アイの歌声を聴かせて見てきた話   ※ネタバレいっぱいなので映画見に行け

AIの話を取り扱う映画のちょっと変わった視点

  多くのSF作品を見てきたと死んでも言えない私だが、今回アイの歌声を聞かせて(以下アイ歌)を見て、色々新しい発見ができたので久しぶり感想文でも書こうと思いましたマル

  シンプルに感想を言うと序盤正直きついけどちゃんと理由あるからすごく面白かったし、めっちゃ感動したし、ラーメン屋でラーメン食べてきた感覚で満足感が非常に高かった。二週間ほど前に一切の前情報なしでデューン見てきた時とまた違って、今回はAIの話だけである程度予想ができて、実際に想像と通りの展開がただあった。

  しかしながらこのラーメン屋はなんと思いもしなかった秘伝の出汁を使っており、そこに味の深さが詰まっており、ラーメンの新しい味の開拓ができたというなんか孤独のグルメ方式でした、伝われ。そんな中で最も強い感想は「怖かった」、下手なホラー映画より怖い、いやマジで。でもSFホラーとは繋がりそうでまた少し違う怖さで、詳しくは後々話します。

  AIにまつわる話も色んなタイプがあって、中でもAIを育つという話もなくはない。不勉強なため多くは知りませんが、研究所で少しつづ学ぶタイプ、世間にAIということをバラして人間社会で育つタイプ、みたいなのもあっただろう。そんな中でアイ歌は何も知らせずに人間社会でバレずにAIは生きて行けるのか、のタイプでした。このタイプで想像できるのは、色々あったものの何とか最後にバレずに済んだぞ!!しかし人間の方の主人公に命の危機到来!!!!助ける!!!!!!ドーーーーーーーーン!!!!!お前...ロボットだったのか......?黙っててごめん、これでもう会うことはないだろ...ふざけんな!ロボットにも心がある!!!!!一緒に暮らす!!!!!!!!!ハッピーエンド万歳!!!!!!!!!!というのが何となく既視感を覚える。(私だけかもしれないが)

  このバレたら計画凍結、AI削除、主人公の母の仕事がなくなる絶大プロジェクトだが、何と初日、なんならAIのテストが始まる前からバレてた。この序盤も序盤で思わず笑い声がもれそうな展開。

  うんまあ、母の仕事から知ったのはともかく、急に歌うわ監視カメラおかしいわピアノ急に動くわ全部ハッキングしてるとか主人公間違ってシオンを緊急停止しなくともばれるわな。というツッコミを入れたくなるが、これが全私の中でかなり新しい展開の仕方だった。正直シオンは最後まで人間っぽいと思えないが、そんなことはどうでもいい、主人公達も大して気にしてない。最初協力の動機も「別にこの事黙るの簡単だしクラスメートの母何か人生掛かっててやばそうだから黙ろう」くらいの感覚でしかないと思う。事実何人か協力者いた方が展開しやすいだろうと思ったし、それで切り抜けた展開もちゃんとあった。

  そこからの人間関係に関する展開は普通に美味しい、結構好き、チャラそうなやつのイメージが全然違ったけど内面結構好き。ラーメン食べる時ビール頼んで美味しいビールが来た感じ。そこからみんなとの仲を深める、シオンが順当に人間の曖昧さや幸せなどについて知っていく、ついでに伏線も張る。

いや三日間でやる話ちゃうやろ、濃すぎるわ。ええぞもっとやれ!!!!!

  ここでの良いところは「人間とAIは違う」と全員が思ってる上で、しつこく「でもAIにも心があるんだ!」と強調してないところ。それが如何に普通で「たまに忘れるよね」くらいのフランクさが途轍もなく良い、AIオタクはシステムに興奮してるけど。そこが終盤の「もう一度会いたい」の意味を大きく変えていると感じた。

  「人間とロボットに違いなどない!だから会いに行きたい!」を通り越して「ただ友達に会いに行きたい」だけの行動で、人間らしい暮らしを目指さずAIらしい「逃げ方」が最もの象徴ではないかと思う。だからと言って「心」や「魂」みたいな話がないわけではなく、映画から学んだ表現、涙の意味等々を言葉にせず、曖昧にそれらを表している。「これぞ心」という証明する必要は一切なく、曖昧でいいんだと言うのは今までのAI作品の中でも結構新しいのではと深く、ふかーく刺さりました、主に私に。

  故にこの映画はAIものであるものの、かなり新しい視点だと感じた。どうでもいいとまでは言わないが、心とか魂とか証明する必要はないしAIは人間と同じだと認める必要もない。そんなことせずに共にいることは可能であると示した映画だと私は感じました。だがこれが何と「怖さ」にも繋がります。

