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独自研究

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私のオリジナル研究です。論文に近いスタイルで書いてあります。
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2023年6月の記事一覧

富士山1707年12月スコリア斜面崩壊による谷埋め堆積物

富士山中腹で1707年12月後半の2週間に渡って進行したプリニー式噴火のとき火口のすぐ脇、宝永山赤岩の崖下から東になだらかに広がる斜面にスコリアが厚く積み上がった。噴火中または噴火直後にその斜面が不安定になり、まだ熱い大量のスコリアが幕岩を目指して下方に移動した。幕岩のすぐ上流の谷壁で、その堆積物が幕岩溶岩の上に厚さ10メートルで乗っているのを観察できる。 堆積物はほとんどが黒いスコリアからなる。スコリア礫のあいだに細粉は含まれていない。火口近傍の降下堆積物のようにも見える

御殿庭は1500年前より古い

富士山南東中腹にある御殿庭が江戸時代の1707年12月噴火で、すなわちわずか300年前に、形成されたとする説が最近になって相次いで発表された(馬場ほか2022,小山2023)。しかし私は御殿庭を、1万3000年前に氷河が残したモレーンだと考えている(早川2018)。 御殿庭が300年前か1万3000年前か、確実に判定できる方法を思いついた。南東側に隣接する小天狗塚との上下関係を調べるのだ。小天狗塚は1500年前の噴火で形成されたスコリア丘である。御殿庭が300年前なら小天狗