スタイリスト
この数年間、毎月会っている仲の良いスタイリスト、Kさんがいる。彼は、私より2, 3個くらい上の男性で、ぱっと見は今時のやんちゃそうな見た目で、よく笑う快活な人。でも、職人みたいに技術にすごいこだわりを持っている人で、かつその技術から作り出されるアウトプット(髪型)をしっかりと顧客に説明することを厭わない。
私は、「髪を切ってもらうなら、彼」と決めている。多少高かろうが、彼がお店を移ろうが、なかなか予約が取れなくなろうが、特に気にしない。彼の良さを語ればキリがないが、シンプルに言えば、誠実に顧客に接しようとしている姿勢に好感を持っている。
ある時、彼はこんなことを言っていた。
ある常連の女性に先日言われたんです。「私は、今まで同じお店で、同じ人に髪を切ってもらうことなんてなかったんです。でも、Kさんはわかりやすく丁寧に、どうしてこのスタイルにしたのかを教えてくれるし、自信が持てる。だから、継続してここに来ようと思えます」って。
僕は、たくさんの新規のお客さんを相手にするようなラットレースをしたくないんです。それは、若い体力があるうちじゃないと続かないから。それよりも同じお客さんにいろんなスタイルを楽しんでもらって、長く継続してきてもらう方がいいと思ってるんです。単純にカットして欲しいだけなら、もっと安いお店なんていくらでもありますから。
実際、彼はお客さんのカット前、カット後の写真をとって、LINEで送ってあげたりしている。前回の髪型を見ながら、今回の髪型を決めるようなコンサルに近いこともやっているし、単純におすすめするだけじゃなくて説明や背景情報もしっかりつけている。
毎月一回、私が髪を切るためにお店に行くと、いつも最近の取り組みについて相談・報告をしてくれる。「〇〇なお客さんに、△△な考えで、□□をしたらめちゃくちゃハマりました」とか「〇〇っていう仮説を持っているんですけど、どういうふうに接客したらいいと思いますか?」とか。「その時どう思ったの?」とか「Kさんは、どうしてそれがしたいと思ってるんですか?」と私は質問を返す。彼が試行錯誤の中で感じたことを私に共有してくれた上で、「じゃあ、もっと良くするにはどういうことができるか」を一緒に考える時間はとても楽しい(もちろん、髪を切りながら)
お客さんとスタイリストっていう垣根がなくなってきているようにさえ感じることはある。が、別にその垣根に意味はないよなとも思っている。単純に、仲の良い知り合いがスタイリストをやっていて、彼に切ってもらっている。それ以上も以下もないような気がしている。
次はどういうテーマで話をしようか、考えるとまた少しワクワクしてくる。
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