪乃「いや待て落ち着け。ちょっと待て。
美咲に電話しよう。
……
もしもし美咲!?助けて!!」

美咲『ちょっ...と何よ!朝っぱらから!』

雪乃「やばい!やばい!やばい!!」

美咲『何が!?落ち着いてよ!』

雪乃「…拾っちゃった...」

美咲『拾っちゃったぁ?
……あんたまさか、昨日の飲み会終わりに……!』

雪乃「違う!むしろそうなら良かったのに〜!!」

美咲『なんだ違うのか、なんなのよ』

雪乃「あの〜今ニュースでやってる政府が配布してるロボット、拾っちゃったっぽい……」

美咲『……はあ!?あんたねえ!
ほんっともう昔からそうだけど 何でそう考え無しなことする訳!?』

雪乃「うぅ二日酔いの頭に響くぅ〜……
よ、酔っ払ってて覚えてないの!
人だと思って、連れて帰ってきたんだと思う……」

美咲『はァ〜……
……アレ、そう言えば田口ってそのロボットの開発初動メンバーじゃなかった?』

雪乃「田口?田口って……」

美咲『この間同窓会で会ったでしょ、その時言ってたじゃない。今度のロボット配布政策が何とかって』

雪乃「あ〜なんか、そんなのいたような……」

美咲『あんたね もう毎回毎回飲み過ぎなのよ。
あのグレースーツにメガネの』

雪乃「……あぁ〜!白衣の田口くんね!」

美咲『懐かしいなそのあだ名……
とりあえず、田口に電話してみたら?』

雪乃「連絡先知らないよ〜」

美咲『アタシも知らないわよ、同窓会メンバーに聞いといてあげるから。
とりあえず後はあんたが何とかしなさい』

雪乃「え!?待ってまさか電話切る気!?」

美咲『あのねぇ今何時だと思ってんの!?
私だって忙しいっつの!』

雪乃「ま、待ってよぉ〜!美咲さまぁ〜!!」

美咲『あーもう知らない知らない!
じゃ!これからアタシデートだから!』

雪乃「うわぁ〜ん!!薄情者ぉ〜!!
……
はぁ……あ、これ説明書...?」

映像 ▶︎ 説明書アップ
舞台 ▶︎ 以下説明書セリフを読み上げる

雪乃「……何なに?胸元心臓の位置にスイッチがあって...10秒間長押しと、そしたら光るんだ。へぇ〜
……光るんだ!!?」

以下 ▶︎ 映像 舞台変わらず

( 雪乃、No.0556の胸元を10秒間長押し
No.0556 起動、立ち上がる )

雪乃「うおぉっ!」

No.0556『初めまして。
これから初期設定を始めます。』

雪乃「...え...新吾……?」

No.0556『こんにちは、ボクはAI○○ロボット No.0556です。10秒以内にボクに名前を付けてください。』

雪乃「落ち着け、まだお酒残ってんな……
え、ん?……何て言った?」

No.0556『10、9、8……』

雪乃「名前!?分かんないってそんなの待って!
あ〜あぁあどうしたらいいんだぁ〜!」

No.0556『5、4、』

( 雪乃 No.0556の服の数字が目に入る )

雪乃「あっ!あ、ココロ!」

No.0556『はい、ボクの名前はココロです。
ココロで決定ですか?ハイの場合はスイッチを1回
イイエの場合はスイッチを2回押してください。』

雪乃、おずおずとスイッチを1回押す

No.0556『初めまして、ボクはココロです。
これからアナタのココロの支えになります。
10秒以内にアナタの名前を教えてください。』

雪乃「あ、はいはい……ゆ、き、の」

ココロ『ユキノさん、これから、よろしくお願いします。以上で初期設定を終わります。
ロボットとの日常を、どうぞお楽しみください。』

雪乃「ふ〜ん、これで初期設定完了な訳ね。」

ココロ『僕は何をしましょうか』

雪乃「うん、とりあえずまぁ……ヨロシクってことで良いから、じっと座ってて。
はぁ、味噌汁食べよ……」

( ココロ 座る )

