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ライターが書くことで付加価値を

現在、さまざまなメディアで経験を積ませていただいたり、勉強を進めながら、ライターとしてのキャリアを模索している私。最近、ライターが書く意義についてよく考えている。

「書く」行為は誰だってできる。時間がかかる人はいるだろうけど、書けないわけではない。義務教育を終えていれば、なんら問題なく日本語を読み書きできるはずなのだ。

では、なぜライターという職業が必要とされるのだろうか。

私がライターをはじめた頃、その理由を「めんどくさいから」だと考えていた。

書きたいことはあるけれど、自らの力で書けるけれど、書く時間がない。だからライターに依頼している。

たとえば、私は社内報の制作会社でライターをしていたが、お客様のほとんどは、ほかの業務も並行する広報の方々だった。社内報だけに時間をかけているわけにはいかない。だから制作会社に依頼している。

その場合、ライターの役割は「代行」だ。その人が書きたいことを代わりに書いてあげる。それが自分が果たすべき仕事だと思っていた。

でも、その認識は違っていた。ライターが書く意義は、ほかにある。

①論理的に文章を組み立てる

ライターとして人の文章を添削するようになって驚いた。「書くことが苦手な人ってこんなに多いんだ」と。

たとえ有名大学を出ていても、どれだけ話すのがうまくても、書くことに関しては苦手な人はたくさんいた。逆に「書くことが好き」と自称している人でも、非常に伝わりにくい文章で自己満足している人もいた。

そういった人たちに共通していたのは、「論理」ができていないこと。伝えたいことは書けている。一文一文を見れば、文法上も正しい。でも、その伝えたいことを説明するための論理がない。「なぜ?」「どうやって?」といった問いに、答えられていないのだ。一見分かるように見えて、実のところよく理解できない文章である。

もちろん、適切なフィードバックを受ければ、論理的に書ける能力を持つ人たちは大勢いるはずだ。だが、正しい文ではなく、論理的で伝わる文章を書くためには、ある程度のスキルが必要になる。

②言葉を言い換え、適切に並び替える

インタビュー記事の書き起こしを読んだことはあるだろうか。

どんなに面白いインタビュー記事でも、書き起こし自体を読むことは基本的に苦痛である。私の場合、音源を聞かずに書き起こしだけを読む際には、理解に最低3週は要する。話し言葉だけが並んでいる文章は、非常に分かりづらい。

「話すように書く」ことはライターのテクニックであるが、話したままの文章は読めたものではない。読者が理解してもらうために、「加工」するテクニックが必要になる。

インタビュー記事ではなく、知識をわかりやすく伝えるコラムだとしよう。そこでも、ただ研究論文を引っ張ってくるだけでは、読者は理解できない。読者が最後まで楽しく読み、かつ行動まで起こしてくれるようなコラムにするには、分かりやすい「加工」が必要だ。

この「加工」も、ライターの実力が問われる。原典を無視した創作であってはならないが、わかりやすく伝えるために改変したり、順番を入れ替えたりする必要がある。さじ加減を適切に行い、分かりやすい文章を紡ぐのが、ライターが書く意義である。

③主観に客観を加える

そして私にとって一番大きな気づき。

それは、「主観だけではいいコンテンツができない」ということだ。

インタビューをしているとき、なんとなく分かるけど、的確ではなく、暗黙の理解が含んだ言葉が返ってくることがある。そんなとき、ライターの私は「それって○○ということですかね?」と解釈した言葉を投げかける。

そのときに「あ、それです!」と、合点がいった顔で頷いてもらえることがある。

インタビューではよく起こりうる光景だ。インタビュイーは、自分で経験しているから、ある程度言葉足らずでも頭の中の情報から理解できる。だが読者からすればどうか。「何言っているか分からない」となるのがオチだ。

ライターは、インタビュイーと読者をつなぐ役目を担う。読者目線で疑問を問いかけ、明文化されていない情報を引き出す。執筆においても、インタビュイーの言葉そのものではなく、客観的な視点を取り入れた分かりやすい表現を使うことで、読者に理解を促す。

それにより、読者にとってより分かりやすいコンテンツが完成するのだ。

(余談だが、この記事は林春花が一人で、主観的な考えのもとで書いている。ライター林春花が頑張って客観を入れようとしているが、限界があると思う。ぜひ客観でのツッコミをいただきたい)

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以上が、私が考える、ライターとして書く意義。

ライターは単なる「代行」ではない。ライターが介入することで、文章に付加価値を生み出せるのだ。

私自身がライターとして目指すキャリアもそこにあると考えている。単に代弁するだけでなく、新たな価値を生み出す。「林さんに頼んで、新たな気づきがあったよ」なんて言葉をお客様から引き出せたら、この上ない喜びだよね。









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