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おかゆツイート

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元野良の甘えたサバトラ系女子、おかゆ(猫)をただただ愛でる企画。しゃべりは男前ともっぱらの噂。
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おかゆさん、そろそろ動いてもよろしいでしょうか?

まだ終わらんのかの圧がすごい

そうしてまた巡る(3/4)「美より優先するもの」

 クローゼットで大人しくしていたプリーツスカートは、飼い猫にとって初見だったらしい。猫の基本習性は「自分のにおいで空間を満たしておくこと」だからよそ者のにおいに敏感で、警戒したり、自分のにおいを擦り付けて安心できる空間を取り戻そうと試みる。だから例えば「ママがなんか違うにおいの着てる」時、猫は全力で自分のにおいをつける。そのこと自体、そうしてイレギュラーを受け入れようとしているようにも見える。見えるのだけれど、  時は今まさに換毛期。朝晩のブラッシング何のその。常に抜け毛をく

猫は話せない

 ドンっとふくらはぎにふわふわの塊がぶつかってくる。見下ろすと白地に斑模様の猫がいた。  猫にも性格があるようだ。中でも白猫は、天敵に見つかりやすい色味から神経質なタイプが多いと聞く。旦那の実家で飼われている猫がまさにそれで、とてもじゃない、近寄ることなんてできなかった。  けれどここ一年くらい、集まって食事をしている時、背後の棚にいるようになった。別に目を合わせる訳でもコミュニケーションをとる訳でもない。ただ傍にいる。そうしてドンっとぶつかられた時、やっとお許しが出たのだと

【終】『80歳の壁』を貸そうと思われたことがうれしかった話

 あと数年で定年を迎えるu野さんは、少し前から自信のなさを口にするようになった。紙が電子に置き換わっていくこと。設定、登録諸々。「できない」と言うことには勇気がいる。「こうしよう」と決める側の立場だから特に。けれど手のひらサイズの機械に一生懸命メモをして、分からなければ「教えて」と言って、やろうとする姿を素直に尊敬する。事実メモの量は私より圧倒的に多かった。  母親がキレイだと娘は希望を持てるのだという。  自分の未来の姿に違いないから、と。  定期的にフラダンスに通って

【終】わり、好きになっちった『うちのこ』

 お腹の辺りで丸まっていた猫は、おもむろに伸びをすると、人の身体を堂々踏み越えて私の鼻先で香箱座りをし直した。その体の側面に私の鼻がすっぽり埋まる。このこは一刻も早く私を猫アレルギーにしたいらしい。  やめい、と顔を引くと、こっちを一瞥しただけで再び前を向いた。相変わらず鼻を鳴らし続けている。  その細めた目。なぜかもののけ姫のモロを思い出した。  日頃基本的にお腹の辺りにいるのだが、起きたと分かると猫は「にゃっにゃっ」と機嫌よく鎖骨のあたりまでやってくる。そんで思いっきり

【序】わり、好きになっちった『うちのこ』

 ソファに横になると漏れなく飼い猫おかゆがやってくる。  ひょいと飛び乗ると同時にお腹の辺りをふみふみすると、のどと言うよりは鼻を鳴らしながら香箱座り。4kg弱とはいえ重苦しい。寝返りを打って横に下ろすと、一度だけ強めの鳴き声がした。  膝を曲げる。ちょうど窪みにおさまった猫は、けれどぐるりと旋回すると腰を下ろして、再び鼻を鳴らし始めた。その背中を撫でる。

『母性』からの派生(母の視点)

 子供のいない夫婦がペットを飼うことは世間一般にはかわいそうなことらしい。村山由佳さんがエッセイで書いていたが(彼女自身も子供がいず、『星々の舟』の作品中で登場人物を通じてごめんなさいと言っているのが印象に残っている)分からないでもない。私自身妊活中、子なしの先輩がうれしそうに犬の話をしているのを見た時、どこか上から目線の同情めいた感覚があったのを記憶している。まあ当事者となった今、周りにどう思われようと自分自身が満足していれば何の問題もないと思える訳だが。  旦那は愛猫お

