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完璧な仮面

周りがみんな
怖いひとだらけだった
だから僕は
僕を守るために
自分の顔を削ぎ落として
代わりに仮面をつけたんだ

けれど仮面をつけても
怖いひとは怖いまま

「この仮面じゃダメなのかも」

周りの顔色伺いながら
仮面をつけては壊しつけては壊し
そうしているうちに
心は鈍くなっていった

色んな人の顔を観察して
真似て作るのだけはうまくなった
完璧な仮面だと褒められたりもした

でもある日、きみが
「はずしたほうがすてきだよ」
なんて言うから
勇気を持って外してみたんだ

けれど、ごめんよ
僕には君の「すてき」が
わからない

ずっと昔に削ぎ落とした素顔は
膿んで爛れて
歪んでしまっていたから

こんなに醜い顔を
「すてき」だなんて
僕にはとても信じられない

それに
これは僕がかつて見た
怖いひとたちの顔と同じだ
いつの間にか僕も
怖いひとになっていた

ねえ

もしかして、
僕の持っている鏡が
歪んでいるのかな

それとも、
君の「すてき」が
おかしいのかな

そもそも、
僕に本当の顔なんて
あったのかな

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