( 雪乃 キッチン(舞台袖)にはける )

テレビ『また、万が一 街中で捨てられているのを発見した方は欠陥品等の恐れがある為、政府 または制作会社の以下連絡先まで 直ちに報告をとの事です。』



美咲「で、それからどうしてんのよ」

雪乃「なにが?」

美咲「なにがじゃないよロボットと」

雪乃「あぁ!ココロね」

美咲「え、名前付けたの?」

雪乃「初期設定で付けなきゃいけなかったの!
まぁでも、何か上手くやってるよ」

美咲「何か上手くって……」

雪乃「それにね!
新吾にすっごく似てるの、ココロ拾ったのも運命なのかも!」

美咲「ちょっと、あんた大丈夫?」

雪乃「大丈夫だよぉ!聞いて聞いて、もうさ言葉とか色々覚えるのが可愛くて!
ちょっと教えたら料理まで出来ちゃうんだよ
この間なんて」

美咲「待て待て待て。
あんたずっとその子と暮らしていくの?」

雪乃「え、なんか問題あるかな?」

美咲「え、いや……新吾くんは。」

雪乃「大丈夫だって、新吾の所にも顔は出してるし
お金もちゃんと払ってるから」

美咲「そうじゃなくて。新吾くんはあんたの為に」

雪乃「私ね、今とっても幸せなんだ
1人で寂しかった日常がウソみたいなの」

美咲「ちょっと雪乃、ちゃんと話聞いて」

雪乃「あ〜〜久しぶりのランチなんだからもっと楽しい話しようよ、ね!ココロの話聞いて!」

美咲「……」



新吾『姉ちゃん!高校受かった!』

雪乃『やったじゃん!
でかした新吾、それでこそ私の弟だ!』

新吾『でも、姉ちゃんもっと大変になるよね……』

雪乃『そんなの新吾が気にすることじゃないよ
お姉ちゃんだって新しい仕事決まったし大丈夫だよ!
新吾は存分に勉強して、やりたいことやりな!』

新吾『姉ちゃん……ありがとう!姉ちゃん大好き!』

雪乃『あっ、こいつ〜!』

大吾『オイうるせぇぞ!雪乃!酒買ってこい酒』

雪乃『……お父さんそれ何本目?飲み過ぎだよ』

大吾『口答えしてんじゃねぇぞ!』

雪乃『何よその言い方!
……心配して言ってるんでしょ!』

大吾『ちょっと仕事決まったからって生意気な奴だな
誰のおかげでここまで食ってこれたと思ってんだ?』

雪乃『……だから感謝してるって。
でもお酒は飲みすぎないで、身体壊すよ』

大吾『ヘッ、なんだ今更 どうせあの女について行きゃよかったとでも思ってんだろ』

雪乃『あのね、そんなこと言ってないじゃない』

大吾『口答えすんな!イチイチ細かくうるせぇな!!』

雪乃『もう大声出さないでよ!!
せっかく新吾も高校受かって……
今日位はお祝いしようよ』

大吾『はァ?んな金どっから出てくんだよ!』

雪乃『お金お金うるさいよ!新吾の前でやめて……』

新吾『……姉ちゃんじゃん』

大吾『あぁ?』

新吾『ここまで父さんと俺が生きてこれたの
姉ちゃんのおかげじゃん!』

雪乃『新吾!』

大吾『んだとぉ!?オメェもっぺん言ってみろや!』

新吾『俺がここまで来れたのは、父さんなんかのおかげじゃない!俺と姉ちゃんに一体今まで何してくれたって言うんだよ!』

大吾『てんめ〜!こっち来い!!』

雪乃『やめて!……やめて
私が今からお酒買ってくるし、新吾にはケーキ買ってくるから』

新吾『姉ちゃん……』

雪乃『だから、ちょっと待ってて』

-

雪乃『これだけあれば、お父さん寝てくれるかな……
お父さんが寝たら 新吾と2人でケーキ食べよう
今日は、お祝いだから……笑顔で……』

( ガラスが割れる物音 )