SFホラーとヤンデレ(?)的な怖さ

  最近スーパーロボット大戦30をクリアしました、当然多くのロボットが登場しておりました。中には勿論AIに関する話があり、例として勇者王とか勇者警察ジェイデッカーなどがあります。これらの作品の中では悪のAIロボがあり、主人公達はそれてもロボットは人間と同じ正義の心や愛と勇気があると主張し、共に歩んでいくために問題を解決して行くのが主です。

  その中で悪事の象徴として恐らく大半の人が罪と認める「人を殺す」があります。

  つまり何か言いたいのかというと、人間の死を筆頭に、機械やAIは分かりやすく「道を踏み外している」ところがSFホラーやロボット物の怖さの一つだと思う。その反面、アイ歌では「人間の命の危機」がない、つまりシオンは「道を外してないAI」と認識することができる。

  勿論ハッキングはアウトだと思うし、システムを保存するために勝手にネットを使うとか、数百基の太陽電池パネルを動かして死ぬほど電力食うだろうなどやばいことしかしてないが、人殺しはしてない分、多分恐らくメイビー「道を外してない」と言えると私は思う。

  でもその前に「まだ」というのが付く。シオンはサトミを幸せにするために全てをやる気概を見せるほぼすべてのシーンでは「サトミを幸せにする」ということを「命令」だと捉えていた。つまり命令があるとやる、まだその命令がないだけであると。もしもそういった類の命令が来た時にーー便宜上、「自我」を持ってーー反抗できるか、そもそも抵抗するのかという疑念が残ってる。

  その反論として、作中でも代表的な行動としての「命令違反」がある。サトミを幸せにする命令と夜はラボに戻る命令で前者は勝つという命令違反。これは果たして命令の前後順によるものなのか、自我によるものなのか我々には分からない、この映画においてどれかを明確することは大事ではない。だがどっちに転んでも怖い、SF的な怖さとしてまだやってないだけで命令一つで暴走する「可能性」のあるAIがある。何かのきっかけで人間を害する命令が届いたら?と考えずにはいられない。

  では少し視点を変えるとしてシオンに自我があるとすると、今度ほぼ無限の寿命を持つヤンデレ(?)が生まれる可能性が出てきます。8年間一筋に一人だけ見てきて一人のためだけに行動して一人にだけ会いに来たスーパーヤンデレの誕生です。サトミや他の人達が生きているうちは大丈夫だと思うが、ほぼ無限の命を持つシオンのその後はどうなる?そもそもサトミを本当に死なせるか?サトミの幸せの為に友達の命を伸ばそうとする可能性は?と色々考えてしまう。

  という感じで、ハッピーエンドには終わったけど未来は不確定で、そこも何ともまあ人生らしいと言ったところです。

余談

トウマが明らかにやばい

  ということでこんなもんを8年前で作り出したお母さんとトウマはやばくないか????どう考えてもやばいだろう??????????いやトウマ小3だったよな????????おかしくない??????????おかしいよな??????????どう考えても本作最もやばいキャラクターはトウマ、小3で何したんや、今すぐこいつを逮捕しろ。

  改造とはいえ、どう考えても大してメモリ積んでないたまごっちに自我と呼んで遜色ないAIを作り、そのAIが接続からのアップロードで全世界にハッキングでき、その後セキュリティ突破して誰にも気付かれてない状態で最新AI用のボディに侵入し、果てに人工衛星に転移した。

  という話になると感動的なストーリーによる補正があっても、正直一刻も早くシオンを消すべきだと思っちゃうよ私、割とマジで撃ち落とした方がよくない?無駄だと思うけど。

ムーンプリンセスBL作品説

  真面目に言うと多分そんなこと一切ないだろうけど、最後多分みんな友達仲間想いで幸せ、男性陣と女性陣しっかりとカップルできてディ〇ニーハッピーエンド万歳イェーイで終わるとは思う。

  が、

  なーんかムーンプリンセスからBL臭がすごいというのはどういうことなのかて言うと。多分恐らくメイビーかぐや姫に似た話だという前提で話を進むと、お姫様は最終的に空に戻る(あるいは一時的に逃げる→シオンの最後にも繋がる)とか、なんか男性二人がやたら顔が近い喧嘩シーンとか、その喧嘩シーンで歌うたって仲直りするとか、劇中劇の歌でプリンセスの歌なのにやたら「君たち仲良しだから幸せ」の意味を込めてくるとか。本編を考えたらそのシチュエーションに合わせるためでもあると思うが、プリンセス以外のメインキャラがほぼ男どもしか出てない状況だと、ね?

  男どもが残り、プリンセスが空で君たち友達でお互い思ってて幸せだよの歌があるのはもう狙ってるとしか思えないんのは分かってもらえる?分かれ。

  ちなみにパンフレットがあって劇中劇にいつて内容説明があるらしいけど一ミリも見てないので50000000%妄想です。っていう話でした、以上です。

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