我が家のかわいいを集めてこねこねしたらねこになった件について

共働きで家を空ける時間が長い分、いるときはべったりな元ノラ(♀) 私はソファに座りますが、そんな私に座る彼女。当然序列は上に当たります。 ソファをベッドとして使えば彼女もまた私をソファベッドとして使います。人はされたようにしますが、見ているねこもまた変わらぬ模様。 ねこは自分をねこだと思っておらず、さらには(これだけ見た目が違うにも関わらず)でかい仲間だと思って人を見上げているというのだから興味深い。この世にあるものは皆同じで、形にこだわっているのは人間だけだと言ったのは村

猫が好かれるのはいいにおいがするから〜推薦図書、村山由佳さん『猫がいなけりゃ息もできない』〜2

『猫がいなけりゃ息もできない』はエッセイだ。だから基本的に一人称は「私」ごくたまに猫が関西弁を喋ることもある。幼い頃から猫とは限らず数々の命と共に成長し、引っ越しや出会いと別れを繰り返してきた作者と、生まれてから死ぬまで18年弱という歳月を共にした三毛猫「もみじ」その大切な日々を書き残したもの。  まずそもそも私が「基本的にその作品しか読まない」とした、物語を好む理由だが、端的に言えばそれは「物語はフィクションゆえ、意図せず誰かを傷つけない」からだ。その中で誰が何を成し遂げよ

猫が好かれるのはいいにおいがするから〜推薦図書、村山由佳さん『猫がいなけりゃ息もできない』〜1

「知っている」と一言で言っても、その理解度には段階がある。  ただ意味を知っている。誰かを見て想像する。実際に体感する。  私にとって「愛憎」という感情は長らく深度1を保ってきた。それを深度3までぶっ飛ばしたのはただ一匹の元ノラ猫「おかゆ」。にゃあと鳴いて手招き。招くのは福だけではない。それは家族であるからこそ起こる感情の起伏。  猫好きがインスタやエッセイやTwitterで連日発信するのは、いかに彼彼女たちが素晴らしい生き物であるかという賛美。その様は当事者以外にとってどこ

葉桜に春雨

 葉桜、と口にする時の人の顔は、一様に寂しげだ。  桃色一色を美とする感性ばかりが育ち過ぎたせいで、かえって最盛期の短さを憂う時期こそがメインにも思えて来るくらい。だから付属として春雨は葉桜を促すものとしてしばしば悪者にされやすい。  けれども、そんなやわやわした黄緑というのは、盛夏に向けて溢れんばかりのエネルギーを蓄えたものであって、決して寂しいものではない。桃色に黄緑。まだ染まりきれないそれは、さくらもちの色合い。  我が家には1年半前の9月から「おかゆ」と名付けた元ノ

ただぬこを愛でる企画

仕事もテニスに関する施設も全て休みなのでぬことのんびり過ごしましょうな1ページ。 (基本ポジション) (空を飛びたいのはぬこも同じ模様) (ひょこ) (角度を変えて構えと主張する) (ドヤ顔) 今日明日冷えるようですね。あったかくしてお過ごし下さい。 と、ぬこが言っています。 ねぇ、おかゆ。

飼い猫が私を使うように

 飼い猫にとって「主(私)が台所に行く=構ってもらえる」と思う法則がいつの間にか成立していたらしく、台所に向かった瞬間からヒャーヒャー鳴き始める。猫は自分の居場所をむやみに晒さないために、極力鳴かない生き物だという情報本体もびっくりだ。 (そしてこの眼力である) 全く動く気がない。頑として動かない。驚くのが、よける以外に本当に足を動かせないこと。いやいや3キロってこんなに重いのか? ウソだろ……。 「いい加減にしなさい」と見やると、その前足で一生懸命ふみふみしてた。