雪乃『えっ、なに!?』

( 大吾の怒鳴り声が聞こえる )
↑ふざけんじゃねぇぞ!あの女そっくりの目で見やがって!そんな目で俺の事見んじゃねえ! 的な

( 雪乃、急いで上がる )

雪乃『今の音なに……』

大吾『あ、あ……』

( 大吾 血が着いた包丁を持って立ち尽くす )

( 新吾 お腹から血を流しうずくまる )

( 雪乃 持ってたお酒の袋とケーキの箱を落とす )

雪乃『新吾!!』

新吾『ゔぅ……』

大吾『コイツが!コイツが……!』

雪乃『お父さんどいて!
……新吾!新吾!!』

新吾『ね、姉、ちゃん……』

雪乃『喋らないで!
でも……寝たらダメだから!姉ちゃんの声聞いてて!』

大吾『おお 俺は悪くねぇからな!!』

雪乃『そんなこと言ってる場合!?
早く救急車呼んでよ!!』

大吾『捕まっちまうじゃねぇか!バカか!?』

雪乃『こんな時まで何言ってるの!?
バカはどっちよもういい加減にしてよ!!
……新吾!お願いしっかりして!』



美咲「参っちゃう、あの子
新吾くんとロボット重ねてそうで……」

田口『まぁ、ロボットの使い方についてはそれで間違ってはないんだけど』

美咲「そういうこと言ってんじゃないのよ
新吾くんの事があってから、ずっと気を切り詰めてたから……」

田口『とりあえず僕にはその新吾って子は分からないけど、七瀬の話を聞く限り ロボットに関しては追跡出来てない一体に違いないね』

美咲「え?なにそれどういうこと?」

田口『トラブル防止のためにロボットそれぞれの個体に追跡機能を搭載してるんだ。
ただそれが、何体か欠損で追えてないロボットがあって あと一体だけ回収出来てなかったんだよね』

美咲「欠損!?ちょっと待って、すごい制作費かかってるんじゃないの?」

田口『まぁ今回は本当のところ、ちゃんとした政策って感じじゃないんだよ
一旦試作品を1000体作って富裕層に一定額で配布
それで試そうってとこだったから、開発機関もそんなにしっかりしてないんだ』

美咲「……てことは」

田口『うん、そのロボット近いうちに回収しなきゃ
重大なトラブルに繋がりかねない』

美咲「急ごう、雪乃に電話してみるから
一緒に来てくれる?」

田口『そのつもりだよ』



雪乃「ほら見て!ココロ
これが海!」

ココロ『知っています、海はしょっぱい』

雪乃「よく知ってるね!
ほら、太陽の光が水面にあたってキラキラして……」

ココロ『水面、キラキラ……』

雪乃「そうそう、私は夜の海も好きだけど
やっぱりお昼の海は格別な感じがするんだよね」

ココロ『海はとってもキレイです
広くて大きくて、みんなの癒しです』

雪乃「ね、綺麗だよね……」

ココロ『ユキノ、元気がありません』

雪乃「新吾がね、海……大好きだったんだ」

ココロ『シンゴは、ユキノの弟です』

雪乃「そうそう!もう2年くらい眠ってる
……私のたった1人の弟」

ココロ『もう起きないんですか?』

雪乃「んん、どうだろうね……
私が不甲斐ないお姉ちゃんだったから、起きたくないのかもね!」

ココロ『ユキノが不甲斐ないなんてことありません
ユキノは優しいです。
ボクは、ボクハ、沢山のことを教えてもらっています』

雪乃「お、褒めるを覚えたの?
何でも覚えてすごいなぁ!……ほんと可愛いんだから」

ココロ『褒める、ホメル、嬉しいです
ウレシイ気持ち、タイセツ』

雪乃「おぉなに、どうしたどうした」

ココロ『ホメルと気分がヨくなりマス
褒めた側も気持ちがいいことが、多い オオイ』

雪乃「ん、なに?電池切れ?今日は早いね
もうお家帰ろっか。」

ココロ『ゆきの、ユキノ、ユキノ元気を出す
ゲンキがない、カナシイです、ユキノは素敵なヒト』

雪乃「あはは、そうだったらいいなぁ……」

( 着信音 )

