鬼押出し溶岩から発生した鎌原土石なだれ
1. 冷たい土砂の流れだった浅間山の1783年(天明三年)噴火は、その最終局面の8月5日10時に突然発生した土石なだれが鎌原村を襲って多数の死者が出たことでよく知られる。鎌原村を高速で通過した土石なだれはそのまま吾妻川に入って熱泥流となり、渋川で利根川に合流してその日のうちに江戸と銚子まで到達した。これに巻き込まれた死者は1490人を数える。
鎌原村を襲った土石なだれはマグマが噴出した火砕流ではなく、浅間山の山腹をつくっていた冷たい土砂の流れだった。ただし高温の岩石がわずか