稲垣栄洋「面白すぎて時間を忘れる雑草のふしぎ」を読んで
この本は、購読している新聞の文芸欄で、サイエンスライターの方がお勧めされたものでした。
一読して、私が印象に残ったことを以下にまとめました。
雑草とは
雑草は、人間が管理している土地に生えている草で、人に邪魔扱いされがちです。
昭和天皇が、雑草という花はなく植物にはみな名前がある、と言われたことは、有名な話です。
雑草という言葉を広辞苑で引くと、自然に生えてるいろいろな草とあります。たくさんの種類があり、さまざまな生き方をしている。
雑草とは、環境が変われば、生き方を変えて、力強く生きている植物ということでしょうか。
雑草が最後に生き残る
火山灰に覆われた大地があれば、まずそこに小さな草が生える。次に大きな草が生え、灌木が生えて藪になる。そして陽樹の森となり、時間が経過すると陰樹の生える深い森になる。
私たちが思う陰樹の主役は、日に当たる大木です。しかし大木は、大きくなるのに時間がかかり、陰樹の森の中では日が当たらず、種子を育てられない。
雑草は、一番生命力のある草で、環境に対応し、短い期間に成長し、花を咲かせ、種子を作り、子孫を残すことができる。
陰樹の森の覇者は、大木でなく、最後は雑草かもしない。
雑草に関する疑問が解決
二ホンタンポポは、冬の間は地面に低く構え、葉を広げている。春になると、黄色の花を咲かせ、お花畑を作る。あとは根だけ残して、自ら葉を枯らしてしまう。
牧草は、他の植物が少ない、過酷な環境の草原地帯に生え、草食動物が競うように葉を食べられてしまう。しかし、あっという間に再生して、青々とした葉が生えてくる。
でも、タンポポなど春の植物は、なぜ春に群がって咲き、黄色の花を咲かせるのか。
牧草は跡形もなく食べられても、なぜそんなに早く葉を成長できるのか。
そんな、日常当たり前にみる光景から思う疑問を、この本を読むと解決してくれます。
雑草を通じ、散策が楽しくなる。
この本を読んだ後、散策をしていると、ヒメオドリコソウ(姫踊子草、上部の写真の植物)を見かけました。
道路と石垣の隙間に、葉を広げていました。日当たりがよく、雨水も届きます。
この場所は窮屈かもしれませんが、根をしっかり張り、独り占めしています。
寒い冬ですが、葉っぱだけを地べたに張り付くように広げて、暖かそうです。
自分の居場所を見つけているようです。
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