雪乃「ん?」

美咲『もしもし?』

雪乃「もしもし!美咲、どうしたの?」

美咲『いま何してるの?』

雪乃「何って……ココロと海に来てるけど」

美咲『まった……あのね 田口と連絡繋がったの。
時間が無いから手短に話すけど、そのロボット欠陥品なんだって』

雪乃「え、何言ってんの?」

美咲『回収しなきゃなんないんだって』

雪乃「……」

美咲『ちょっと、聞いてる?』

雪乃「……ねぇ、私がおかしくなったって思ってるの?
だからそんなこと言うの?」

美咲『違うって、聞いて、ほんとの事なの』

雪乃「良いよそういうの、やめてよ
ちゃんと分かってるってば」

美咲『雪乃!あんた最近ほんとどうしちゃったの』

雪乃「分かった分かった、ありがとう」

美咲『はぁ……とにかく
今あんた達がいる所に田口と向かうから場所教えて』

雪乃「なんで!?来なくていいよ!
そんな話ならもう電話切るから!」

美咲『ちょっと待って、良いから!とにかく教えて』

ココロ『……』

雪乃「イヤ!今から2人で家に」

ココロ『システムエラー、システムエラー』

雪乃「えっ」

( No.0556 倒れる )

雪乃「あっココロ!!」

美咲『なに!?どうしたの』

雪乃「ココロが!ココロが……」

美咲『あ〜〜もうとにかく向かうから!
早く場所教えて!!』



雪乃「ねぇ、ココロ直るんだよね?」

田口「今の段階難しいと思ってもらった方が良いな。
開発されたばかりで修理パーツもまともにないんだよ」

雪乃「何でよ!直らなかったら、私……
私これからどうしたらいいの!」

田口「……それにNo.0556に関しては、追跡機能の欠損で そこの部分が上手く働いてなくて
個体を見つけるのに時間がかかったからね。」

雪乃「知らないよそんなの!
ねぇ、直せるんでしょ!?直してよ!!」

美咲「雪乃!!あんたほんとしっかりしなさいよ!」

雪乃「なんで?なんでまた私の事1人にするの?
どうしてなの?いつも幸せな時って長く続かないの」

田口「……気持ちは分かるけど」

雪乃「そうだよね
ねぇ……開発の初期メンバーなんだよね?
ねぇ田口くんならどうにか出来るよね?
アハハ分かった!それとも何?ドッキリでしょ
2人ともキッツイな〜もう勘弁してよほら早くココロ出して」

( 美咲 雪乃の頬をはたく )

雪乃「い、た……」

美咲「いい加減にしてよ!
そんなあんた見てんの私だって辛いんだよ!」

雪乃「なに、するの」

美咲「あの時私が止めてたらって何回思ったか!
でも雪乃が幸せならそれでいいのかなって……
だけど違うじゃない!あんたの本当の幸せってあんなロボットなんかと一緒にいることじゃないでしょ!?」

雪乃「だって……だって!
あれからお父さんは捕まって新吾は眠りっぱなしで、ずっとずっと1人で頑張ってきたんだよ!?
良いじゃん夢見たって!!良いじゃんそれを幸せに思ったって!!ココロがいて私幸せだもん!!」

