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読書記録

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定年退職後、自分の時間を取ることができるようになりました。 今まで読みたいと思っていた小説を中心に、読書感想文を書きたいと思います。
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2024年7月の記事一覧

加藤陽子「戦争の日本近現代史」を読んで

 私は今まで、明治から第2次世界大戦までの歴史については、史実を知ることが主で、あとは歴史小説を読み、知識を深めえる程度であったようです。  この本を読むと、なぜ戦争が起きたのかを考察するため、明治の元老が維新当時からどのような考えを持っていたのか、その後、為政者がその時何を考えていたのか、力を強める軍部がどのような行動に出たのか、国民はその時々でどのような認識を持ったか、を理解するきっかけを作ってもらったように思います。  以下の、この本の内容の一部を、日露戦争までと、日

ヴィクトル・ユゴー「レ・ミゼラブル」を読んで

 いつも行く図書館に、ユゴー生誕200年を記念した撰集、「ヴィクトル・ユゴー文学館」があります。いつか読もうと思っていた、この小説を手に取りました。  主人公であるジャン・ヴァルジャンが、一片のパンを盗んだために長く投獄されたところから、話は展開します。   小説全体について  著者は、当時生きてきた人々を登場させ、当時の社会を描きます。  下層社会で、親を亡くした子供が、パリの貧困地域でいかに生きてきたのか。  大学に通う将来有望な若者が、何故、革命に夢を抱き、戦場に出