西洋美術雑感 16:マティアス・グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画・磔刑図」
ついでなので、北方の絵画で行くところまで行ってしまおう。この陰惨極まりないキリストの磔刑図は、グリューネヴァルトのものである。
グリューネヴァルトを知っている人はどれぐらいいるのだろう。その特異さのせいで一部に有名ではあるけれど、メインストリームにはやはり乗らないのではないだろうか。時代的には、北方絵画の後年の巨匠であるデューラーと同じである。デューラーは知る人も多いと思うが、あの人の絵が北方ルネサンス後の正統な方向を決めたものだとすれば、このグリューネヴァルトはそこから