7つの顔を持つ女
44才になり人生の半分を落語家、林家ぼたんで過ごしたことになりました。22才までは近田登司枝、22才から42才までの20年を林家ぼたんこと近田登司枝で過ごし、42才から林家ぼたんこと野崎登司枝として過ごしています。仕事では「ぼたん」、「師匠」、「姐さん」、友人や近所の方、実家の近所では「ぼたんちゃん」、病院や役所では「近田さん」、「野崎さん」、実家や親戚からは「としちゃん」と呼ばれています。
夫の通称は「やぶちゃん」なので、夫の友人から「やぶちゃんの奥さん」と呼ばれ、自宅に工事でいらした職人さんには「奥さん」と呼ばれています。息子のベビースイミングでは「お母さん」と呼ばれています。落語家であり、44才の既婚女性で、0才児の母で、75才の両親を持つ娘でもあります。
夫は趣味でパンクバンドをやっているのですが、ライブのMCで「もっちゃんパパって呼んでください!」と宣言しました。夫が「もっちゃんパパ」なら私は「もっちゃんママ」じゃないか!新しい呼び名が生まれるのか?と思いましたが、まだ「もっちゃんママ」と呼ばれたことはありません。
先日、もっちゃんママと呼ばれても良さそうなベビースイミングをやっているスポーツクラブで「ぼたんさん」と呼ばれて「身バレか!」と驚きました。入会用の書類に保護者の職業を書く欄はなかったはず、、どうして!?と思っていたら、現在住んでいる地域の敬老会で落語を披露した際、その前にフラダンスを披露した先生がそのクラブでヨガのインストラクターをしていて、その方からスイミングの先生に伝わったようです。「もっちゃんママ」と呼ばれたかった訳ではないのですが、「ぼたんさん」と呼ばれたからには、林家ぼたん、落語家としての要素も出さなくてはいけないような気がしてきました。「もっちゃんママ」という、息子の母親であるだけという存在は軽やかさを感じます。「◯◯ちゃんのママじゃなくて自分の名前で生きたい」という女性もいるかと思いますが、独身期間も長く、芸名として過ごした期間も長く、自分の名前が重くなってきた今となっては「もっちゃんママ」という呼ばれ方も良いのではないかと思いはじめています。
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