美咲「辛かったのだって知ってる 分かってる!
だけどその上でだよ、あんたほんとおかしいよ!」

雪乃「あぁ〜あぁもういいんだよ
ココロが居てくれたらそれで良いんだよ
新吾そっくりの可愛い子
ずっと傍に居てくれるんだもん
私を1人にしないんだから」

美咲「しっかりして!目を覚まして!
あのロボットは新吾くんじゃない!
政府が開発したただのロボットなの!」

雪乃「なんで……そんなこと言うの……?」

田口「ちょっと俺様子見てくるから、2人で話してて」

美咲「雪乃、こっち見て」

雪乃「……」

美咲「あんたの立場じゃないから私は雪乃の気持ち100%は理解出来ない
でもずっと傍で見てたから分かるんだよ
それにあんたは1人じゃない」

雪乃「どうして……?」

美咲「はぁ……今のあんたに何言っても仕方ないわ。
とりあえず少しでも落ち着きな」

雪乃「なんでなの……なんで」

美咲「……」

( 着信音量 )

美咲「ちょっと、あんたの携帯じゃないの?」

雪乃「……あ、私か……
え、待って、新吾のいる病院からだ」

美咲「えっ」

雪乃「もしもし……はい、そうです 東ですが
え、新吾が……?
……はい、はい……分かりました、折り返しますので」

美咲「え、なんだったの?」

雪乃「……」

美咲「ちょっと、どうしたの」

雪乃「新吾が、目を覚ましたって……」

美咲「はい!?
尚更こんな所でボーッとしてる場合じゃないでしょ!」

雪乃「だって、だってココロが……」

美咲「あんたまだそんなこと言うの!?」

田口「東、No.0556を直せるパーツ 1個余ってたって」

雪乃「ほんとに!?」

美咲「ちょっと田口!」

田口「まだ動くから、こっち持ってきた」

雪乃「あぁココロ……!直るんだって!良かったねぇ!」

ココロ『……』

雪乃「早く直して、おうちに帰ろう」

ココロ『……ちゃ、ん……』

雪乃「ん?なぁに?」

ココロ『……姉ちゃん……俺の事、捨て、ないで……』

雪乃「……え……?」

ココロ『キライ、に、ならないで……』

雪乃「……新…吾……?」

ココロ『……ねぇ、ちゃん……』

雪乃「新吾なの!?どういうこと!?ねぇ!!」

ココロ『イイエ、ボクはココロロボットです。
アナタ、アナタアナタ アナタのココロのサ、サ……』

( No.0556 目を閉じて立ち尽くす )

雪乃「あぁ、ああ……あああぁ!!」

( 美咲 雪乃に寄り添う )

雪乃「……私、どうかしてたんだ……
新吾、ごめん、ごめん……」

美咲「雪乃……」

田口「うん。一か八かだったけど
上手くいったね」

美咲「……田口あんた」

田口「シー。じゃあ、俺こいつもう持ってくから。
七瀬あとよろしく」

美咲「……ほんとにありがとう。」



テレビ『続いてのニュースです。
○月から始まった犯罪防止政策のロボットについてですが、追跡機能の問題や 修理について十分な機関が発足されて居ないことが明らかになり、本日 正式にロボット1000体の回収、破棄が始まるとの報告が政府より発表されました。また、コレについて一一一』

雪乃「なんだか……夢みたいな時間だったなぁ。
実は夢だったりして。そんなことはないか」

新吾「姉ちゃん!」

雪乃「新吾!……退院おめでとう……
病院から電話が来た時は嘘かと思う程だったけど
まさか本当に目を覚ましてくれるなんて……」

新吾「姉ちゃんのお陰だよ、ありがとう
……本当にありがとう」

雪乃「ふふっ、もう……こっちの方が夢みたい。」

新吾「こっち?」

雪乃「あぁ、ううん。気にしないで
さて、これからまだ大変なことあると思うけど
2人で支え合って生きていこうね」

新吾「うん……俺、2年も眠ってたんだ
これから色々頑張らなきゃ。
今度は俺が姉ちゃんを支える番!」

雪乃「もう、ありがとう。
新吾なら大丈夫!さ、家に帰ろう
今日はあの日食べられなかったケーキ食べよう」

新吾「うわマジ!?いいの!?
早く帰ろう!」

雪乃「あっコラ!まだ走っちゃダメだってば!
……もう、仕方ないなぁ」

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